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『しかし、彼の先生は肺病だと言ふから、あるひは其病気の為に、彼処あそこまでつたものかも知れません。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そんなことをあてにしてぐずぐずしているうちには、欣さんが食うにこまってくる。私の仕送りを頼みにしている身の上なのだから、お金がかなかった日には、どんなに窮るだろう。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「歌よみに与ふる書」を発表した時代には俳句も短歌も要するに形式上の差であって内容にたっては同一のものと論じて居る、それでその頃の歌には、俳句趣味を和歌にも宿そうとした
子規と和歌 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
渡場わたしばに着くと、ちょうど乗合のりあいそろッていたので、すぐに乗込のりこんだ。船頭は未だなかッたが、ところ壮者わかいものだの、娘だの、女房かみさん達が大勢で働いて、乗合のりあい一箇ひとつずつおりをくれたと思い給え。見ると赤飯こわめしだ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)