)” の例文
旧字:
それ故蛇を殺すにはなるべく多くの細片に切りきざめばことごとく継ぎ合うに時が掛かる、その内に日がるから死んでしまうそうじゃ。
日は全くりしほどに山深き夜のさま常ならず、天かくすまで茂れる森の間に微なる風の渡ればや、樹端こずゑ小枝さえだ音もせず動きて
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
かう浅ましき身を海にもらで、人の御心をわづらはし奉るはつみ深きこと。今の詞はあだならねども、只酔ごこちの一一〇狂言まがことにおぼしとりて、ここの海にすて給へかしといふ。
我が国は当時の地理上の知識において、知りうる限りの世界の最東にあるが故に、所謂日出処ひいづるところ、すなわち「あさ」の国であり、これに対して西方なる支那は日のる国、すなわち「くれ」の国である。
国号の由来 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
日は程なくり方の雲に隠れて静かな夕暮は来た。
ことあげて雖称ほむともつきじ月のる西のえみし大丈夫ますらおごゝろ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
草生くさぶには出でる帯の
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
日はりて東窓の部屋のうちやゝ暗く、すべての物薄墨色になって、暮残りたるお辰白き肌浮出うきいずる如く、活々いきいきとした姿、おぼろ月夜にまことの人を見るように、呼ばゞ答もなすべきありさま
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
なほおこたらず供養きようやうす。露いかばかりそでにふかかりけん。日はりしほどに、山深き夜のさま三二ただならね、石のゆか木の葉のふすまいと寒く、しんほねえて、三三物とはなしにすざまじきここちせらる。
雲霧自然おのづと消え行けば、岩角の苔、樹の姿、ありしに変らでまなこに遮るものもなく、たゞ冬の日の暮れやすく彼方の峯にはやりて、梟の羽翥はばたきし初め、空やゝ暗くなりしばかりなり。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
月はやがてるべく西に廻りて、御堂に射し入る其光り水かとばかり冷かに、端然として合掌せる二人の姿を浮ぶが如くに御堂の闇の中に照し出しぬ。(明治三十四年一月「文芸倶楽部」)
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)