)” の例文
「どうせうたつて、お前の心一つぢやないか。初発はじめにお前がきたいといふから、かう云ふ話にしたのぢやないかね。それを今更……」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その前は学校の近くの旅館にいたり、高燥なH街の某軍人の家などにおいて貰っていたが、最後に腰をすえたこの家が一番気にっている。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
景は女が約束にそむいて他の家へったのを知っていきどおりで胸の中が一ぱいになった。彼は大声をあげて叫ぶようにいった。
阿霞 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
服装みなりも汚くはないんだね、折目の附いたと言いたいが、それよりか、しわの無いと言った方がい、坊さんか、尼のような、無地の、ぬべりとしたのでいた。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし一ばんに氣にツたのは、まゆと眼で、眉はたゝ温順すなほにのんびりしてゐるといふだけのことであツたが
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それはうよ、それは然うだけれど、他家ほかから嫁子よめっこを貰やア田地が附いて来る、金が附いて来るたって、まうちへ呼ばって、あとで己が気にらねえば仕様がねえ訳だ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文中に「ワガ兄弟三人」とあるのは毅堂の弟蓉裳と小塚氏にった妹某をいうのである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
究竟つまり妾達あたしたちらないからさ。けれども、あたし必然きっと呼んで見せる。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お前がそれ程に思ふのなら、何で自分からきたいとお言ひなのだえ。さう何時いつまでも気が迷つてゐては困るぢやないか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
親の石塔料の為奉公していると聞き、其の頃は武士をたっとぶから母は感心して、ういう者なれば金を出して、当人が気にったならどうせ嫁を貰わんではならんから貰いいと
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
島津家の重臣某のもとに望まれてったが、文久三年麻疹ましん流行の時、鷲津氏にとついだ妹美代の女恒がこの病に感染したのを聞いて見舞に来り、自身もまた感染してそれがために死した。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それだから私までが憎いので、いいえ、さうよ、私は何でも可いから、若し雅さんが引取つて下さらなければ、一生何処どこへもきはしませんから
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
水街道の麹屋へ話してお隅を金で身受みうけしてうちへ連れて来てまず様子を見るとしとやかで、器量といい、誠に母へもよくつかえます故、母の気にもって村方のものをんで取極とりきめをして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
五「相談だって手前てめえは二十四五にも成りやアがって、ぶら/\あすんでて、親のすねばかりかじっていやアがる、親の脛を咬っている内は親の自由だ、手前の勝手に気にった女が貰えるか」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)