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好
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い
ふりがな文庫
“
好
(
い
)” の例文
Samuel Butler の書いた物によると、彼は日頃「出来の
好
(
い
)
い、ちやんと保存された、四十シリング位のレムブラント」
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
よしまた行けるとして、従来通りの仏師でやって行って
好
(
い
)
いものか、その辺のことについて考えて見るに、どうも不安でなりません。
幕末維新懐古談:35 実物写生ということのはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
彼は
固
(
もと
)
よりその人に出会う事を好まなかった。万一出会ってもその人が自分より立派な
服装
(
なり
)
でもしていてくれれば
好
(
い
)
いと思っていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「坊主。行って来い。
俺
(
おれ
)
が行くと
好
(
い
)
いのだが、俺はちと重過ぎる。ちっとの
間
(
ま
)
の辛抱だ。行って来い。行って梨の実を盗んで来い。」
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
今もいま、師匠のかけがえのない
好
(
い
)
い芸を、心の中で惜んでいたのに、このお
爺
(
じい
)
さんは
見世
(
みせ
)
ものの中へ出すのか——と思ったからだ。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
清淨
(
しやうじやう
)
な
水
(
みづ
)
でも
好
(
よ
)
ければ、
不潔
(
ふけつ
)
な
水
(
みづ
)
でも
好
(
い
)
い、
湯
(
ゆ
)
でも
茶
(
ちや
)
でも
好
(
い
)
いのである。
不潔
(
ふけつ
)
な
水
(
みづ
)
でなかつたのは、
閭
(
りよ
)
がためには
勿怪
(
もつけ
)
の
幸
(
さいはひ
)
であつた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
あれでございますか、
文部省
(
もんぶせう
)
が
建
(
た
)
ちましたの、
空気
(
くうき
)
の
好
(
い
)
い
処
(
ところ
)
でなければならんと
仰
(
おつ
)
しやいまして、
森大臣
(
もりだいじん
)
さまが
入
(
い
)
らツしやいまして。
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「アア/\おっかさんが
生
(
いき
)
ていらっしゃれば
好
(
い
)
いにねえ」というのを徳蔵おじが側から「だまってねるだアよ」といいましたッけが
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
勿論、仮普請も沢山ありましたが、金廻りのいゝのや、手廻しの
好
(
い
)
いのは、もう本普請をすませて、みんな商売をはじめていました。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鵜の真似でも何でも、試験の成績さえ良ければ、先生方も満足せられる、内でも親達が満足するから、私は其で
好
(
い
)
い事と思っていた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その汁でメリケン粉一杯をいためて
赤葡萄酒
(
あかぶどうしゅ
)
を
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
注
(
つい
)
でその中へ今のいためた鰻を入て塩胡椒で味をつけて一時間位
煮
(
にる
)
のです。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
もう
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
歩
(
ある
)
いて
行
(
い
)
つて、
谷
(
たに
)
がお
仕舞
(
しまひ
)
になつたかと
思
(
おも
)
ふ
時分
(
じぶん
)
には、また
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
の
谷間
(
たにま
)
の
板屋根
(
いたやね
)
から
煙
(
けむり
)
の
立
(
た
)
ち
登
(
のぼ
)
るのが
見
(
み
)
えました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
繃帶
(
ほうたい
)
が
乾
(
かわ
)
いて
居
(
を
)
れば五六
日
(
にち
)
は
棄
(
す
)
てゝ
置
(
お
)
いても
好
(
い
)
いが、
液汁
(
みづ
)
が
浸
(
し
)
み
出
(
だ
)
すやうならば
明日
(
あす
)
にも
直
(
すぐ
)
に
來
(
く
)
るやうにと
醫者
(
いしや
)
はいつたのであるが
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
私
(
わし
)
が一本でも残してみなさい。世間の人達は、犬養め一番
好
(
い
)
いのだけ一本引つこ抜いて置いた。
狡
(
ずる
)
い奴だと噂をするだらうて。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お幸は強い性質の子でした。丘の三本松は
好
(
い
)
い形であると
眺
(
なが
)
めることはあつても、感情的な弱い涙をそれに注がうとはしませんでした。
月夜
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
釣鐘草の咲く時分に、振袖の
蛇体
(
じやたい
)
なら
好
(
い
)
いとして、
黄頷蛇
(
あおだいしよう
)
が、によろによろ、などは肝を
冷
(
ひや
)
すと何だか手をつけかねた覚えがある。
玉川の草
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「大層腹を立てたんだね、——もっとも
手前
(
てめえ
)
は腹を立てると
好
(
い
)
い男になるぜ、ゲラゲラ笑っていると、反っ歯が、飛出すから——」
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
此所
(
こゝ
)
ならば
度々
(
たび/″\
)
來
(
き
)
たが、
未
(
ま
)
だ
大發掘
(
だいはつくつ
)
はせずに
居
(
ゐ
)
るのだ。
今日
(
けふ
)
掘
(
ほ
)
つても
好
(
い
)
いかと
問
(
と
)
ふと、
大丈夫
(
だいじやうぶ
)
だ。
原田文海
(
はらだぶんかい
)
が
心得
(
こゝろえ
)
とると
大呑込
(
おほのみこ
)
み。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
此返事
(
このへんじ
)
を
聞
(
き
)
いて、むつと
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つた。
頭巾
(
づきん
)
の
下
(
した
)
に
歯
(
は
)
を
剥出
(
むきだ
)
して、
血色
(
けつしよく
)
の
好
(
い
)
い
頸元
(
えりもと
)
に
伸
(
の
)
し
掛
(
かゝ
)
ると
向
(
むかう
)
は
後退
(
あとすざり
)
もしない。また
質
(
き
)
いて
見
(
み
)
た。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
御見物のお嬢様坊ちゃまがた、わたしはまあ何と言って皆様にお礼を申して
好
(
い
)
いやら、あんまり
嬉
(
うれ
)
しくて、申上げる言葉も知りません。
春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
「軍人だと言いましたが、それですよ。絶世の美人という触込みです。写真でコロリと参って、会って見たら益〻
好
(
い
)
いってんです」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
乘り入れて
二進
(
につち
)
も
三進
(
さつち
)
もいかなくなるか自腹の痛事あるべきなりオヽ
怖
(
こは
)
やと悟る人は誠に
好
(
い
)
い子といふべきなり
抔
(
など
)
と横道の
冗
(
むだ
)
は措き
此
(
こゝ
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
そんな風に
暫
(
しばら
)
く外にいてから部屋に帰って男を起す事になっていた。男の長い間
好
(
よ
)
く眠るのを、女は体のために
好
(
い
)
いように思っていた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
驚いたのは、そのだぼはぜ嬢、「
好
(
い
)
いのよ、好いのよ」と
嬌声
(
きょうせい
)
を発し、「あなた、とても好いわ」とぼくの肩に手を置いた事です。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
小春日和の風もない
好
(
い
)
い日でした。日本より外には世界中どこへ行つてもこんな好い天気は見られまいと思はれるやうな初冬の或日でした。
畦道
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
これで
好
(
い
)
い。(安心したるらしき様子にて二三歩窓の方に
行
(
ゆ
)
き、懐中時計を見る。)なんだ。まだ三時だ。
大分
(
だいぶ
)
時間があるな。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
あゝ
好
(
い
)
い
心持
(
こゝろもち
)
ださつぱりしたお
前
(
まへ
)
が
承知
(
しようち
)
をしてくれゝば
最
(
も
)
う千
人力
(
にんりき
)
だ、
信
(
のぶ
)
さん
有
(
あり
)
がたうと
常
(
つね
)
に
無
(
な
)
い
優
(
やさ
)
しき
言葉
(
ことば
)
も
出
(
いで
)
るものなり。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
謙遜
(
けんそん
)
の
布袋
(
ぬのぶくろ
)
の中へ何もかも
抛
(
ほう
)
り込んでしまう態度を取りにかかった。世の中は無事でさえあれば
好
(
い
)
いというのなら、これでよかったのだ。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こいつらがこうやって物質にばかり走って
好
(
い
)
い気になってるあいだに、日本はどんどん心の修養を怠りません。そのはずです。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
好
(
い
)
い出世をして、さぞ
栄耀
(
えよう
)
も出来て、お前はそれで可からうけれど、
財
(
かね
)
に見換へられて棄てられた僕の身になつて見るが可い。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
瑠璃草
(
るりさう
)
、
紫羅欄花
(
あらせいとう
)
、
罌粟
(
けし
)
の花、どんなに
嫖緻
(
きりやう
)
の
好
(
い
)
い
子
(
こ
)
よりも、おまへたちの
方
(
はう
)
が、わたしは
好
(
すき
)
だ。
滅
(
ほろ
)
んだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
近ごろ君、経済書の売行が
好
(
い
)
いさうだが、何の事は無い、
盗賊
(
ぬすびと
)
を見て縄を
綯
(
な
)
ふやうなもんだ。戦争以来実業が勃興したといふのが間違つてる。
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
非常
(
ひじやう
)
なもんだよ。
君
(
きみ
)
は
好
(
い
)
い
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いてくれた。
俺
(
おれ
)
の
頭腦
(
づなう
)
の
明晰
(
めいせき
)
を一
層確實
(
そうかくじつ
)
に
證據
(
しようこ
)
だてる
機會
(
きくわい
)
を
與
(
あた
)
へてくれた
事
(
こと
)
を
君
(
きみ
)
に
感謝
(
かんしや
)
するね。
待
(
ま
)
ちたまへ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
『さア、それは
好
(
い
)
い
鹽梅
(
あんばい
)
だ!』と
愛
(
あい
)
ちやんは
獨語
(
ひとりごと
)
を
云
(
い
)
ひました、
女王樣
(
ぢよわうさま
)
が
宣告
(
せんこく
)
された
死刑
(
しけい
)
の
人々
(
ひと/″\
)
を、
如何
(
いか
)
にも
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
に
思
(
おも
)
つてた
所
(
ところ
)
でしたから。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
二十円もあれば
好
(
い
)
いでせうと云つて私を自身の室へ
伴
(
つ
)
れて行つて二人の令嬢に紹介した。私は思ひ掛けない事に遇つて感極まつて涙が
零
(
こぼ
)
れた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
明くる日の朝、私は七時に飛び起きて近所の自動電話へ
馳
(
は
)
せ附け、電話帳を繰ると、
好
(
い
)
い
塩梅
(
あんばい
)
に浜田の家が見つかりました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
『Tさんは鋭いからねえ。あれはどうも本物だと思われる。やっぱり疑わない方が
好
(
い
)
いんですよ』こうO先生は云われた。
仏法僧鳥
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そうかな、僕ぁ
斯
(
こ
)
んなもの面倒くさいな。死んだら灰にして海の上へでも飛行機でばら
撒
(
ま
)
いてもらった方が気持が
好
(
い
)
いな。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
『
甚
(
はなは
)
だ失礼ぢやが……まだ日が高いし、それに今日東京に
入
(
はい
)
つて置くと、都合が
好
(
い
)
いから
私
(
わし
)
は
此処
(
ここ
)
で失礼して歩いて行かうと思ふんぢやが……』
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「私は人が
好
(
い
)
いものですから」と甲斐は云った、「他人の
艶
(
つや
)
ごとまでかぶせられるようで、いつもよく迷惑をいたします」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
好
(
い
)
い人なのにどうしてあんな事をしたのか、今はどんな人になっているだろう。同じ本屋から借りるのがいやだった。」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
主『さうか。これは千住のか。道理で骨が硬くて、
肉
(
み
)
に旨味が少いと思ツた。さきから、さう言へば
好
(
い
)
いに…………。』
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
幾ら血が出ぬからと謂ツても、我々人間の内臟は、色でもまた形でも餘り氣味の
好
(
い
)
いものでは無い……想像しても解る。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「
鳥
(
とり
)
や、」とその
男
(
おとこ
)
が
言
(
い
)
った。「
何
(
なん
)
て
好
(
い
)
い
声
(
こえ
)
で
歌
(
うた
)
うんだ! おれにも、
初
(
はじめ
)
から
聞
(
き
)
かしてくれ。もう一
遍
(
ぺん
)
、
歌
(
うた
)
ってくれ。」
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
私にもあまり
好
(
い
)
い気持がしなかったが、
何分
(
なにぶん
)
安値
(
やす
)
くもあるし、
賑
(
にぎや
)
かでもあったので、ついつい
其処
(
そこ
)
に居たのであった。
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
その
文章
(
ぶんしやう
)
も如何にもすつきりと
垢脱
(
あかぬ
)
けがして居て、讀んで居ては、實に
氣持
(
きもち
)
の
好
(
い
)
いものですが、
特
(
とく
)
に氏の長所である
心理描寫
(
しんりべうしや
)
といふ點に就て云へば
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
『
今頃
(
いまごろ
)
は
馬車
(
ばしや
)
にでも
乘
(
の
)
つて、
郊外
(
かうぐわい
)
へ
行
(
い
)
つたらさぞ
好
(
い
)
いでせう。』と、イワン、デミトリチは
赤
(
あか
)
い
眼
(
め
)
を
擦
(
こす
)
りながら
云
(
い
)
ふ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ああそれは
好
(
い
)
い男よ。どうやらあたしも夢中になりそうだわ。でもどうだっていい、あたしブラシュヴェルに、あんたに
惚
(
ほ
)
れてるって言っておくの。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
今のうちに財産を残して死んだら、あんな
好
(
い
)
い人とコンナ面白い生活が出来るんだけどナアとか……憎いアン畜生を
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
低い戸の
側
(
そば
)
に、
沢
(
つや
)
の
好
(
い
)
い、黒い大きい、猫が
蹲
(
うづくま
)
って、
日向
(
ひなた
)
を見詰めていて、己が側へ寄っても知らぬ顔をしている。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
好
常用漢字
小4
部首:⼥
6画
“好”を含む語句
恰好
不好
嗜好
好事
好事家
相好
好男子
好漢
好奇
格好
好意
好者
好色
好々
大好
好悪
好奇心
好人物
好物
好機
...