)” の例文
そこの八百屋に苺が出てるかどうか見て、若し、出てゝもいのがなかつたら、駅の前まで行つてね。上等のを一箱取つて来て……。
驟雨(一幕) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
生命いのちと取換えの事がそれである。どっちかといえば、見ても見ないでもいい芝居を、いくらいものでも、苦かったら見まいと思う。
当今の劇壇をこのままに (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そうして静かな中にじいっと一つ物を見つめて居る事は今になってさえ止まない私の気持のい胸のときめく様な気のする事である。
M子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
何、米にかねがね聞いている、婆さんお前は心懸こころがけいものだというから、滅多に人にも話されない事だけれども、見せて上げよう。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
上州屋の帳場でも器量のいお若さんが伊之助を尋ねて参ったんですから、すこし岡焼の気味でな、番州はじめ見惚みとれておりまする。
……まあ運のい奴といえばいえましょうが、彼小僧あいつの運がいたんびに船全体の運命がメチャメチャになるんだからかないません。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お狐のふるとのさまがもっていたいろいろのい性質のうち、一つだけはきまって持ちあわせていなかったので、猫は、そのたんびに
「少しも面白くはございません。相手ば六十一万石の大名でも、その日暮しの貧乏人でも、物を盗んでいという理窟はございません」
い分別といふのはほかでもない、もしか卜新老が約束にそむいたら、持前のお医者の腕をふるつてみせる事だ。ゲエテが言つたぢやないか。
主人「種が支那から来ているし飼養法しようほうも進んでいるから琉球豚は上等だよ」大原「どうして支那豚はそんなにいだろう、やっぱり種類を ...
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
浪人のらくな人だか何だか知らないけれども、勝手なことをやって遊んでいるうちに中気が起ったのでしょうが、何にしろい竿だ
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それ處か、彼女が生きてゐる限り私は他の妻、もつとい妻の良人をつととなることは、斷じて不可能だといふこともわかつてゐる。
屹度きツとたまちやんは世界中せかいぢゆうで一ばんねこちがひないわ!おゥ可愛かあいたまちやん!わたし今迄いまゝでのやうに始終しゞゆうまへそばられるかしら!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
『たった一しかいません……。おじいさんが、あまりってはけないとっしゃいますから……。わたしそんなにいたくもない……。』
そうして宗助の持って帰った銘仙めいせん縞柄しまがら地合じあいかずながめては、安い安いと云った。銘仙は全くしないものであった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「なんだ、こんな汚ない、ちいぽけな鳥居か。おまけにお土産になるやうないものは、一つもないぢやないか。」
夢の国 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
「寺にはいない、あんにおるそうだ、ついするとあすこかも判らない、往ってみようか、山番の小屋だったところで、いじゃないか、どうせ腹こなしだ」
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それで、残念なことをしたと思いますのは、このモデルの狆よりも、もっと上手うわてで、恐らく日本一の名狆と思われるい狆を私の知り合いのお方が持っておられます。
「おや、とんだ時計オアニヨンだ」と、ニヤリと笑ってから、「お前さん達は、安南人アナミかね、支那人シノアかね」
までたかくはないが、骨太ほねぶと肉附にくづきい、丸顏まるがほあたまおほきなひとまなじりながれ、はなたかくちしまり、柔和にうわなか威嚴ゐげんのある容貌かほつきで、生徒せいとしたしんでました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
冷かしや調戯からかいずらに俺あいうのじゃねえ。心安立こころやすだてにペラつく口なんだ。何をおめえ、女房にもう直きなる女が、亭主ときまった男に首ったけなのは、この上なしいことなんだ。
中山七里 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
んない着物を着ているから悪いんだ。それに言う事を聞かないで暴れたものだから余計に水を飲んだようだ。風邪なんかひいてくれと頼みもしないのに、真正ほんとうに困る子だ。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
どうも貴方あなた、あれは気違ですよ。それでも品のいことは、ちよいとまあ旗本か何かの隠居さんとつたやうな、然し一体、鼻の高い、目の大きい、せた面長おもながな、こはい顔なんですね。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
裁縫の得意なお節は大抵のものは自分で造つた。彼女は以前から見ると、さうい物でないまでも新しくて自分の好みにかなつたやうな物を着て居た。細君と成つてから大分着物も出来た。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
人のいお婆さんも、うちへ帰って売上げ高を、勘定かんじょうして見ると、お金が足りないので、私達に騙されるのに、気がついたのでしょう。そっと、交番のお巡査まわりさんに、言いつけたと見えます。
納豆合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
またとないい小母さまと思われて、心からなつき慕っているのであった。
此處こゝさへはなれてつたならばんなうつくしくところられるかと、ういふこと是非ぜひともかんがへます、で御座ございますから、わたし矢張やつぱりそのとほりのゆめにうかれて、此樣こん不運ふうんをはるべきが天縁てんえんでは
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「今かい。じだらくはい内のお慰みだ。こつちとらは貧乏人だ。」
センツアマニ (新字旧仮名) / マクシム・ゴーリキー(著)
ところが娘はそうは云うものの両親も一度はそれを許してもみましたが、最早もう年頃でもあるし同じ朋輩ほうばいみんな丸髷まるまげ姿に変るのを見ると親心にもあまり心持こころもちもしない、実はひそかに心配をしていたのだ。
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
「ほんとにあのひとは、い人間すぎてね」
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
もう晩方だ、うちへ帰つたらいではないか
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
それならば、兵卒にいゝ歯を持たせるには、どうしたらいかといふのに、それには子供の時より歯に気をけさせなければならない。
それに此の間香水のいのを二本買っておでなすったのは変だなと、胸がムカ/\と悋気が起って、そうすると声の出方が違います。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鼻筋の通った細面ほそおもてりんとした、品のい横顔がちらりと見えたが、浮上るように身も軽く、引緊ひきしまった裙捌すそさばきで楫棒を越そうとする。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だから目下はあのとおり、ステキにい栄養状態で、精神状態もすこぶる明朗になったらしく、アンナにニコニコしている訳なのだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「なアに、こっちが勝手なんで、有難ありがてえな。ト、ト、ト、散ります散りますと来やがる。へッ、へッ、い色をしているぜ」
お前が真実ほんとうに金持になれば、どんないお嫁さんだって貰えるんだから……。妾よりも若い、っと綺麗な人がお内儀かみさんにできるんだから……。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さうして宗助そうすけつてかへつた銘仙めいせん縞柄しまがら地合ぢあひかずながめては、やすい/\とつた。銘仙めいせんまつたしないものであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あいちやんはほか別段べつだん用事ようじもなかつたので、大方おほかたしまひにはなにことはなしてれるだらうとおもつて悠然ゆつくりつてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
男の気の早いのや息子でも居るとつい云わずともい事まで云い、「ひやかし」の一つも云う様になってますます両方の間が不味まずくなるのであろう。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そうした場合ばあいには、むろんわたくしほうでもよく注意ちゅういしてきいてげ、夜中よなかであるからけないなどとはけっしてもうしませぬ。
それからモー一つ良人たる人の資格はどういうものが一番良いかという点がむずかしいので、学者がいという人もあれば軍人が良いという人もある。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「そうは云っても、我鬼がきまで出来たことじゃ」きろきろと四辺あたりへ眼をやり、落ちている櫛を見つけてそれを取り、「いものがある、これでも持って往こうか」
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「随分めずらしいい竿だな、そしてこんな具合のい軽い野布袋のぼていは見たことがない。」
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
どういう間違で先生が机の中の南京豆や林檎を見付けないとも限らぬ。此んな事に心を配るから書物ほんを見る時間が少くて困る。けれども寄宿舎に較べればんなにいか知れない。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
い親類を持つと云ふものは、人でへばとりなほさず良い友達で、お前にしてもさうだらう、良い友達が有れば、万事の話合手になる、何かの力になる、なう、謂はば親類は一家いつかの友達だ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
チャボのいのがなかろうかと相談しました。
「礼ちゃんの被布ひふですよ、い柄でしょう」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
別ない翼をつけて呉れろと
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
いところのある人だ——
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)