宿)” の例文
陽炎かげろうのたち昇る春の日に、雲雀ひばりさえずりをききつつ、私のいつも思い出すのは、「春の野に菫摘まむと来しわれぞ野をなつかしみ一夜宿にける」
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
また、「背向そがひ宿しく」は、男女云い争った後の行為のように取れて一層哀れも深いし、女らしいところがあっていい。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
万葉歌の中にはスミレが出ているから、歌人かじんはこれに関心を持っていたことがわかる。すなわちその歌は、「春のにすみれみにとあれぞ、をなつかしみ一夜ひとよ宿にける」
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
新治にひばり 筑波つくは一六を過ぎて、幾夜か宿つる。 (歌謠番號二六)
春の野に董摘まむと来し吾ぞ野をなつかしみ一夜宿にける
或る国のこよみ (新字旧仮名) / 片山広子(著)
山部赤人の歌で、春の原にすみれみに来た自分は、その野をなつかしく思って一夜宿た、というのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「押し照る難波ほり江の葦べには雁宿たるかも霜のらくに」(同・二一三五)等の歌がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)