蹶散けち)” の例文
さうした場合、圭一郎は反撥的にわつと聲をあげたり、千登世をゆすぶり覺まして何かの話に假託かこつけて苦しみを蹶散けちらさうとするやうな卑怯な眞似をした。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
ひづめで落葉を蹶散けちらす音、これは騎兵演習の斥候せっこうか、さなくば夫婦連れで遠乗りに出かけた外国人である。何事をか声高こわだかに話しながらゆく村の者のだみ声、それもいつしか、遠ざかりゆく。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)