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炒
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い
ふりがな文庫
“
炒
(
い
)” の例文
上等にするとその時フライ鍋で
人参
(
にんじん
)
と
玉葱
(
たまねぎ
)
とジャガ芋をよく
炒
(
い
)
り
付
(
つ
)
けて牛肉と一緒に今のブラウンソースへ入れて一時間も煮ますが
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
これらの
川魚
(
かわざかな
)
は、
底
(
そこ
)
の
浅
(
あさ
)
いたらいの
中
(
なか
)
に、
半分
(
はんぶん
)
白
(
しろ
)
い
腹
(
はら
)
を
見
(
み
)
せて、
呼吸
(
こきゅう
)
をしていました。その
隣
(
となり
)
では、
甘
(
あま
)
ぐりを
大
(
おお
)
なべで
炒
(
い
)
っていました。
とびよ鳴け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
火鉢でじいじいと
炒
(
い
)
ためてくれるハムの味、
卵子
(
たまご
)
のむし方、
香
(
こう
)
のもの、思い出して
涎
(
よだれ
)
が出るのだから、よっぽど美味かったのに違いない。
朝御飯
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
子供の小さい膳の上には、いつものように
炒
(
い
)
り玉子と浅草
海苔
(
のり
)
が、載っていた。母親は父親が覗くとその膳を袖で隠すようにして
鮨
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
粳米等を
炒
(
い
)
って室隅に
擲
(
なげう
)
って鼠に食わしめ、炒雑虫(虫焼き)といい、この晩は鼠の事を一切口外せず、直隷永平府地方では
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
さればコン吉は、
手鍋
(
キャスロオル
)
の中で
炒
(
い
)
られる腸詰のごとく、座席の上で転げ廻りながら、ここを
先途
(
せんど
)
と蝙蝠傘に
獅噛
(
しがみ
)
ついている様子。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
敵もさる者、島影を小楯にとって、
忽
(
たちま
)
ち四五台の機関銃を
持出
(
もちだ
)
し、豆を
炒
(
い
)
るような音を立てながら必死になって応戦し始めた。
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もとは若稲のまだよく固まらぬ穂を
摘
(
つ
)
んで、これを火で
炒
(
い
)
って
扁米
(
ひらいごめ
)
というのをこしらえ、神と祖霊に供え、家の者も相伴した。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
続いて豆を
炒
(
い
)
るような音がすると、驚き呆れている三人の眼の前へ、二尺四方もある
向日葵
(
ひまわり
)
の彫刻が、床から抜け出して二三寸セリ上ります。
向日葵の眼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
頓
(
やが
)
て
雨
(
あめ
)
が
全
(
まつた
)
く
霽
(
は
)
れると
共
(
とも
)
に、
今度
(
こんど
)
は
赫々
(
かく/\
)
たる
太陽
(
たいよう
)
は、
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
吾等
(
われら
)
の
上
(
うへ
)
を
照
(
てら
)
して
來
(
き
)
た。
印度洋
(
インドやう
)
中
(
ちう
)
雨後
(
うご
)
の
光線
(
くわうせん
)
はまた
格別
(
かくべつ
)
で、
私
(
わたくし
)
は
炒
(
い
)
り
殺
(
ころ
)
されるかと
思
(
おも
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ハゼと云うのは、
糯
(
もちごめ
)
を
炒
(
い
)
ってふくらましたものを申しますな。どう云う字を書くか存じませんが、多分あれを炒る時に
爆
(
は
)
ぜるからハゼと申すのでしょうか。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
殊
(
こと
)
に
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
に
絡
(
から
)
んだのは
白晝
(
ひるま
)
の
忘
(
わす
)
れる
程
(
ほど
)
長
(
なが
)
い
間
(
あひだ
)
雨戸
(
あまど
)
は
閉
(
と
)
ぢた
儘
(
まゝ
)
で、
假令
(
たとひ
)
油蝉
(
あぶらぜみ
)
が
炒
(
い
)
りつけるやうに
其處
(
そこ
)
らの
木
(
き
)
毎
(
ごと
)
にしがみ
附
(
つ
)
いて
聲
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
鳴
(
な
)
いたにした
處
(
ところ
)
で
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
砂は
灼熱
(
しゃくねつ
)
の太陽に
炒
(
い
)
られて、とても素足で踏むことも出来ぬ位。そして空気もその
輻射
(
ふくしゃ
)
でむーっと暑かった。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
多く室内にゐて珍しく出かけて來たのであらう、日に
炒
(
い
)
りつけられた麥藁帽子の蔭の彼の顏は痛々しく蒼白く、微かに
紅
(
あか
)
みが
潮
(
さ
)
してゐるのがなか/\に哀れである。
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
ところがその蒸しパンも、その外皮が既にぬらぬらして来て、みんな捨てなければならなくなっていました。あと、食べるものといっては、
炒
(
い
)
った豆があるだけでした。
たずねびと
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
焼きのり、
炒
(
い
)
りごま、
七味
(
しちみ
)
、薬味ねぎなどを、好みに応じて加えれば申し分なしといえる。
夜寒に火を囲んで懐しい雑炊
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
ヒルガホの嫩葉。ツクシ。アカザ(嫩葉及び果實)。カタバミ。ネズミモチの實(
炒
(
い
)
り粉にしてコオヒイの代用)。ヨメナの新芽。
椋
(
むく
)
の新芽。桑の新芽。柿の新芽。オホバコ。イヌガラシ。
すかんぽ
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
と、この時銃声が、丘の背後鳳来川の方から、豆を
炒
(
い
)
るように聞こえて来た。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それに味附けした玉子を入れるのですが、その玉子の中に
花鰹
(
はながつお
)
を入れます。
醤油
(
しょうゆ
)
ばかりで、砂糖は
殆
(
ほと
)
んど使いません。玉子はあまり強く
炒
(
い
)
らずに、前に結んである握飯の間に挟んで結び直します。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
それを
炮烙
(
ほうろく
)
で
炒
(
い
)
ってお八つの代わりに食ったりした。それは
百合
(
ゆり
)
のような
鱗片
(
りんぺん
)
から成った球根ではあったが、大きさや格好は今度のと似たものであった。彼はその時分の事をいろいろ思い出していた。
球根
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
朝光よすずしとを見れ
炒
(
い
)
る声の油蝉居ればにいにい蝉居り
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「今お祖母さんが
炒
(
い
)
っていらっしゃいます」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
豆を
炒
(
い
)
るような剣人のうごき。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それは骨も一緒に煮てあるので、先ず鳥の肉を骨ともに一寸位な大きさに切ってフライ鍋へバターを溶かして今の肉を強火でよく
炒
(
い
)
り付けます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
麦こがしは
炒
(
い
)
り麦をはたいて作った粉であって、皆さんも御承知のとおり、食べるとよく咳が出るものであります。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
大暑
(
たいしよ
)
の
日
(
ひ
)
が
井戸
(
ゐど
)
の
水
(
みづ
)
まで
減
(
へ
)
らして
炒
(
い
)
りつける
頃
(
ころ
)
はそれまでに
幾度
(
いくたび
)
か
勘次
(
かんじ
)
の
穀桶
(
こくをけ
)
は
空
(
から
)
に
成
(
な
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
いまごろだと
苺
(
いちご
)
の砂糖煮もパンとつけあわせて美味いし、いんぎんのバタ
炒
(
い
)
り、熱い
粉
(
こ
)
ふき
藷
(
いも
)
に、金沢のうにをつけて食べるのなど夏の朝々には愉しいものの一つだと思う。
朝御飯
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
うまそうな
炒
(
い
)
り肉や、揚げた魚のにおいが、酒とたばこのにおいにまじって、漂っていた。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
作るには
大豆
(
だいず
)
と
玄米
(
げんまい
)
を
炒
(
い
)
って粉にした物へ
糠
(
ぬか
)
を
交
(
まじ
)
えて
白粉
(
しらこ
)
を製し
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それから料理する前に
炮烙
(
ほうろく
)
でよく
炒
(
い
)
って湯の中へ
適宜
(
てきぎ
)
に入れて塩と砂糖を加えて三十分ばかり
掻
(
か
)
き
廻
(
まわ
)
しながら煮ると
粉末
(
こな
)
が
膨
(
ふく
)
れてドロドロになる。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
他の二つは是に比べるとともに遥かに簡便なもの、すなわち
炒
(
い
)
って
脆
(
もろ
)
くしてこれを
搗
(
つ
)
き砕くのと、今一つは水に浸して柔らげて押し
潰
(
つぶ
)
すものとであった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
別に黒胡麻を
炒
(
い
)
って
擂鉢
(
すりばち
)
でよく
摺
(
す
)
って味淋と醤油でドロドロに
弛
(
ゆる
)
めたものの中へ鯛の身を入れて炊きたての御飯へかけて茶椀の
蓋
(
ふた
)
をして出します。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
咳の願掛けに行く人は、必ず豆や
霰餅
(
あられもち
)
の
炒
(
い
)
り物を持参して、
煎
(
せん
)
じ茶と共にこれを両方の石の像に供えました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その代り目の廻るほど忙しきは下女の役、一人は
頻
(
しきり
)
に南京豆を
炮烙
(
ほうろく
)
にて
炒
(
い
)
り、一人は
摺鉢
(
すりばち
)
にて
搗砕
(
つきくだ
)
く。妻君客を
顧
(
かえり
)
み
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
越後
(
えちご
)
の
高田辺
(
たかだあたり
)
でも、米と
大豆
(
だいず
)
をざっと
炒
(
い
)
って飯に炊いたものがオケジャ、
駿河
(
するが
)
の
志太
(
しだ
)
郡では飯を炒って味をつけたのをウケジャまたは
茶菓子
(
ちゃがし
)
ともいっており、
紀州
(
きしゅう
)
の
熊野
(
くまの
)
などでは
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
第百三十三 スカンボロエッグス 玉子へ塩を加えてよく
掻
(
か
)
き
混
(
ま
)
ぜて牛乳少しとバターを少し入れて
炒
(
い
)
り付けます。ちょうど日本風の
炒玉子
(
いりたまご
)
と同じ事です。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
もし入用に臨んで新たに作る物であったならば、特に面倒をして生の穀物をはたき、またはわざわざ
炒
(
い
)
って
脆
(
もろ
)
くする必要はない。最初から水に浸して柔かくして
搗
(
つ
)
けばよかったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それは大豆を麦同様に黒くなるほど
炒
(
い
)
って麦と半分ずつ入れて長く煎じ出します。甘味があって味も結構です。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それよりももっとよろこばれたのは
白黒
(
しろくろ
)
の
大豆
(
だいず
)
の
炒
(
い
)
ったの、つぎには
蚕豆
(
そらまめ
)
という大粒の豆などで、わたしたちの小さいころには菓子というものはべつにあって、これらを菓子とはいわなかったが
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あるいはそぼろ料理のような小さく切ったものは塩湯で湯煮て油で
炒
(
い
)
りつけてそれから二時間も煮抜くのだ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
南魚沼郡では苗代の種籾の残りを乾して
炒
(
い
)
って、特に石臼で荒く挽いたイリ米というものがあった。これは
粥
(
かゆ
)
に煮て病人の
食餌
(
しょくじ
)
にしたというから(
高志路
(
こしじ
)
三巻七号)、名は同じでも別のものである。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それから白胡麻を
炒
(
い
)
って
擂鉢
(
すりばち
)
でよく擂って今の油揚の白い処を入れてまた擂って味淋と酢と砂糖と少しの醤油で味をつけて今の品々と外に蓮根の煮たのを入れてよく
和
(
あ
)
えます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
炒
(
い
)
り
米
(
ごめ
)
と
薩摩薯
(
さつまいも
)
とをまぜて炊いたものがオケジャである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
鬼の来るまで 豆でも
炒
(
い
)
りやしょ
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
炒
漢検1級
部首:⽕
8画
“炒”を含む語句
炒米
炒豆
炒粉
豆炒
油炒
炒付
炒玉子
炒豆腐
炒鶉蛋
炒麦
牛酪炒
空炒
豆炒麦湯