)” の例文
自己の余生を亡き夫の遺業の完成のためにゆだねるは、なおます夫につかうる如き心地がして、この上もない楽しみではあるけれども
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
アツシリヤでも早くから犬を珍重して今の「マスチツフ」だの「グレイハウンド」だのといふ奴がたさうだが、んな事はておき
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「まア、そんな話をして入らっしゃるの。千種さんは此家ここへ入らっしゃると、新聞気を出さないお約束になってらっしゃるのよ」
死の予告 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
レイの説にはその地の教区寺のオルガン手にピクス(豕)なる人が昔たからと解き、ケイヴはかの地古くオクスフォード伯の領所で
チと山木の奥様おくさん見傚みならふ様にツて言はれるんですよ、御一家ごいつけみんな信者でらつしやいまして、慈善事業と言へば御関係なさらぬはなく
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
君、今ここにわが前にます。われは、カルメルざんに孤雲を望む牧人の心となりて、君が御爲おんためにやをらうつくしき一條いちでうの歌を捧げむ
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
我儘わがままばかり、おってらっしゃったのを、こんな処まで連れて来て置いて、すわってお休みなさることさえ出来ないんだよ。
木精(三尺角拾遺) (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ことばけだしこの意にほかならじ、もし愛なる神のまして勇者を一層勇ならしめんとならばその愛するものをモギ取るにまされる法はなかるべし。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
従兄弟いとこの光春様は、他家を頼って、もうその土地にはおでがなかった。六年の牢人暮らしは、随分、貧乏に苦しめられた。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
安「生きてらっしゃるつもりでするんだから、本当の婚礼の式でなければいけません、尾頭つきに何かお芽出度いものでなければ成りません」
「葉之助殿のおでになる、江戸の土地へ連れて行ったら、あるいは気の晴れることもあろうか。そうして時々お目にかかったなら、病いもなおるに違いない」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それ吾が見たる神は、常に吾れとともまして、其の見えざるの手を常に打添へたまふにあらずや。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
「やっぱり心配になりますかね。芳江さんは非常な元気で、あちらの部屋におでですよ」
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
大綿津見おおわたつみの生ませたまう穂高見ほたかみみことが草創の土地で、みことは水を治められた御方であるから今でも水の神として祀られてます、神孫数代宮居を定められたところから「神垣内かみかきうち」と唱えるとある
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
すなわち神はいつも自分の頭の上に位する天にいるものと思い、人が死ねば霊魂は天に昇るものと定め、神を呼ぶには、天にますわれらの神と言うて、それからめいめいのいのりをささげる。
我らの哲学 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
大抵は大旦那様のお居間におでになります。そこには大旦那様のお油画の大きなのが掲げてございます。その前にお座りになり、御肖像に向ってさめざめと泣いて入らっしゃるのでございます。
蛇性の執念 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
「……イヤ。ほかでもありません。つまり品夫さんのお父様に関する今のお話ですがね……そのお父様が変死された事について、品夫さんは矢張やはり御自分一個の観察を下しておでになるでしょうね」
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
けざやかにめでたき人ぞましたる野
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「まだおでになりまして」
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その寝ねてますベツドは
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
早く別れてあの世にます
「親分さん、こんな物騒な晩に、女二人ではとても我慢がなりません。お願いですが、夜明けまでらしって下さいませんか」
奥様おくさんが今日御出席下ださいましたことは教会に取つて、何と云ふ光栄で御座いませう、御多用の御体でらつしやいますから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
我儘わがまゝばかり、おつてらつしやつたのを、こんなところまでれていて、すわつておやすみなさることさへ出來できないんだよ。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
玄宗皇帝が楊貴妃浴を出て鏡に対し一乳を露わすを捫弄もんろうして軟温新剥鶏頭肉というと、傍に安禄山あんろくざんが潤滑なお塞上ののごとしと答えた。
「ご無事でおでられたとは、さてさてめでたい。実は、ほのかに、おうわさを聞き、生死のほども案じておりましたが」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家主おおやさんが大変に案じておでゞ、其のお父さんが、たった一人の娘をなくし今まで知れないのは全く死んだに違いない
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
嬢様は荒尾君の大傑作を縕袍どてらと間違へてらツしやると見える。それでも荒尾先生、御感ぎよかんを忝ふしたと心得て感涙にむせんで、今度は又堪らないものを作つた。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「これはごもっともでございますな。それでは手狭でも私の家に、こっそりおで遊ばしては」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
亡母おつかさん其儘そのまゝらつしやるんですもの——此の洋琴オルガンはゼームスさんが亡母さんの為めに寄附なされたのですから、貴嬢が之をお弾きなされば
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
馬場樣、——八五郎と子供は後で存分に叱つて置きませう。それはまアそれとして、旦那は昨夕から今朝の夜明けまで、何處になすつたか、それを
銭形平次捕物控:050 碁敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
あまりに、寵遇ちょうぐうれすぎておでたからじゃ。五年余の間、天王寺に在陣中も、茶之湯ばかりにられて、陣務はいっこう怠っておられたという。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飛んだ災難でございました。それから散々ちり/″\になって奥方は会津に落ちて、会津から上方へ落ちて、只今駿府におでと聞きましたが、何う成行きましたか。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
妻肉さしをそのまま器中に置き、茶を拵えて客に出し回って求むるに肉さしなし。今まで傍にた小婢を疑うて拷問厳しくしたが、盗んだと白状せずに死んだ。
或る雑誌にをり/\述懐めいた随筆が出るが、いつぞや嬢様は読んで涙をこぼしてらしツたつけ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「お入んなさいましな、待つて居たの。きっと寝られなくつてらつしやるだらうと思つて、」
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
(奥方様付きのお腰元ゆえ、大奥におでとは思うけれど、その大奥がどこにあるやら?)
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
馬場様、——八五郎と子供は後で存分に叱っておきましょう。それはまアそれとして、旦那は昨夕ゆうべから今朝の夜明けまで、どこになすったか、それを
銭形平次捕物控:050 碁敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
もしやあなたは、但馬たじま宗彭しゅうほう沢庵どのではありませぬか。美作みまさかの吉野ごうでは七宝寺に長らく逗留しておでた……
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顔を見れば違っているから、実は落胆がっかりしましたが、娘を持つ親の心持は同じ事で、さぞお前さんの親御も案じておでだろうから、何事も打明けて仰しゃいまし
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「眼の前にお父様がおでなさる。……ああそうしてお兄様も。血だらけになってお在でなさる。……でもお二人とも呼吸いきはある。……助けてお上げよ! 助けてお上げよ!」
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかしよく考えると、本草家ならでも丹峯和尚もこの獣を知りて猪獾に当て𤞵猪と書いたので、その頃これをカモシシと呼んだその名がわずかに程ヶ谷辺に延宝年間まで残りたのだ。
この路筋みちすじさえ御存じでらっしゃれば、世を離れました寂しさばかりで、けだもの可恐おそろしいのはおりませんが、一足でも間違えて御覧なさいまし、何千じょうとも知れぬ谷で、行留ゆきどまりになりますやら
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
作さんという人は店にないから、椿岳の娘は不思議に思って段々作さんという人の容子を聞くと、馬に乗ってるという事から推しても父の椿岳に違いないので、そんならお父さんですというと
「どうして、この片田舎かたいなかに、御赦免の後まで、おでになろう」彼らは、そう聞くと、日ごとに庵へやって来て
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いよ/\おどろいておでなさると、果して伊之助と一緒に来たお若さんの身体が二十四時たつと見えなくなって、間もなく病人のお若さんの息が絶えました。
お嬢様、何時いつまでそうして在らっしゃるおつもりで御座います。お心の広い旦那様は何にも彼も許して、何時いつでもお嬢様をお迎えしようとしてらっしゃいますのに、何を
百唇の譜 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
妾にはわかる、貴男あなたのお姿が! おお直ぐそこにおでなさる。……ああ直ぐにも手が届きそうだ。……左様ならよ、三之丞様! 妾は死んで参ります。……妾は信じて疑いません。
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
中年ちゅうねんから風眼ふうがんわずらッて、つぶれたんだそうだが、別に貧乏というほどでもないのに、舟をがんとめしうまくないという変物へんぶつで、疲曳よぼよぼ盲目めくらながら、つまり洒落しゃれ半分にわたしをやッていたのさ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
読者をぞっとさせる底の珍譚山のごとく、上は王侯より下乞丐こつがいに至るまで聞いて悦腹せざるなく、ロンドンに九年た中、近年大臣など名乗って鹿爪らしく構え居る奴原やつばらに招かれ説教してやり