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井
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い
ふりがな文庫
“
井
(
い
)” の例文
寺の門、町はずれから見たる日光群山、桑畑の
鶏
(
とり
)
、路傍の
吹
(
ふ
)
き
井
(
い
)
、うどんひもかわと書いた
大和障子
(
やまとしょうじ
)
などの写生がだんだんできた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
この瓦版を柏原を振出しにして、
醒
(
さめ
)
ヶ
井
(
い
)
、番場、
高宮
(
こうみや
)
、
越知川
(
えちがわ
)
、
武佐
(
むさ
)
、守山、草津と、大声をあげあげ呼売りをして歩きました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
探険家はだれかというと、川上一郎君、すなわちポコちゃんと、
山
(
やま
)
ノ
井
(
い
)
万造
(
まんぞう
)
君、すなわち
千
(
せん
)
ちゃんと、この二人の少年だった。
宇宙の迷子
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
武蔵野にも
漸
(
ようや
)
く春の訪れが来た。遠くにみえる
秩父
(
ちちぶ
)
の山の雪も消えて
井
(
い
)
の
頭
(
かしら
)
の梅はいま満開である。庭さきへ
鶯
(
うぐいす
)
が来てしきりに
囀
(
さえず
)
って行く。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
愛知川
(
えちがわ
)
、小野、四十九院、
摺針
(
すりばり
)
、
番場
(
ばんば
)
、
醒
(
さめ
)
ヶ
井
(
い
)
、
柏原
(
かしわばら
)
。そして、伊吹のふもとまで、つつがなければもう近い。しかし、遠いここちでもあった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
子供を
負
(
お
)
ぶった
見窄
(
みすぼ
)
らしい中年の男に亀井戸
玉
(
たま
)
の
井
(
い
)
までの道を聞かれ、それが電車でなく徒歩で行くのだと聞いて不審をいだき、同情してみたり
雑記帳より(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
井
(
い
)
の中の
蛙
(
かわず
)
という意味で、
井蛙
(
せいあ
)
と号する人はめずらしくないが、青いという字をかぶらせた
青蛙
(
せいあ
)
の号はすくないらしい。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
井戸は江戸時代にあっては
三宅坂側
(
みやけざかそば
)
の
桜
(
さくら
)
ヶ
井
(
い
)
、
清水谷
(
しみずだに
)
の
柳
(
やなぎ
)
の
井
(
い
)
、
湯島
(
ゆしま
)
の
天神
(
てんじん
)
の
御福
(
おふく
)
の
井
(
い
)
の如き、古来江戸名所の
中
(
うち
)
に数えられたものが多かったが
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いや、最初に彼と一しょに
井
(
い
)
の
頭
(
かしら
)
公園へ出かけた三重子もまだどこかもの
優
(
やさ
)
しい寂しさを帯びていたものである。……
早春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その次は
井
(
い
)
の
頭
(
かしら
)
で、これはどちらかと云えば高級なのが多いらしい。但、夜は高級か低級か保証の限りでない。根津権現はその又次という順序である。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
東の方は
手児名
(
てこな
)
の
社
(
やしろ
)
、その
後
(
うしろ
)
は
瓶
(
かめ
)
の
井
(
い
)
より水が流れ、これより石坂を登ると、弘法寺の堂の前に二葉の
紅葉
(
もみじ
)
、秋の頃は誠に景色の
好
(
よ
)
い処でございます。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私の顔を見つめて、中学生みたいなことをいっているうちに、空襲警報が出て、
井
(
い
)
の
頭
(
がしら
)
線の電車がとまった。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私の家の近くに
井
(
い
)
の
頭
(
かしら
)
公園がある。私は朝と夕方、散歩かたがた、メリーをそこへ運動に連れてゆく。私とメリーがはじめて
邂逅
(
かいこう
)
した場所も、この公園である。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「
玉
(
たま
)
の
井
(
い
)
まで通ってます」と、若い衆が灯火をつけながら教えてくれた。「浅草の方へ行ってますか?」ともう一度尋ねると
雷門
(
かみなりもん
)
の前で止まると云うことであった。
貸家探し
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「私のほうでは、あなたをたびたび見てるんです。ときどき大学かどこかへ出掛けるでしょう?
井
(
い
)
ノ
頭
(
かしら
)
線に乗って。私、同じ電車の箱の中にいたこともあるんです」
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
私情から申しても
怨
(
うら
)
みがござる。公情から申せば主義の敵でござる。貴殿に
闘
(
たたか
)
いを宣するしだい、ご用心あってしかるべく
候
(
そうろう
)
。——
桃
(
もも
)
ノ
井
(
い
)
久馬
(
きゅうま
)
の
息
(
そく
)
兵馬
(
ひょうま
)
より
山県紋也
(
やまがたもんや
)
殿へ
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いわんや同君はすでに書生ではない、卒業の日は浅きにも
係
(
かか
)
わらず堂々たる一個の法学士で、
六
(
む
)
つ
井
(
い
)
物産会社の役員であるのだから吾輩の
驚愕
(
きょうがく
)
もまた一と通りではない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
例えば
粟津
(
あわづ
)
村
井
(
い
)
の
口
(
くち
)
の弘法の池は、村の北の端にある共同井戸でありますが、昔ここにはまだ一つの泉もなかった頃に、ある老婆が米を洗う水を遠くから
汲
(
く
)
んで来たところへ
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
家の近くの、
井
(
い
)
の
頭
(
かしら
)
公園の森にはいった時、私は、やっと自分の大変な姿に気が附いた。
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そればかりでなく、来年三月は、いろいろ都合があって、
袖
(
そで
)
ノ
井
(
い
)
さんと、宿退りをしない約束をしてあるから、今度帰ってくるのは、来年の今ごろになるだろうなどと申しました
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
篠
(
しの
)
の
井
(
い
)
線に乗り替えて、
姨捨
(
おばすて
)
田毎
(
たごと
)
を窓から
覗
(
のぞ
)
いて、泊りはそこで松本が予定であった。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
澤
(
さわ
)
の
井
(
い
)
と申される
女子
(
おなご
)
も、その母親も、十数年前に死去致し、郡奉行、村役人とも、当時在勤の者がおりませず、ただ、近所の百姓共の申し分には、確かに、御落胤らしき
小児
(
しょうに
)
が
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
あの
馬方三吉
(
うまかたさんきち
)
の芝居に出て来るお
乳
(
ち
)
の
人
(
ひと
)
の
重
(
しげ
)
の
井
(
い
)
、———立派な
袿襠
(
うちかけ
)
を着て、大名の
姫君
(
ひめぎみ
)
に仕えている花やかな貴婦人、———自分の夢に見る母はあの三吉の母のような人であり
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ある日、彼はすぐ近くにある、
井
(
い
)
ノ
頭
(
かしら
)
公園の中へはじめて足を踏込んでみた。
永遠のみどり
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「それでもこの間
歌舞伎座
(
かぶきざ
)
の立見につれていってやったら、ちょうど
重
(
しげ
)
の
井
(
い
)
の子別れのところだったが、眼を赤くして涙を流して黙って泣いていた。あれで人情を感じるには感じるんだろう」
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「そりゃそうと、
繁
(
しげ
)
の
井
(
い
)
を久しくやらないね。」
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
井
(
い
)
ノ
頭
(
かしら
)
公園茶店。
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
あっしは十時に店を閉めて、お由が留守だから久し振りで
玉
(
たま
)
の
井
(
い
)
へ行って見る気になりました。今戸から
橋場
(
はしば
)
をぬけて
白鬚橋
(
しらひげばし
)
を渡ったんです。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
井
(
い
)
の中の
蛙
(
かわず
)
——おまえなんかに天下のことがわかるものか、この島をでたら、
分相応
(
ぶんそうおう
)
に、人の
荷物
(
にもつ
)
でもかついで、その
駄賃
(
だちん
)
で
焼餅
(
やきもち
)
でも
頬
(
ほお
)
ばッておれよ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ちょっと伺いますが
亀井戸
(
かめいど
)
へはどう行ったらいいでしょう。……
玉
(
たま
)
の
井
(
い
)
という所へ行くのですが」と言う。
蒸発皿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ある朝彼は山へ行く途中、ちょうど部落のはずれにある
噴
(
ふ
)
き
井
(
い
)
の前を通りかかると、あの娘が三四人の女たちと一しょに、
水甕
(
みずがめ
)
へ水を
汲
(
く
)
んでいるのに
遇
(
あ
)
った。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一 たまたま
柳里恭
(
りゅうりきょう
)
の『画談』といふものを見しに、次の如き
条
(
くだり
)
あり。曰く総じて世の中には
井
(
い
)
の
蛙
(
かわず
)
多し
梁唐宋元明
(
りょうとうそうげんみん
)
の名ある
画
(
が
)
を見ることなき故に絵に力なし。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
伊増
(
います
)
の明神とかいって、古来相当にうたわれないところではなかったけれど、
番場
(
ばんば
)
、
醒
(
さめ
)
ヶ
井
(
い
)
、柏原——不破の関屋は荒れ果てて、という王朝時代の優雅な駅路の数には
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
晩秋の
或
(
あ
)
る日曜日、ふたりは東京郊外の
井
(
い
)
の
頭
(
かしら
)
公園であいびきをした。午前十時。
犯人
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
丁度五ツ
時
(
どき
)
でございましたが、お光の方様へお仕え申して居ります、
表使
(
おもてつかい
)
のお方とやらで、三十くらいの
袖
(
そで
)
ノ
井
(
い
)
様と申すお女中衆と、
鴎硯
(
おうせき
)
と申されるお坊主衆とが一しょでございました
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
井
(
い
)
ノ
口
(
ぐち
)
さん。シッカリおやんなさいよ。名優の菱田新太郎君が
昨日
(
きのう
)
からたった一人であの一番うしろの席に来ておられるのですよ、新太郎君は女嫌いと西洋音楽嫌いで有名な人なんですからね。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
重
(
しげ
)
の
井
(
い
)
の子別れをやっていた。女の子の子役がやった馬追いの三吉におすぎは感心した。その子は自分の役が済んでからは、お
河童髪
(
かっぱがみ
)
の姿になって、花道のわきに行儀よく坐って芝居を見ていた。
夕張の宿
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
場所は、たいがい、
井
(
い
)
の
頭
(
かしら
)
のような処だと思っていただけば
可
(
い
)
い。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
六月中、
海
(
うみ
)
川
(
かわ
)
井
(
い
)
池
(
いけ
)
のほとりに、水の神を
祀
(
まつ
)
るしきたりはあるか。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
井
(
い
)
の
頭
(
かしら
)
公園の旅館に行き次の夜は
丸子園
(
まるこえん
)
に
明
(
あか
)
して三日の後、市ヶ谷の貸間まで一緒に来てやっとわかれた。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
都の中にも、空也の掘った井戸が幾つもあって、その井を、街の人々は“
弥陀
(
みだ
)
の
井
(
い
)
”と、名づけたりした。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は腹立たしそうにこう云うと、くるりと若者に
背
(
せな
)
を向けて、大股に
噴
(
ふ
)
き
井
(
い
)
から歩み去った。若者はしかし勾玉を
掌
(
てのひら
)
の上に載せながら、
慌
(
あわ
)
てて後を追いかけて来た。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たった一度——というのは、すこし説明を要するが、この半平は元来、貞操堅固の男だったのを友人達が引っ張り出して、東都名物の
私娼窟
(
ししょうくつ
)
玉
(
たま
)
の
井
(
い
)
へ連れていったのだった。
幸運の黒子
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
最初から、若い者たちの、やかましい品定めを冷淡にあしらって、何とも言わなかった中老の
醒
(
さめ
)
ヶ
井
(
い
)
が、はてしのない水かけ論に、我慢のなり難い言葉で、こう言い出しました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それが人づてに、その不貞の妻が
玉
(
たま
)
の
井
(
い
)
へんにいると聞いて、今それを捜しに出かけるのだと仮定してみる。帽子も羽織も質に入れたくらいなら電車賃がないという事も可能である。
蒸発皿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ジャンパーに、半ズボンという軽装です。乳母車を押していますね。これは、私の小さい女の子を乳母車に乗せて、ちかくの
井
(
い
)
の
頭
(
かしら
)
、自然文化園の
孔雀
(
くじゃく
)
を見せに連れて行くところです。
小さいアルバム
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「それはわたしも、望んでいるんだが、お由利の便りでは、上役の
袖
(
そで
)
ノ
井
(
い
)
さんとやらが、可愛がって下さるとかで、急いで退りたくはないとのこと。今時の娘の心はわたしにゃ
解
(
げ
)
せないよ」
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「みなさんみなさん、福岡博多で、釣り合いとれぬが何じゃいナ。トコトンヤレトンヤレナ。あれは
井
(
い
)
ノ
口
(
ぐち
)
旦那と奥さん。中洲に(泣かずに)仲よく、暮すが不思議じゃないかいな。トコトンヤレトンヤレナア」
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
菊の花
萎
(
しお
)
るる
籬
(
まがき
)
には
石蕗花
(
つわぶき
)
咲き出で
落葉
(
らくよう
)
の梢に
百舌鳥
(
もず
)
の声早や珍しからず。裏庭の
井
(
い
)
のほとりに栗
熟
(
みの
)
りて落ち
縁先
(
えんさき
)
には
南天
(
なんてん
)
の実、
石燈籠
(
いしどうろう
)
のかげには
梅疑
(
うめもどき
)
色づき
初
(
そ
)
めぬ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
どこの宿屋にも公平に内風呂というものはないので、その
井
(
い
)
の字なりの町のまんなかにある三
棟
(
むね
)
の大湯へ、四方の
旅籠
(
はたご
)
のお客様がみな
手拭
(
てぬぐい
)
をブラ下げて
蝟集
(
いしゅう
)
していた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“井”の意味
《名詞》
(い)井戸。
(出典:Wiktionary)
“井(
井戸
)”の解説
井戸(いど)は、広義には地下資源(地下水、温泉、石油、天然ガス、地熱など)の採取や調査・観測などのために地中に向かって掘った設備。
一般に「井戸」といった場合には地下の帯水層から地下水を汲み上げるために地層や岩石を人工的に掘削した採水施設を指すことが多い。以下、地下水を汲む井戸を中心に説明する。
(出典:Wikipedia)
井
常用漢字
小4
部首:⼆
4画
“井”を含む語句
天井
古井
井水
井浚
市井
大天井
円天井
噴井
井戸側
井戸
天井裏
格天井
三井
軽井沢
井筒
井上
由井
今井
深井
井蛙
...