)” の例文
彼処あそこへ避難所をこさいて置いて、ざといえば直ぐ逃げ出す用意はしていた。アナーキストでも地震の威力にはかなわない、」
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「何しに悲しき見送り奉らん、我をばいかにせよとて棄てゝは昇り給ふぞ、具してておはせね」と泣く。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
わずか三百の小勢をて、まだる所も持たない漂泊の亡将にしては、その言葉は、ずいぶん大言であったが、常胤は、むしろその大言を頼母たのもしく見上げて
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聖武天皇の天平てんぴょう十八年正月の日、白雪が積って数寸に至った。左大臣橘諸兄たちばなのもろえが大納言藤原豊成ふじわらのとよなり及び諸王諸臣をて、太上天皇おおきすめらみこと(元正天皇)の御所に参候して雪をはろうた。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
八万四千の眷属けんぞくて、蒼海そうかいを踏み、須弥山しゅみせんさしはさみ、気焔きえん万丈ばんじょう虚空を焼きて、星辰せいしんの光を奪い、白日闇はくじつあんの毒霧に乗じて、ほこふるい、おのを振い、一度ひとたび虚空に朝せんか、持国広目ありとというとも
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はしき少女をて来なんとす。
諸君て小諸町出て秋の晴
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
たれニケム………
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
そんな事とは知らないから前に命ぜられた社員は着々進行してざ実現しようとなると、「アレはやめにした、」とケロリとました顔をしている。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
夫等おっとらてまゐりぬ。
空想はかなり大きく、談論は極めて鋭どかったが、ざ問題にブツかろうとするとカラキシ舞台度胸がなくて、存外※咀しそ逡巡しゅんじゅんして容易に決行出来なかった。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
が、ざ何処かへ何か食べに行こうとなるとなかなかやかましい事をいった。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ざ自分が筆を執る段となると仮名遣いから手爾於波テニヲハ、漢字の正訛せいか、熟語の撰択、若い文人が好い加減に創作した出鱈目でたらめの造語の詮索せんさくから句読くとうの末までを一々精究して際限なく気にしていた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)