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諱
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い
ふりがな文庫
“
諱
(
い
)” の例文
奈何
(
いかん
)
せん寒微より起りて、智浅く徳
寡
(
すくな
)
し、といえるは、
謙遜
(
けんそん
)
の態度を取り、
反求
(
はんきゅう
)
の工夫に切に、
諱
(
い
)
まず飾らざる、誠に美とすべし。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
されば最後に彼は「これをもて我れ自ら恨み(自己を
諱
(
い
)
み嫌い)、塵と灰との中にて悔ゆ」と
悔改
(
くいあらため
)
の涙を出すに至ったのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
諱
(
い
)
みてその実名を口にせぬ慣習が、根強く残り伝わっているかの、一つの仮説をすらも打ち立てることができなかったのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
蓋し老人は老を
諱
(
い
)
むが故のみ。
若
(
も
)
し少壮なる者ならば、
扶
(
たす
)
けらるるも扶けられざるも与に可、何の
瞋
(
いか
)
ることか有らん。(老学庵筆記、巻八)
放翁鑑賞:07 その七 ――放翁詩話三十章――
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
直言讜議
(
ちょくげんとうぎ
)
、
諱
(
い
)
まず
憚
(
はばか
)
らず、時には国王の
逆鱗
(
げきりん
)
に触れるほどの危きをも冒し、ますます筆鋒を鋭くして、死に至るまで実利主義のために進路の
荊棘
(
けいきょく
)
を
攘
(
はら
)
った。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
▼ もっと見る
昔
一二八
魏
(
ぎ
)
の
公叔座
(
こうしゆくざ
)
病の
牀
(
ゆか
)
にふしたるに、魏王みづからまうでて手をとりつも告ぐるは、
若
(
も
)
し
一二九
諱
(
い
)
むべからずのことあらば、誰をして
一三〇
社稷
(
くに
)
を守らしめんや。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
その父前大納言
慶勝
(
よしかつ
)
が安政五年七月将軍家
後嗣
(
こうし
)
の事に関して井伊大老の
諱
(
い
)
む所となり退隠を命ぜられた時、元千代はまだ生れていなかったので、慶勝の弟
茂徳
(
しげのり
)
が尾州家を継いだ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
公にして
諱
(
い
)
むべからざるあつて、わたくしが
責
(
せめ
)
を問はれる日には、わたくしは割腹して謝する積である。天地神明も照覧あれ、わたくしの心事は公明正大であると、先生は云つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
彼の伝を書くものは皆彼の為めに之を
諱
(
い
)
めり。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
人の実名は
諱
(
い
)
んで呼ばぬのが礼儀であったが、荘園の名主は領家から見れば目下であるがゆえに、勝手にその名乗を取って土地に名づけた。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
孝孺
(
こうじゅ
)
の
集
(
しゅう
)
は、
其
(
その
)
人
(
ひと
)
天子の
悪
(
にく
)
むところ、一世の
諱
(
い
)
むところとなりしを
以
(
もっ
)
て、当時絶滅に帰し、
歿後
(
ぼつご
)
六十年にして
臨海
(
りんかい
)
の
趙洪
(
ちょうこう
)
が
梓
(
し
)
に附せしより、
復
(
また
)
漸
(
ようや
)
く世に伝わるを得たり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
神道の歴史を説く者だけが、それを構わずに呼ぶようになっているが、信ずる人々はなおご本名と思うものは
諱
(
い
)
み
憚
(
はばか
)
っている。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
帝勇武を負い、毎戦
危
(
あやう
)
きを
冒
(
おか
)
す、
楡木川
(
ゆぼくせん
)
の崩、
蓋
(
けだ
)
し
明史
(
みんし
)
諱
(
い
)
みて書せざるある也。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
『碩鼠漫筆』にはアタと
訓
(
よ
)
むべしとあるが、『万葉』には足代の字を当て、また天皇の御名安殿を
諱
(
い
)
みたりとあるから、おそらくは旧説が正しいのであろう。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
皆字ではなくして真実の「名」であって、しかも西洋風にこれを呼びかけることを
諱
(
い
)
まない時節となったのであるからして、新しい風俗に従って字というものを捨ててしまわなければならぬ。
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
武士がある大家の家人となれば、
名簿
(
みょうぶ
)
に二字を書してこれを主人に呈し、実名を
諱
(
い
)
まずに呼んで下さいという儀式を行った。この制度が廃れてから、公けに家号を名乗ることを二字の免許と称した。
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
子孫竜宮の事を問へども婆
諱
(
い
)
みて話さず
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
名を
諱
(
い
)
んだ昔の慣習
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“諱”の解説
諱(いみな)とは、人名の一要素に対する中国など東アジアの漢字圏における呼称である。「忌み名」とも表記される。
(出典:Wikipedia)
諱
漢検1級
部首:⾔
17画
“諱”を含む語句
忌諱
御諱
法諱
諱忌
偏諱
無諱
諱三路
諱名
諱字
遠諱