けち)” の例文
「巳は男好きだというけれど……」お絹はいささかけちをつけるように言って、からだを壁ぎわの方へ去らして横になった。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
笹村はふと頭が曇って来ると、得意になって二人のしていることに、片端からけちをつけずにはいられなかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
車につんで、溜池ためいけの方にある被服廠ひふくしょう下請したうけをしている役所へはこびこまれて行く、それらの納めものが、気むずかしい役員のためにけちをつけられて、素直に納まらないようなことがざらにあった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「水の音がしないのでね。」融はけちをつけた。
歯痛 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)