玉川の草たまがわのくさ
——これは、そゞろな秋のおもひでである。青葉の雨を聞きながら—— 露を其のまゝの女郎花、浅葱の優しい嫁菜の花、藤袴、また我亦紅、はよく伸び、よく茂り、慌てた蛙は、蒲の穂と間違へさうに、(我こそ)と咲いて居る。——添へて刈萱の濡れたのは、蓑に …