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寝
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い
ふりがな文庫
“
寝
(
い
)” の例文
旧字:
寢
人の北を枕として
寝
(
い
)
ぬるを嫌うは、死人を常に北に向けて枕せしむると、北方は陰にして死をつかさどるというとよりきたりしなり。
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
しかしマタイの言葉によれば、「
殿
(
みや
)
の
幔上
(
まくうへ
)
より下まで裂けて二つになり、又地
震
(
ふる
)
ひて岩裂け、墓ひらけて既に
寝
(
い
)
ねたる聖徒の身多く
甦
(
よみがへ
)
」
続西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
殊に『
松林
(
はやし
)
は眠り、谷は
寝
(
い
)
ね』というあたりは、ほんとにありありと谷が眠っているように感じられ、思わず『謹聴!』と声がかかる
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
いやしくも一国の宰相でありながら、夜は更けて
寝
(
い
)
ね、朝は
夙
(
つと
)
に起きいで、時務軍政を見、その上、細かい人事の賞罰までにいちいち心を
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「かくの如く人も
寝
(
い
)
ね臥してまた起きず、天の尽くるまで目覚めず
睡眠
(
ねむり
)
を醒まさざるなり」とは、死後
陰府
(
よみ
)
における生活を描いたもので
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
▼ もっと見る
この夜お登和嬢は
一縷
(
いちる
)
の
望
(
のぞみ
)
を抱いて
寝
(
い
)
ねぬ。小山ぬしの尽力その
甲斐
(
かい
)
あらば大原ぬしは
押付婚礼
(
おしつけこんれい
)
を
免
(
のが
)
れて
忽
(
たちま
)
ち海外へ
赴
(
おもむ
)
き給わん。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
妻はなくて美しき娘あり。また一匹の馬を養う。娘この馬を愛して
夜
(
よる
)
になれば
厩舎
(
うまや
)
に行きて
寝
(
い
)
ね、ついに馬と夫婦になれり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「われは
寝
(
い
)
ねまし、されど
汝
(
な
)
は踊らでやまず。」恋をしながら踊らずにいられぬという、なさけない矛盾が彼を
苛
(
さいな
)
んだ……
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
酔過
(
ゑひすご
)
して
寝
(
い
)
ねたるなれば、今お村が僵れ込みて、
己
(
おの
)
が
傍
(
かたへ
)
に気を失ひ枕をならべて伏したりとも、
心着
(
こゝろづ
)
かざる
状
(
さま
)
になむ。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「芭蕉の句の『馬に
寝
(
い
)
ねて残夢月遠し茶の
烟
(
けむり
)
』というのがその茶粥を炊く煙だそうですが、一体何んなもんですか?」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
教授はそれを好機としてぜひとも一度は日本式の旅館へ泊ってみたいと申し出られ、自分ひとりでその夜を
蒲団
(
ふとん
)
の上に
寝
(
い
)
ね、
味噌汁
(
みそしる
)
で朝食をとられました。
アインシュタイン教授をわが国に迎えて
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
また一度、偶然ある好からぬ者に対して議論をしたことがある。その時の話に、彼は殺されるのが当然で、まさにその肉を
食
(
くら
)
いその皮に
寝
(
い
)
ぬべしと言った。
狂人日記
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
いかなる野末の草に
寝
(
い
)
ね、露に濡れて居るだろう。半日のうちに戻って来ると、あれ程堅く云い残した言葉を思えば、きっと何か変事があったに相違ない。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その夜は南条と共にこの家に枕を並べて
寝
(
い
)
ね、翌朝早々に兵馬は王子へ帰りました。帰って見ればあの事件。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ことにこの街のわかい六騎は温ければ
漁
(
すなど
)
り、風の吹く日は遊び、雨には
寝
(
い
)
ね、
空腹
(
ひもじ
)
くなれば食ひ、酒をのみては月琴を弾き、夜はただ女を抱くといふ風である。
水郷柳河
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
病床に
寝
(
い
)
ねずして、深くそのゆえを考うるに、始めて知る天地の間もとより自然の大勢あり。冥々の間に循環し、しかしてその潜運黙移つねに人意の表に出ず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
一 女は常に
心遣
(
こころづか
)
ひして其身を堅く
謹
(
つつしみ
)
護
(
まもる
)
べし。朝早く起き夜は遅く
寝
(
い
)
ね、昼は
寝
(
いね
)
ずして家の内のことに心を用ひ、
織
(
おり
)
縫
(
ぬい
)
績
(
うみ
)
緝
(
つむぎ
)
怠
(
おこたる
)
べからず。又茶酒
抔
(
など
)
多く
飲
(
のむ
)
べからず。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
自分が飯持て行かぬとて
小言
(
こごと
)
いはれぬだけが近衛よりはましならんか。十日の夜は重なりあひて
寝
(
い
)
ぬ。
従軍紀事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
武男が母は昔
気質
(
かたぎ
)
の、どちらかといえば西洋ぎらいの方なれば、
寝台
(
ねだい
)
に
寝
(
い
)
ねて
匙
(
さじ
)
もて食らうこと思いも寄らねど、さすがに若主人のみは幾分か治外の法権を
享
(
う
)
けて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そうして
梨
(
なし
)
を作り、墨絵をかきなぐり、めりやすを着用し、
午
(
ひる
)
の貝をぶうぶうと鳴らし、
茣蓙
(
ござ
)
に
寝
(
い
)
ね、
芙蓉
(
ふよう
)
の散るを賞し、そうして
水前寺
(
すいぜんじ
)
の吸い物をすするのである。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
さは云へ身の衰へ
行
(
ゆ
)
くを思ひ
候
(
さふら
)
ふて
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
の
眠
(
ねむり
)
をも得たき願ひに夜は
何時
(
いつ
)
も氷を頂きて
寝
(
い
)
ね申し
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
彼方
(
かなた
)
に隠れ、
此方
(
こなた
)
に現はれ、昼
寝
(
い
)
ね、夜起きて、抜けつ潜りつ日を重ね行くうちに、いつしか思ひの外なる
日田
(
ひた
)
の天領に紛れ入りしかば、よき
序
(
ついで
)
なれと
英彦山
(
ひこさん
)
に紛れ入り
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しとしとと来た雨の夜泊の船中で、
寝
(
い
)
ねがてた
苫
(
とま
)
の雫の音を聞いていると翁の胸はしきりに傷んだ。翁は拾って来た娘の家の庭の小石を懐から取出して船燈のかげで検めみる。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
夕に床に
就
(
つ
)
かんとする時、三人の天使わが床に
寝
(
やす
)
みいたり。一人は
裾
(
すそ
)
に二人は
枕辺
(
まくらべ
)
にありて、中央に聖母マリアありぬ。マリアわれに
曰
(
のたま
)
いけるは、
寝
(
い
)
ねよ、ためろうなかれと。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「吾が行へを
寝
(
い
)
ぬ夢に見る」で、あり/\と分つて後追駈けたものであらうかも知れぬ。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
劇
(
はげし
)
く物思ひて
寝
(
い
)
ねざりし夜の明方近く疲睡を催せし貫一は、新緑の雨に暗き七時の
閨
(
ねや
)
に
魘
(
おそは
)
るる夢の苦く
頻
(
しきり
)
に
呻
(
うめ
)
きしを、
老婢
(
ろうひ
)
に
喚
(
よば
)
れて、覚めたりと知りつつ
現
(
うつつ
)
ならず又睡りけるを
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼は三十人の壮士をすぐって、武器をたずさえ、糧食を背負い、
巌窟
(
がんくつ
)
に
寝
(
い
)
ね、野原で食事をして、十日あまりも進むうちに、宿舎を去ること二百里、南のかたに一つの山を認めた。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
恋と小袖は一模様、身に引き締めて抱いて
寝
(
い
)
ねてこそなつかしいということが思われて、どうかして一と目なりとも彼女の姿が見たいと思って、私は折々女の勤めている家の前を
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
一〇八
窓
(
まど
)
の
紙
(
かみ
)
松風
(
まつかぜ
)
を
啜
(
すす
)
りて夜もすがら涼しきに、
一〇九
途
(
みち
)
の
長手
(
ながて
)
に
労
(
つか
)
れ
熟
(
うま
)
く
寝
(
い
)
ねたり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「夜も
更
(
ふ
)
けた。さらばおれはこれから
看経
(
かんきん
)
しょうぞ。
和女
(
おこと
)
は思いのまにまに
寝
(
い
)
ねよ」
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
燭
(
しょく
)
尽きて
更
(
こう
)
を
惜
(
おし
)
めども、更尽きて客は
寝
(
い
)
ねたり。寝ねたるあとにエレーンは、合わぬ瞼の間より男の姿の無理に
瞳
(
ひとみ
)
の奥に押し入らんとするを、幾たびか払い落さんと
力
(
つと
)
めたれど
詮
(
せん
)
なし。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まして我は
寝
(
い
)
ねてだに、うれしき夢見るべき目あてもあらぬ
墓
(
はか
)
なき身なれば、むしろ眠らずして、この
儘
(
まま
)
一夜を闇黒の
中
(
うち
)
に過すべきか、むしろこの一夜の永久なる闇黒界にならんことを
一夜のうれい
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
明日
(
あす
)
よりはたばこやめむと
思
(
も
)
ひつつ
寝
(
い
)
ねあさあけに先づ吸ふ「さつき」のけむり
閉戸閑詠
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
彼は家というものももはや失い、主として山野に
寝
(
い
)
ね、山野に彷徨して、虫けらを食って生存しているのだが、時々、里へ出現ましまして座像化したり、立像化したりをやらかすのである。
沼畔小話集
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
エリスはまだ
寝
(
い
)
ねずとおぼしく、
炯然
(
けいぜん
)
たる一星の火、暗き空にすかせば、明らかに見ゆるが、降りしきる
鷺
(
さぎ
)
のごとき雪片に、たちまち
掩
(
おお
)
われ、たちまちまた
顕
(
あらわ
)
れて、風に
弄
(
もてあそ
)
ばるるに似たり。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その時神に対するイエス御自身の信仰が
磐石
(
ばんじゃく
)
の力となって、「汝ら何ぞ騒ぎかつ泣くか、幼児は死にたるにあらず、
寝
(
い
)
ねたるなり」との確信に満ちた
御言
(
みことば
)
を発せられたのです(五の三九)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
倭
(
やまと
)
恋ひ
寝
(
い
)
の
寝
(
ね
)
らえぬにこころなくこの洲の崎に
鶴
(
たづ
)
鳴くべしや(文武天皇)
万葉集の恋歌に就て
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
神経の痛みに負けて泣かねども
幾夜
(
いくよ
)
寝
(
い
)
ねねば心弱るなり (アララギ)
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「垂仁紀」に天皇
狭穂姫
(
さほひめ
)
皇后の膝を枕に
寝
(
い
)
ね小蛇御頸に
繞
(
まと
)
うと夢みたまいし段に似、長摩納が王を殺さんとして果さなんだところは、『吉野拾遺』、宇野熊王が
楠正儀
(
くすのきまさのり
)
を討ち果せなんだ話に類す。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
葉マキ虫の葉を
綴
(
つゞ
)
りて
寝
(
い
)
ぬる如く、一同皆
蒲団
(
ふとん
)
に
包
(
くる
)
まりて一睡す。
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
世の中のさわぎならねど
寝
(
い
)
をぞねぬあなかま風の竹に鳴る夜は
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
樹
(
こ
)
の
間
(
ま
)
より
燈影
(
ほかげ
)
の漏るゝ見ゆ、伯母は
未
(
ま
)
だ
寝
(
い
)
ねずあるなり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
あくどしや少し恋しとなす人を
撓
(
たゆ
)
まず
寝
(
い
)
ねず思ふと云ひぬ
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
君なくて
塵
(
ちり
)
積もりぬる床なつの露うち払ひいく夜
寝
(
い
)
ぬらん
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
足さすり手さすり
寝
(
い
)
ぬる
夜寒
(
よさむ
)
かな
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
枕もとに妻
寝
(
い
)
ねである夜長かな
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
旅
(
たび
)
に
寝
(
い
)
ね
旅
(
たび
)
にねざめて
おもひで
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
「われは
寝
(
い
)
ねまし、されど
汝
(
な
)
は踊らでやまず。」この文句の語る憂鬱で北国的な、誠実で不器用な感覚の重苦しさを、彼は実によく
識
(
し
)
っている。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
それからも、野に臥し、山に
寝
(
い
)
ね、野鼠の肉をくらい、草の根をかみ、あらゆる危険と辛酸に試されたあげく、やっと青州府の城下にたどりついた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
毎夜狂言見に
行
(
ゆ
)
きたる
帰
(
かえり
)
には、ここに来てかくは云うなりけり。案じてそれまでは
寝
(
い
)
ねたまわず。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寝
常用漢字
中学
部首:⼧
13画
“寝”を含む語句
寝床
寝台
寝室
御寝
寝衣
寝転
寝所
就寝
仮寝
寝間着
寝覚
寝巻
寝返
寝椅子
寝込
寝静
率寝
寝惚
転寝
昼寝
...