)” の例文
料理番がカモのくびをちょんぎって、はらわたをだしてみますと、はたして、ぶくろのなかにおきさきさまの指輪ゆびわがはいっていました。
それも一つはかならずの薬である、金持ちの家は薬代にも困らぬが、まずしき家では一日分の薬価は一日分の米代に相当する。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
この乞食こじきが三日もめしを食わぬときにいちばんに痛切に感ずるものはである。握飯にぎりめしでも食いたいというのが彼の理想である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
第一だいいちに、青々あを/\した、といふものは、植物しよくぶつにとつては一番いちばん大切たいせつで、ちょうどわれ/\の心臟しんぞうちようのような、生活上せいかつじよう必要ひつよう器官きかんです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
その上僕は自分の忌々いまいましくってたまらなかった。それで酒の力で一つ圧倒してやろうと試みたのだ。あの女もことによると、そうかも知れない
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「肉は決しての要求ばかりじやない。」周三は不圖ふと此様なことを考へた。其をきツかけに、彼はまた何時もの思索家しさくかとなつた。頭は直に曇つて来る。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
おなかの中で、かずの子が水をすってうんとふえたからたまりません。くまは、とうとうがはれつして死んでしまったというようなお話ものっていました。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
ぼくはそのときばけもののぶくろのなかでこのあみをだしてね、すっかりかぶっちまうんだ。それからおなかじゅうをめっちゃめちゃにこわしちまうんだよ。
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「これは、去年きょねんったです。」といって、らんのけてくれました。また、りょうちゃんのおとうさんの、病気びょうきによくきくというくさけてくれました。
春風の吹く町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
〔評〕南洲を病む。英醫偉利斯いりす之をしんして、勞動らうどうすゝむ。南洲是より山野に游獵いうれふせり。人或は病なくして犬をき兎をひ、自ら南洲を學ぶと謂ふ、なり。
わたしたちはこの小屋に逗留とうりゅうするほかはない。ぶくろのひもをかたくしめておく、それだけのことだ。
でも——はからになっていましたし、からだも疲れきっていました。ただもう今夜のとまり、それだけがたれしもの心のねがいでした。さてどうそれがなるのか。
はじかれ寒気さむけおぼえ、吐気はきけもよおして、異様いよう心地悪ここちあしさが指先ゆびさきにまで染渡しみわたると、なにからあたま突上つきあげてる、そうしてみみおおかぶさるようながする。あおひかり閃付ちらつく。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なぜって、考えてみたまえ……ぼくがはだかのままでパンをたべるとするね。パンはぼくの口にはいったときから、のどをとおり、にとどき消化しょうかしてしまうまで、人の目にさらされてしまうのだ。
けれども、ぶくろのなかには石がいっぱいつまっていますので、のどがかわいてたまりません。それで、いずみへいって、水をのもうとしました。
彼の理想というが、これは彼の理想でなくしてその実の理想である。腹がいっぱいになり刺身さしみが食いたいというのは、腹の理想でなく、したの理想である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
こうして一列になって、わたしたちは何時間も、何時間も、ひと言も口をきかずに、寒さで血ののなくなった顔をして、ぬれた足と空っぽなぶくろをかかえて歩きつづけた。
ビフテキが燒いてある?………ほ、それは結構けつこうだね。お前はも強壯な筈だから、ウンと堪能たんのうするさ。俺は殘念ながら、知ツての通り、半熟はんじゆくの卵と牛乳で辛而やつと露命ろめいつないでゐる弱虫だ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
劇烈げきれつな三面記事を、写真版にして引き伸ばしたような小説を、のべつに五六冊読んだら、全くいやになった。飯を食っていても、生活難が飯といっしょにまで押し寄せて来そうでならない。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きさまの皮はいくらひっぱたいても平気でかたいが、ぶくろはひもじいだろうと言った。