“菱”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ひし97.1%
びし2.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
沼の水面は一面ひしが密生して、水の色が見えないのである。沼のふちは雑草が延び放題で爬虫類なぞ想像させ、陰気の上に、うす汚くて、不気味である。
木々の精、谷の精 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
こうした生々した様子になると、赤茶色の水気多い長々と素なおなくきを持ったひしはその真白いささやかな花を、形の良い葉の間にのぞかせてただよう。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
両肱りょうひじひしの字なりに張出してうしろたぼを直し、さてまた最後にはさなが糸瓜へちま取手とってでもつまむがように
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこから山の宿までほんの一と息、平次の足は自然に、ひし屋の大番頭の伜で、手代をしてゐるといふ、清次郎の小間物屋に向つてをります。
たとえば井筒いづつならば井筒をひしにもすれば丸の中にも入れ、輪違いにもすれば四つ合せもするというように、一つの紋をいかほどにも変えて行くのである。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この日、典厩信繁は、黄金こがね作りの武田びし前立まえだて打ったる兜をいただき、黒糸に緋を打ちまぜておどした鎧を着、紺地の母衣ほろに金にて経文を書いたのを負い
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)