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土地ところの支配者の権限にせられているし、かつは鎌倉の示唆にも「その策と手段は島の実状にてらして、臨機応変におこなえ」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとえ一枚でも天下の通宝を土にしてはならないという護惜ごしゃくも手つだって、草の根をわけ、石の塊りを起して、収拾にかかっているところへ
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あしたに金光をちりばめし満目まんもくの雪、ゆうべには濁水じょくすいして河海かかいに落滅す。今宵こんしょう銀燭をつらねし栄耀えいようの花、暁には塵芥じんかいとなつて泥土にす。三界は波上のもん、一生は空裡くうりの虹とかや。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
人あるいはかかる事業はよろしくこれを私人の慈善事業にすべしと主張するかもしれぬが、私はこのたいせつな事業を私人の慈善事業に一任せしことすですでに久しきに失したと考える
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
今の青年はいややともすると実用なる科学智識の研究を閑却してヤレ詩を作るの歌をむのあるいは俳句を案ずるのと無用な閑文字かんもんじ脳漿のうしょうしぼっているが、そんな事は専門家にすべき事だ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
全く地にする所でした
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
やんぬるかな、水戸の内政は、正邪相って、瓦崩玉砕がほうぎょくさいするか。眼をねむって、彼奴きゃつらの手にするしかない有様とはなった
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かかる事業はよろしくこれを私人の慈善事業にすべしと主張するかもしれないが、私は、このたいせつな事業を私人の慈善事業に一任せしこと、すですでに長きに失したと考える者である。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
「そうか! ……。それがまこととすれば、古今、稀なといえる、惜しむべき将が、世を去ったものだ。——これからという時代を、われらの手にして」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兵をッて、弾圧すれば、数を加えて来るのみだし、なだめていれば、藤井寺の営さえ、彼らの奇襲と遠巻きにせられて、糧道も絶たれかねない勢いだった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「むむ、間違えば予の生命を人手にしてしまうかもしれぬ大きな賭け事だからな。遠慮は愚かであろう、すべては行く先の運次第だ。誰か知らん乾坤けんこんこころを」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、一族の穴山梅雪入道も明らかに離反を宣して、事もあろうに、その拠城きょじょう江尻を敵にしたばかりか、徳川家康の道案内をつとめて、甲州乱入の先手にあるというのであった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)