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要
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い
ふりがな文庫
“
要
(
い
)” の例文
「暮に
要
(
い
)
る金はたった五両、わけがあって、私は知っております。手取り三十五両も入ったら、また
博打
(
ばくち
)
の元手になることでしょう」
銭形平次捕物控:058 身投げする女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ああ、アルバートか」と、弁護士は言い、この訪問客には何も取繕うことは
要
(
い
)
らないというように、布団の上にぐったりと倒れた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
後生
(
ごしょう
)
だから貢がしてくださいよ。ねえ、いいでしょう、いいよう! うんとお言いよ。構うものかね、遠慮も何も
要
(
い
)
るものじゃない。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
玉江さん暑い時分に
唐辛
(
とうがらし
)
のような刺戟物が
要
(
い
)
るのは暑くなると人の
身体
(
からだ
)
は皮膚へ熱の刺撃を受て内部の血液が皮膚の方へ
聚
(
あつ
)
まります。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「……ま、ご意見もいろいろ出たが、こんどは一州一県の
田舎城
(
いなかじろ
)
を
揉
(
も
)
みつぶすのとは、ちとわけが違う。熟慮を要そう。慎重が
要
(
い
)
る」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
主義も、思想も、へったくれも
要
(
い
)
らない。男は
嘘
(
うそ
)
をつく事をやめて、女は慾を捨てたら、それでもう日本の新しい建設が出来ると思う。
嘘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
おかしていた。それで自信がなかったせいもあるが、そのころは半分は本気で、自分には女なんか
要
(
い
)
らないと信じていたのである。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
勿論お金は沢山に
要
(
い
)
るのだったが、今ではもうモデスト・アレクセーイチがちっとも怖くないので、夫の金を遠慮なく撒き散した。
頸の上のアンナ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
『早く
歸
(
けえ
)
つて寢る
事
(
こつ
)
た。
恁麽
(
こんな
)
時何處ウ
徘徊
(
うろつ
)
くだべえ。天理樣拜んで赤痢神が
取附
(
とつつ
)
かねえだら、ハア、何で醫者藥が
要
(
い
)
るものかよ。』
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
地方的の利益をことごとく満足させるには巨額の金が
要
(
い
)
る。故にかくのごとき約束の実行は条件付きであることを知らねばならぬ。
選挙人に与う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
勿論
之
(
これ
)
には多額の費用が
要
(
い
)
るので、金持だけが之をするのだが、大して
裕
(
ゆた
)
かでないギラ・コシサン夫婦はまだ之をしていなかった。
南島譚:02 夫婦
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
金も少しは入るだろうがそれも私がどうなりとして
埒
(
らち
)
を
明
(
あけ
)
ましょう、親類でも無い他人づらが
要
(
い
)
らぬ
差出
(
さしで
)
た才覚と思わるゝか知らぬが
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
要
(
い
)
らない、という風に相手は首をうごかした。鷲尾は赤ン坊を自分の背に
括
(
くく
)
りつけ、腕木に腰かけながら、フッと窓外を見ようとした。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
父さんはこの花を売って、いくらお金をもうけてどうするという細かい
勘定
(
かんじょう
)
をしていらしったのだからそれはずいぶんお金が
要
(
い
)
るようよ
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
国から旅費を送らせる
手数
(
てかず
)
と時間を省くため、私は
暇乞
(
いとまご
)
いかたがた先生の所へ行って、
要
(
い
)
るだけの金を一時立て替えてもらう事にした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御馳走なぞが
要
(
い
)
らずか。この節では、お前さん、一週間に一度ずつ森彦の
旅舎
(
やどや
)
へ行って、新聞を読んで、お風呂に入れて貰って、夕飯を
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
教師になりたい、役人になりたいと、位地をチャンと狙ってやっている。かようかようの位地を得たい、それにはこれだけの学問が
要
(
い
)
る。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
遍路のはいている
護謨底
(
ごむそこ
)
の
足袋
(
たび
)
を
褒
(
ほ
)
めると「どうしまして、これは
草鞋
(
わらじ
)
よりか倍も
草臥
(
くたび
)
れる。ただ草鞋では金が
要
(
い
)
って
敵
(
かな
)
いましねえから」
遍路
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「おい、お前は時計は
要
(
い
)
らないか。」丸太で建てたその象小屋の前に来て、オツベルは琥珀のパイプをくわえ、顔をしかめて斯う
訊
(
き
)
いた。
オツベルと象
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
自然科学の法則で、すべての物体は慣性をもっていて、一旦動き出したものは、それを止めるに力が
要
(
い
)
ることが立証されている。
硝子を破る者
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
なお他にも
要
(
い
)
るボタンがあった。彼はつづけて捜そうとした。しかし彼女はその手から箱をひったくって、自負心から自分で捜し始めた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そんな馬鹿げた事があるものか、酒を飲みに行けば金の
要
(
い
)
るのは
当然
(
あたりまえ
)
の話だ。
夫
(
そ
)
ればかりの金のない
筈
(
はず
)
はないじゃないかと云う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それは
現世
(
げんせ
)
ですることで、こちらの
世界
(
せかい
)
では、そなたも
知
(
し
)
る
通
(
とお
)
り、
衣服
(
きもの
)
の
着
(
き
)
がえにも、
頭髪
(
おぐし
)
の
手入
(
ていれ
)
にも、
少
(
すこ
)
しも
人手
(
ひとで
)
は
要
(
い
)
らぬではないか。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
これは
活
(
い
)
きたる
観世音菩薩
(
かんぜおんぼさつ
)
に仕えるのである、
供養
(
くよう
)
するのであるという観念をもって
心服
(
しんぷく
)
して居りますから、兵隊は沢山
要
(
い
)
らない訳です。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
実は、この甲野八十助は探偵小説家に籍を置いてはいるものの、一向に
栄
(
は
)
えない万年新進作家だった。およそ小説を書くにはタネが
要
(
い
)
った。
火葬国風景
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
分家させるには相当の金が
要
(
い
)
る。こんなことから貰い娘をだんだん邪魔にし始めて……。といっても、世間の眼に立つようなことはしない。
半七捕物帳:16 津の国屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「男には子供というものは要がないのだ。……俺は子はいらない。一生涯、何でそんなものが
要
(
い
)
ろう。一人も要らない。……」
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
「ソレニ、ドウセ自動車ガ
要
(
い
)
ルト思ッタノデ、ヤットノヿデ
掴
(
つか
)
マエテ来マシタ」彼女ハ独得ノ意地ノ悪イ眼デ僕ノ眼ヲ覗イタ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ははあ、では、やっぱりこの筆が気に入ったのだな。絵は
要
(
い
)
らないが、筆が欲しいというのか。そんならこの筆を上げよう」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
林「出て
往
(
ゆ
)
くも
往
(
え
)
かねえも
要
(
い
)
らねえ、
否
(
えや
)
なら
否
(
えや
)
で訳は分ってる、
突然
(
えきなり
)
頭部
(
あたま
)
にやして、本当に呆れてしまう、何だって
打
(
ぶ
)
ったよ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
此奴
(
こやつ
)
、たびたび
要
(
い
)
らんところに現れる
癖
(
くせ
)
がある。以後そのようなことのないように、ここでこの世から吹ッ消してしまうからそう思え!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それでもいくら舵だって相応な熟練は
要
(
い
)
る。一刻でも早く定まれば勝味が増すわけである。窪田は艇の経験ある学生を二三人心で数えて見た。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
印形
(
いんぎょう
)
も
要
(
い
)
る。名誉もかけなければならない。万が一のときは、
俺
(
おれ
)
は見そこなったのだなんていう事は
逃口上
(
にげこうじょう
)
にしかならない。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
稽古
(
けいこ
)
は
引取
(
ひきと
)
つてからでも
充分
(
じうぶん
)
させられるから
其心配
(
そのしんぱい
)
も
要
(
い
)
らぬ
事
(
こと
)
、
兎角
(
とかく
)
くれさへすれば
大事
(
だいじ
)
にして
置
(
お
)
かうからと
夫
(
それ
)
は
夫
(
それ
)
は
火
(
ひ
)
のつく
樣
(
やう
)
に
催促
(
さいそく
)
して
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
乳がありあまるほどあったのでアグリを取戻そうという話も出たがどちらになってもアグリにはもう乳は
要
(
い
)
らないはずだと
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そうして物の一時間と経たない中にもう親も子もノコ/\歩いて行ってしまいます。産婆も何も
要
(
い
)
ったものでございません。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
俺
(
お
)
れが
我
(
わ
)
が
身
(
み
)
というたとて、
自由自儘
(
じいうじまゝ
)
に
成
(
な
)
るならば、
今日
(
けふ
)
の
巫女
(
あづさ
)
も
要
(
い
)
るまいにい……」
婆
(
ばあ
)
さんは
同
(
おな
)
じやうな
句
(
く
)
を
反覆
(
くりかへ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あなたは
嫉妬
(
しつと
)
なんぞなさることは
要
(
い
)
りませんわ! 私、あなたの悲しみをまぎらさうと思つて、ちよつと、からかはうと思つたゞけなんです
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
実は
切迫
(
せっぱ
)
つまった事で、金は
要
(
い
)
る、借りるところはなし。君がいると、一も二もなく相談するのだが、叔母
様
(
さん
)
には言いにくいだろうじゃないか。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
始終お前のすぐそばにおいて、もし助けの
要
(
い
)
る時には、おういと大声で呼んでくれ。そしたら私はお前に加勢しに行ってやろう。私がでたらめを
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
今はこうして半分だけ借りて行っても、すぐ又はあ、伜から金が
要
(
い
)
るって言って来れば、残りの半分を借りて、売り切りになるかも知れませんで。
栗の花の咲くころ
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
靴の底で踏みつぶしてしまったよ。空ではあんなもの必要がないのだ。命が
要
(
い
)
らなかったら、この飛行機が殺してくれるんだからね。ハハハハハハ
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おかげで少々くたびれたから今度は一ツ「御座います」抜きの「説明
要
(
い
)
らず」という映画を御覧に入れる。否……「説明要らず」どころではない。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だつて、これみんな、
要
(
い
)
るものばかりぢやないの、お神さんが、いくらで買ひ取つたか知らないけど、あたしに云へば、掛合ひ方だつてあるわ……。
モノロオグ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
だからして必ずしも大きなものにたのむことは
要
(
い
)
らん。その事柄は平俗なことであっても、そのうちにひそむ主観が大きければそれでよいのである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
笠原は始め下宿から
其処
(
そこ
)
へ通った。夜おそく、
慣
(
な
)
れない気苦労の
要
(
い
)
る仕事ゆえ、疲れて不機嫌な顔をして帰ってきた。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「困ってしまうねえ、そんなことでは……小さいお金はうちで
要
(
い
)
るんだから、これからは自分勝手に、ただで替えてやったりなんかしないで頂戴!」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
侮られしが口惜しさに、石筆を折り、墨を捨て、書物も十露盤も
要
(
い
)
らぬものに、中よき友と埓も無く遊びし美登利。
一葉女史の「たけくらべ」を読みて
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
ぜひにも二人三人手が
要
(
い
)
るゆえ、一両を
餌
(
えさ
)
にして人足共を狩り集めたのじゃ。小判を投げたは早乙女流の人選みよ。
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
櫛が
要
(
い
)
るようなれば、
奢
(
おご
)
ってやっても好い、大した櫛でも無さそうだから、これはここへ頼んで置こう、無くなったところでかまわないと思いだした。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
要
常用漢字
小4
部首:⾑
9画
“要”を含む語句
必要
不要
要求
肝要
要素
要領
要慎
要用
要之
主要
重要
緊要
要所
要約
大要
要諦
不得要領
要心
要訣
要害
...