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可
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い
ふりがな文庫
“
可
(
い
)” の例文
此辺の百姓にはまだ、子供を学校に出すよりは家に置いて子守をさした方が
可
(
い
)
いと思つてる者が少くない。女の子は殊にさうである。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
串戯
(
じやうだん
)
はよして、
些細
(
さゝい
)
な
事
(
こと
)
ではあるが、おなじ
事
(
こと
)
でも、こゝは
大力
(
だいりき
)
が
可
(
い
)
い。
強力
(
がうりき
)
、と
云
(
い
)
ふと、九
段坂
(
だんざか
)
をエンヤラヤに
聞
(
き
)
こえて
響
(
ひゞき
)
が
悪
(
わる
)
い。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
旅行をする折にも手が
硬
(
こは
)
ばると
可
(
い
)
けないからといつて、ピアノを汽車のなかに担ぎ込んで、
閑
(
ひま
)
さへあれば
鍵盤
(
キイ
)
を打つてゐる人である。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
虚偽
(
うそ
)
ツ、
若
(
も
)
し其れならば、姉さん、
貴嬢
(
あなた
)
の苦悶を私に打ち明けて下すつても
可
(
い
)
いぢやありませんか、秘密は即ち不信用の証拠です」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
『いや
今日
(
こんにち
)
は、おゝ
君
(
きみ
)
は
今日
(
けふ
)
は
顏色
(
かほいろ
)
が
昨日
(
きのふ
)
よりも
又
(
また
)
ずツと
可
(
い
)
いですよ。まづ
結構
(
けつこう
)
だ。』と、ミハイル、アウエリヤヌヰチは
挨拶
(
あいさつ
)
する。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
あの島国の方に引込んで海の魚が
鹹水
(
しおみず
)
の中でも泳いでいれば
可
(
い
)
いような無意識な気楽さをもって東京の町を歩いていた時に比べると
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いや馬鹿
囃
(
ばやし
)
は
厭
(
いや
)
だ。それよりか
鼓
(
つゞみ
)
が
打
(
う
)
つて見たくつてね。
何故
(
なぜ
)
だか
鼓
(
つゞみ
)
の
音
(
おと
)
を聞いてゐると、全く二十世紀の気がしなくなるから
可
(
い
)
い。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
更に第三、第四と、他の鍵を注意ぶかく試して行ったが、やはり
可
(
い
)
けない。結局一本も役立たぬと知ったらまた癇癪が起って来た。
空家
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
一寸親子の愛情に譬えて見れば、自分の児は
他所
(
よそ
)
の児より賢くて行儀が
可
(
い
)
いと云う心持ちは、濁って垢抜けのしない心持ちである。
私は懐疑派だ
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
『
此
(
この
)
家
(
うち
)
を
燒
(
や
)
き
潰
(
つぶ
)
せ!』と
兎
(
うさぎ
)
の
聲
(
こゑ
)
。
愛
(
あい
)
ちやんは
精
(
せい
)
一ぱい
大
(
おほ
)
きな
聲
(
こゑ
)
で、『
其麽
(
そんな
)
事
(
こと
)
をすれば
玉
(
たま
)
ちやんを
使嗾
(
けしか
)
けるから
可
(
い
)
いわ!』と
叫
(
さけ
)
びました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と
冷評
(
ひやか
)
した。乃公は決して嬉しがっているもんか、弱り切っているんだ。その証拠には此子を
何
(
ど
)
んな目に遭わせても
可
(
い
)
いと言った。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「あの御母さんに、商売のことなんか解るものですか。人間は牛馬のように
駆使
(
こきつか
)
いさえすれあ
可
(
い
)
いものだと思っている人間だもの」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
傍
(
かたわら
)
の
卓子
(
テーブル
)
にウイスキーの
壜
(
びん
)
が
上
(
のっ
)
ていてこっぷの飲み干したるもあり、
注
(
つ
)
いだままのもあり、人々は
可
(
い
)
い加減に酒が
廻
(
ま
)
わっていたのである。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それじゃア手前は『
夫婦
(
めおと
)
斬り』だな! こいつア
可
(
い
)
い所で
邂逅
(
ぶつか
)
った。逢いてえ逢いてえと思っていたのだ。ヤイ侍よく聞きねえ。
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
随分
怜悧
(
りこう
)
な
芸妓
(
げいしゃ
)
でも、
可
(
い
)
い加減に年を取った
髯面
(
ひげづら
)
野郎でも、相手にせずに其処へ坐らせて置いて少し上品な談話でも仕て居ると
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
何有
(
なあに
)
、これで
可
(
い
)
いさ、
澤山
(
たくさん
)
だ。何うにか
辛抱
(
しんぼう
)
の出来んこともあるまい。人間は、肉は喰はなくつても活きてゐられる動物よ。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
遊佐は気が小いから
可
(
い
)
かない。ああ云ふ風だから
益
(
ますま
)
す
脚下
(
あしもと
)
を見られて好い事を為れるのだ。高が
金銭
(
かね
)
の
貸借
(
かしかり
)
だ、命に別条は有りはしないさ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
で、
祖父
(
じじい
)
は、猫をあんまり
可愛
(
かあい
)
がっちゃ、
可
(
い
)
けない
可
(
い
)
けないって言っておりましたけれど、その
後
(
ご
)
の猫は化けるまで居た事は
御座
(
ござ
)
いません。
「ああしんど」
(新字新仮名)
/
池田蕉園
(著)
彼
(
あ
)
の
可愛
(
かあい
)
らしい手を出して
膝
(
ひざ
)
の
下
(
した
)
を
撫
(
なで
)
て
遣
(
や
)
つて
居
(
ゐ
)
る、あゝ/\
可愛
(
かあい
)
い
児
(
こ
)
だ、
今
(
いま
)
のう
良
(
よ
)
い
薬
(
くすり
)
を
遣
(
や
)
るよ、……
煙草
(
たばこ
)
の
粉末
(
こな
)
ぢやア
却
(
かへ
)
つて
可
(
い
)
けない
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
稀に外国に出て行ったところの商人らはこの風俗の
可
(
い
)
かないということを知って、いろいろに言う者がないでも無いけれども
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
源七にむかって、なんでも
可
(
い
)
いから是非
刺青
(
ほりもの
)
をしてくれと頼んだのですが、
老爺
(
じい
)
さんも素直に
諾
(
うん
)
とは云わなかったそうです。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうすると先生の研究は直言すれば死の前早くも死んでいるのである。学者はそれで
可
(
い
)
いのか、私は立ちどころにノーと答える事に躊躇しない。
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
中には保存して置いても
可
(
い
)
いが、も少し香料でも余計に附けて手入れを好くして
欲
(
ほ
)
しい。一般に
仏蘭西
(
フランス
)
の男の
髭
(
ひげ
)
は悪い
臭
(
にほひ
)
がすると云ふ答もあつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
もし
夫
(
そ
)
れ私
一人
(
ひとり
)
の好みを云へば、やはり、犬よりは狼が
可
(
い
)
い。子供を育てたり裁縫したりする優しい
牝
(
めす
)
の
白狼
(
はくらう
)
が
可
(
よ
)
い。
世の中と女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
A フン、それは
相談
(
さうだん
)
をしない
方
(
はう
)
が
惡
(
わる
)
いんだが、
向
(
むか
)
ふで
相談
(
さうだん
)
しなけりや
此方
(
こつち
)
から
相談
(
さうだん
)
しかけたら
可
(
い
)
いぢやないか。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
幽霊種
(
ゆうれいだね
)
がないというのはちと妙なものですが、実際私の経験という方からいっては、幽霊談皆無といっても
可
(
い
)
いのです、
尤
(
もっと
)
もこれは幽霊でない、夢の事ですが
薄どろどろ
(新字新仮名)
/
尾上梅幸
(著)
梅林の老人の言ふところによると、いろ/\の不幸や障碍が起るのは、第一家相が悪い、家の入口が正北に向いて居て、便所が鬼門に当つて居るから
可
(
い
)
けないのだ。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
ええ
那様
(
そんな
)
事なら訳はないです。それじゃ
明朝
(
あした
)
、
左
(
と
)
に
右
(
かく
)
行って、
検
(
しら
)
べてみて直しますが、そう云う事は長念寺の
和尚
(
おしょう
)
の
処
(
ところ
)
へも行って、
次手
(
ついで
)
にお
談
(
はなし
)
なすったら
可
(
い
)
いでしよう。
□本居士
(新字新仮名)
/
本田親二
(著)
また
斯様
(
こん
)
な手紙を送ったと知れたなら大変だ。私はもう
何
(
ど
)
うでも
可
(
い
)
いが、お前が、さぞ迷惑するであろうから申すまでもないが、読んで了ったら、直ぐ焼くなり、何うなりしてくれ。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
これを教育家その人もなんだか忘れてしまっているような有様である。それでは
可
(
い
)
けない。思想の自由から初めて批評の自由となり、公正なる批評に依ってここに輿論というものも現れて来る。
政治趣味の涵養
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
古來
(
こらい
)
我邦
(
わがくに
)
の
化物思想
(
ばけものしさう
)
は
甚
(
はなは
)
だ
幼稚
(
えうち
)
で、
或
(
あるひ
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
無
(
な
)
かつたと
言
(
い
)
つて
可
(
い
)
い
位
(
くらゐ
)
だ。
日本
(
にほん
)
の
神話
(
しんわ
)
は
化物
(
ばけもの
)
の
傳説
(
でんせつ
)
が
甚
(
はなは
)
だ
少
(
すくな
)
い。
日本
(
にほん
)
の
神々
(
かみ/\
)
は
日本
(
にほん
)
の
祖先
(
そせん
)
なる
人間
(
にんげん
)
であると
考
(
かんが
)
へられて、
化物
(
ばけもの
)
などとは
思
(
おも
)
はれて
居
(
ゐ
)
ない。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
「
一寸
(
ちょっと
)
お尋ね致しますが」と云った其瞬間、彼は其後をどう云う
可
(
べ
)
きかに付いて余り不用意である事に気が付いた。後悔の雲がぱっと頭に拡がった。聞えなければ
可
(
い
)
いがと云う願望も同時に起った。
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
秀子「
可
(
い
)
けません、私の口から一言でも洩す事は出来ませんよ」夫人
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
『それでは呼んだら
可
(
い
)
いでせう。又といふ機会もないでせうから』
枯淡の風格を排す
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
とあるは
可
(
い
)
い思い付きだ
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
いいえ、組合の
外
(
ほか
)
に新床が出来たんで、どうのこうのって、何でも
可
(
い
)
いじゃあがあせんか、お客様は御勝手な処へいらっしゃるんだ。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
イワン、デミトリチ、グロモフは三十三
歳
(
さい
)
で、
彼
(
かれ
)
は
此室
(
このしつ
)
での
身分
(
みぶん
)
の
可
(
い
)
いもの、
元來
(
もと
)
は
裁判所
(
さいばんしよ
)
の
警吏
(
けいり
)
、
又
(
また
)
縣廳
(
けんちやう
)
の
書記
(
しよき
)
をも
務
(
つと
)
めたので。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
わしは
林檎
(
りんご
)
の樹の下へ行っているから、お前も
束
(
たば
)
ねが済んだら
彼処
(
あすこ
)
へ来てくれないか。
畦
(
あぜ
)
を歩くんだぞ、麦を倒すと
可
(
い
)
けないからな
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「叔母さん達のように、ああして子供の側に附いていられると
可
(
い
)
いけれど——叔父さんは、お前、お金の心配もしなけりゃ成らん」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「どうも外国人は調子が
可
(
い
)
いですね。少し
可
(
よ
)
すぎる位だ。ああ賞められると、天気の方でも是非好くならなくっちゃならなくなる」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『まァ、
大層
(
たいそう
)
悦
(
よろこ
)
んでること』
愛
(
あい
)
ちやんは
然
(
さ
)
う
思
(
おも
)
つて
猶
(
な
)
ほも
言
(
い
)
ひ
續
(
つゞ
)
けました。『
教
(
をし
)
へて
頂戴
(
てうだい
)
な、ね、
私
(
わたし
)
は
此處
(
こゝ
)
から
何方
(
どつち
)
へ
行
(
い
)
けば
可
(
い
)
いの?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「そんな事をいわずに、物は試しだから一口買ってごらんなさい、しかし
度々
(
たびたび
)
は
可
(
い
)
けません、
中
(
あた
)
ったら一遍こきりでおよしなさい」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何だべえせえ、自分の
居
(
を
)
ツ
家
(
とこ
)
が
然
(
そ
)
でなかつたら
具合
(
ぐあえ
)
が悪かんべえが?
然
(
そ
)
だらハア、
俺
(
おら
)
ア酒え飲むのさ邪魔さねえば、
何方
(
どつち
)
でも
可
(
い
)
いどら。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
烟草
(
たばこ
)
燻
(
く
)
ゆらし居たる週報主筆
行徳秋香
(
かうとくあきか
)
「渡部さん、恐れ入りますが、お
序
(
ついで
)
にお
誦
(
よ
)
み下ださいませんか」「其れが
可
(
い
)
い」「どうぞ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
こいつア幸い
可
(
い
)
い証人だ——その水品先生に対し、親の
敵
(
かたき
)
とか何とか云って、若エ武士とこの娘とが、切ってかかったはずでごぜえます。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「もう
可
(
い
)
い/\。」森久保氏は百姓のやうな
硬
(
こは
)
つぱしい
掌面
(
てのひら
)
を鼻先で
揮
(
ふ
)
り廻す。そして直ぐ
説経祭文
(
せつきやうさいもん
)
のやうな節で
後
(
あと
)
の文句を読み続ける。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『断然
元子
(
もとこ
)
を追ひ出して
静
(
しづ
)
を奪つて来る。
卑
(
いや
)
しくつても
節操
(
みさを
)
がなくつても
静
(
しづ
)
の方が
可
(
い
)
い』といふ感が猛然と彼の頭に
上
(
の
)
ぼつた。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
明日
(
あす
)
訪ねてくれい? さうは
可
(
い
)
かん、僕もこれでなかなか用が有るのぢやから。ああ、貴方も
浮世
(
うきよ
)
が
可厭
(
いや
)
か、僕も御同様じや。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
何故そんなことをしたかと調べられたら、お前は何にも云わずに泣いていれば
可
(
い
)
い。唯それだけのことだとお久は云った。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お前からいふと、
俺
(
おれ
)
が
虚弱
(
きよじやく
)
だからと
謂
(
い
)
ひたからうが、俺からいふとお前が
強壯
(
きやうさう
)
過
(
す
)
ぎると
謂
(
い
)
ひたいね。
併
(
しか
)
し
他一倍
(
ひといちばい
)
喧嘩
(
けんくわ
)
をするから
可
(
い
)
いぢやないか。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
“可”の意味
《名詞》
(カ)成績や品質などの等級表示で、合格のための最低限のレベル。
(出典:Wiktionary)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
“可”を含む語句
可憐
可愛
不可
可恐
可哀
可笑
可惜
可怖
可傷
可怪
可厭
可憫
可怕
許可
可忌
可成
可哀想
可愛想
可訝
可懷
...