)” の例文
新字:
駒平は人並にはける口である。少し飮むと彼はすぐに赤くなつた。さうして云はれるがままに膝を崩した。聲もだんだん高くなつて來た。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
「お時さんはけるんやよつて。」と、お駒は道臣が自分にした盃をお時の前へ置いて、波々と注いだ。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「フン、女のくせに二合もけりや豪儀がうぎだゼ。」とお房はひやゝかに謂ツて、些と傍を向き、「だツて、一月ひとつき儉約けんやくして御覧ごらんなさいな、チヤンと反物たんものが一たんへますとさ。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
廣岡も畑浦もずゐぶんける方であつた。殊に振舞酒には底拔け飮んで醉ひ痴れるのが彼等の習慣だつた。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
お前は何かてえと、おみきお酒ツてお謂ひだけれども、私が幾らむもんじやない。二がふけア大概たいげまゐツて了ふんだかや、月に積ツたツて幾らがものでもありやしないよ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
精力せいりよくはある、覇氣はきはある、酒はける、女には眼が無い、ひらツたく謂ツたら頑固な利かぬ氣のじいさんで、別の言で謂つたら身分の高い野蠻人やばんじんである。其のくせ馬鹿に體面たいめん血統けつとうを重んじて。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)