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ふりがな文庫
“
去
(
い
)” の例文
憎々しげに言いながら
起上
(
たちあ
)
がって「私はお
客様
(
きゃくさん
)
の用で出て来るが、用があるなら待っていておくれ」と台所口から出て
去
(
い
)
って了った。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
『これから大阪までいても、
何處
(
どこ
)
ぞへ泊らんなりまへんよつてな。……大阪から
家
(
うち
)
へは
寂
(
さみ
)
しいよつて、
私
(
わたへ
)
もうよう
去
(
い
)
にまへんがな。』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「お主の賃銀もその話が片づいてから渡すものは渡すそうじゃ、まあ、それまでざいへ
去
(
い
)
んで休んどって貰えやえゝ。」と云った。
豚群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
この人が来る時は、よく私に物を
携
(
も
)
って来てくれました。この人が帰って
去
(
い
)
った後で、爺さんは
必
(
きっ
)
と白銅を一つ握っておりました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
去
(
い
)
ぬる年、
京
(
みやこ
)
にありつる日、鎌倉の
兵乱
(
ひやうらん
)
を聞き、
九二
御所の
師
(
いくさ
)
潰
(
つひ
)
えしかば、総州に避けて
禦
(
ふせ
)
ぎ給ふ。
管領
(
くわんれい
)
これを責むる事
急
(
きふ
)
なりといふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
▼ もっと見る
牝牛を買いたく思う百姓は
去
(
い
)
って見たり来て見たり、容易に決心する事ができないで、絶えず
欺
(
だま
)
されはしないかと惑いつ
懼
(
おそ
)
れつ
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
「もう、六波羅風は
去
(
い
)
んでしもうたし、誰へ気がねもいらぬことじゃ。お内儀がよくなるまでは、ゆっくり、ここで養生して立つがよい」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
豪
(
えら
)
いのね。でも悪魔、
変化
(
へんげ
)
ばかりではない、人間にも
神通
(
じんずう
)
があります。私が問うたら、お前さんは、
去
(
い
)
って聞けと言いましたね。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やがて雀が
去
(
い
)
つてしまふと、総江は駄夫に呼びかけるやうに、アハアハといふ笑ひを洩らし、ホッと両肩を落して空を仰いだ。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ここにその建御名方の神の手を取らむと乞ひ
歸
(
わた
)
して取れば、若葦を取るがごと、
搤
(
つか
)
み
批
(
ひし
)
ぎて、投げ離ちたまひしかば、すなはち逃げ
去
(
い
)
にき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
『オヤ、
其處
(
そこ
)
に
彼
(
か
)
れの
大事
(
だいじ
)
な
鼻
(
はな
)
が
歩
(
ある
)
いて
行
(
い
)
つてよ』
通常
(
なみ/\
)
ならぬ
大
(
おほ
)
きな
肉汁
(
スープ
)
鍋
(
なべ
)
が
其
(
そ
)
の
側
(
そば
)
に
飛
(
と
)
んで
來
(
き
)
て、
正
(
まさ
)
にそれを
取
(
と
)
つて
去
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つたのです。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「どこさって……。わかっていべえに。おみきの匂いこかんだばしで、どうしてこれから
去
(
い
)
んで寝られっけに。行ぐべな。」
鰊漁場
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
すると、何処からか番人が出て来て、見物を押分け、犬の
衿上
(
えりがみ
)
をむずと
掴
(
つか
)
んで何処へか持って
去
(
い
)
く、そこで見物もちりぢり。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
其の後、彼は何処に
去
(
い
)
ったか、宿には姿を見せなくなった。雌牛のような感じを与える彼の事を、私も漸く忘れて行った。
二人のセルヴィヤ人
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
「ほれ御覧、やつぱり猫の方が大事なんやないかいな。リヽーどないぞしてくれへなんだら、わて
去
(
い
)
なして貰ひまつさ。」
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こうしていつか春も去り、やがて蒸し熱い夏となったが、その夏も
去
(
い
)
って秋となった。郷介が治部に随身してから六月の月日が経ったのである。
郷介法師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
幽霊
(
ゆうれい
)
じゃない、幽霊じゃない、あれは嘘かいや、そうとは知らずにきみ子は孫をつれて親元い
去
(
い
)
んだのに。——いねは嬉し泣きに泣きむせんだ。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
彼奴
(
やつ
)
ら
撮
(
つま
)
み塩か何かで、グイグイ引っかけて
去
(
い
)
かア。
宅
(
うち
)
は新店だから、帳面のほか貸しは一切しねえという
極
(
き
)
めなんだ。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「わたし、少し疲れてますし、それに帰りが遠くなるから、先に
去
(
い
)
にますわ。どうせお二人とは別別になるのやし。」
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
私も、あんたはんがおいでやしたんで、今家を黙って出て来ましたよって、早う
去
(
い
)
なんと、年寄りの病人さんが、用事があるといけまへんさかい……
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
皆天には霧の球、地には火山の
弾子
(
だんし
)
、五合目にして一天の霧
漸
(
やうや
)
く
霽
(
は
)
れ、下に
屯
(
よど
)
めるもの、風なきに
逆
(
さか
)
しまに
颺
(
あ
)
がり、故郷を望んで帰り
去
(
い
)
なむを
私語
(
さゞめ
)
く。
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
「いや、そちらから、お話がのうても、今日あたり、こちらから、ボチボチ
去
(
い
)
なせていただこう、思うとりました」
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
……
去
(
い
)
ね、
相談敵手
(
さうだんあひて
)
にした
其方
(
そち
)
ぢゃが、
其方
(
そち
)
と
予
(
わし
)
とは
今
(
いま
)
からは
心
(
こゝろ
)
は
別々
(
べつ/\
)
。……
御坊
(
ごばう
)
の
許
(
ところ
)
へ
往
(
い
)
て
救
(
すく
)
ひを
乞
(
こ
)
はう。
事
(
こと
)
が
皆
(
みな
)
破
(
やぶ
)
れても、
死
(
し
)
ぬる
力
(
ちから
)
は
此身
(
このみ
)
に
有
(
あ
)
る。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「丸田さんによろしう云うてくれ云うて
去
(
い
)
にました。あんたはなかなか苦労人ぢやいうてほめとりましたぞな。」
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
三百は念を押して帰って
去
(
い
)
った。彼は昼頃までそちこち歩き廻って帰って来たが、やはり
為替
(
かわせ
)
が来てなかった。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
去
(
い
)
んぬる歳、拙僧湯殿山に籠り、生身の大日如来を拝まんと、三七二十一日の間、断食の熱願を籠めたのじゃ。
奇談クラブ〔戦後版〕:15 お竹大日如来
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
海の音遠き
午後
(
ひるすぎ
)
、湯上がりの
体
(
たい
)
を安楽
椅子
(
いす
)
に
倚
(
よ
)
せて、鳥の音の清きを聞きつつうっとりとしてあれば、さながら
去
(
い
)
にし春のころここにありける時の
心地
(
ここち
)
して
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
……ウムウム……ところでその女はドッチへ逃げたかお前は知らんか……エエ……どっちの方へ
去
(
い
)
んだか
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
明後日
(
あさつて
)
帰つて来てそれから
又
(
また
)
彼方
(
あつち
)
へ
去
(
い
)
つてしまふんだらう。え。お
糸
(
いと
)
ちやんはもう
其
(
そ
)
れなり
向
(
むか
)
うの人になつちまふんだらう。もう
僕
(
ぼく
)
とは会へないんだらう。」
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
或日一人の美くしい乙女が一つの小石を持って参って春は紫に夏はみどりに秋は黄金色に冬が参れば銀色に輝くと申しのこいてその石を置いて
去
(
い
)
んでしもうた。
胚胎
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
どこへ
去
(
い
)
つたのか分らんやうな、そんなお父さんてあるもんけえ、そのあひだ、おら、街を歩くにも小さくなつて歩いたし、学校へ行つても友達もよう出来んし
父の帰宅
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
本庄が出かけた後に何者かが忍び入り、家探しをした上に、少女を
浚
(
さら
)
って
去
(
い
)
ったに違いない、それにしてもこの部屋の荒しようはどうだろう。足の踏み場もない。
黒猫十三
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
「もう翼が利かないのだ。こうなってはやはり籠の中に
置
(
おい
)
てやった方がいい。」と、
去
(
い
)
ってしまった。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
かく語りつゞけて、末にはいかなる事をか言ひけん、悉くは
解
(
げ
)
せず、又解したるをも今は忘れたれば甲斐なし。これ
去
(
い
)
ぬる夜惡少年の杖を跳り越ゆべかりし翁なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「騒ぐと人が来ますぞ。わしは、当家に恩のあるものでもない——見のがすほどに
去
(
い
)
ぬるがいい——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
彼は
唇
(
くちびる
)
の寒かるべきを思ひて、
空
(
むなし
)
く
鬱抑
(
うつよく
)
して帰り去れり。その言はざりし
語
(
ことば
)
は
直
(
ただち
)
に貫一が胸に響きて、彼は人の
去
(
い
)
にける
迹
(
あと
)
も、なほ聴くに
苦
(
くるし
)
き
面
(
おもて
)
を
得挙
(
えあ
)
げざりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
持ち行きて商主に
訣
(
わか
)
れると、何故
遅
(
おそ
)
く来たか、荷物は皆
去
(
い
)
ってしまった、気は心というから、何か上げたいものと考えた末、かの新たに生まれた駒こそ災難の本なれ
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「お嬢様はすぐお目にかかりますから、暫時お待ち下さいまし」老婦人は部屋を閉めて出て
去
(
い
)
った。
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
甚樣
(
じんさま
)
私
(
わた
)
しの
部屋
(
へや
)
へもお
出
(
いで
)
なされ、
玉突
(
たまつき
)
して
遊
(
あそ
)
びますほどに、と
面白
(
おもしろ
)
げに
誘
(
さそ
)
ひて
座
(
ざ
)
を
立
(
た
)
つ
姉君
(
あねきみ
)
、
早
(
はや
)
く
去
(
い
)
ねがしにはたはたと
障子
(
しやうじ
)
を
立
(
た
)
てヽ、
姉樣
(
ねえさま
)
これ、と
懷中
(
ふところ
)
より
半
(
なか
)
ば
見
(
み
)
せ
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私は今この花を見捨てて
去
(
い
)
ぬるのが
懶
(
もの
)
うくその花辺に彽徊しつついる内に
端
(
はし
)
なく次の句が浮んだ。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
朝影
(
あさかげ
)
に
吾
(
わ
)
が
身
(
み
)
はなりぬ
玉
(
たま
)
耀
(
かぎ
)
るほのかに
見
(
み
)
えて
去
(
い
)
にし
子
(
こ
)
故
(
ゆゑ
)
に 〔巻十一・二三九四〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
皆
(
みんな
)
早う
去
(
い
)
のうよ。——お
主達
(
ぬしだち
)
も早う
去
(
い
)
なないと、見よ、今に南蛮寺の門に食はれるぞよ。恐いぞ、恐いぞ。
昨日
(
きのふ
)
も
一昨日
(
をととひ
)
も人が食はれたさうぢや。皆、去なうよ。去なうよ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
、空を通つた、足の早い風は、いま何處を吹いてゐるか! あの風は、殘つてゐたふゆを浚つて
去
(
い
)
つて、春の來た
今朝
(
けさ
)
は、誰もが陽氣だ。おしやべりは
小禽
(
ことり
)
ばかりではない。
春
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「お前が
天
(
あめ
)
の羽衣の隠してある
処
(
とこ
)
を教へたりなんかするから、お
母
(
ふくろ
)
は
去
(
い
)
つちまつたんだよ。だが
彼
(
あ
)
の女は
遉
(
さす
)
が天の者だけに子供の可愛いことを知らんと見える、人情がないね。」
子良の昇天
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
三人とも裸にむいてお目にかけようとしたのですが、そんならとつとと
去
(
い
)
にまつさ。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
右、臣伏して
見
(
おもんみ
)
れば、
去
(
い
)
にし延喜元年の官符、已に権貴の山川を規錮し、勢家の田地を侵奪することを禁じ、州郡の枳棘を
芟
(
か
)
り、兆庶の蟼蠈を除く。吏治施し易く、民居安きを得たり。
濫僧考:河原者・坂の者・宿の者・非人法師
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
善吉は
漱
(
うがい
)
をしながらうなずく。初緑らの一群は声高に
戯
(
たわぶ
)
れながら
去
(
い
)
ッてしまッた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
「——いや、わても
去
(
い
)
にます、——ひとりで飲んでても、面白いことあらへん」
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
低徊
去
(
い
)
るに忍びず、墓門に立尽して見るともなしに見渡せば、
其処
(
そこ
)
ここに
散
(
ちり
)
のこる
遅桜
(
おそざくら
)
の青葉がくれに白きも寂しく、あなたの草原には野を焼く
烟
(
けむり
)
のかげ、おぼろおぼろに低く
這
(
は
)
い高く迷いて
父の墓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
去
(
い
)
ねといひ
去
(
い
)
なぬといひてかの君と争そひしこともうれしきひとつ
小熊秀雄全集-01:短歌集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
去
常用漢字
小3
部首:⼛
5画
“去”を含む語句
過去
逝去
死去
去来
退去
去年
立去
御逝去
逃去
帰去来
去歳
卒去
去嫌
去來
除去
去冬
薨去
置去
遠去
取去
...