木々の精、谷の精きぎのせい、たにのせい
修吉が北越山中の秋山家を訪ねたとき、恰もそれを見るために遥々やつてきたやうに、まづ仏像のことを尋ねた。 仏像は弥勒だといふ話であつた。観音に似た女性的な柔和な相をし、半跏して、右手で軽く頬杖をついて静思とも安息ともうけとれるやうな姿をしたあ …