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吝
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をし
ふりがな文庫
“
吝
(
をし
)” の例文
否、塵芥は至粋を
駐
(
とゞ
)
むるの
権
(
ちから
)
なきなり、漁郎天人の至美を悟らずして、
徒
(
いたづ
)
らに天衣の
燦爛
(
さんらん
)
たるを
吝
(
をし
)
む、こゝに於てか天人に五衰の悲痛あり。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
世上貫一の
外
(
ほか
)
に愛する者無かりし宮は、その貫一と奔るを
諾
(
うべな
)
はずして、
僅
(
わづか
)
に一
瞥
(
べつ
)
の富の前に、百年の契を
蹂躙
(
ふみにじ
)
りて
吝
(
をし
)
まざりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
醸家の水を貴び水を愛し水を重んじ水を
吝
(
をし
)
む、まことに
所以
(
ゆゑ
)
ある也。剣工の剣を鍛ひて之を
焠
(
さい
)
するや、水悪ければ即ち敗る。
水
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
幕の上に映つたアメリカの役者に、——しかも死んでしまつたヴアレンテイノに拍手を送つて
吝
(
をし
)
まないのは相手を歓ばせる為でも何でもない。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
想ふに羅馬市には、
黄金
(
こがね
)
の
耳環
(
みゝわ
)
を典して、客人を
贖
(
あがな
)
ひ取ることを
吝
(
をし
)
まざる人あるならん。
拿破里
(
ナポリ
)
の
旅稼
(
たびかせぎ
)
は、その後の事とし給はんも
妨
(
さまたげ
)
あらじ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
吝
(
をし
)
まず
大工
(
だいく
)
泥工
(
さくわん
)
を雇ひ俄に
假玄關
(
かりげんくわん
)
を拵らへ晝夜の別なく急ぎ
修復
(
しゆふく
)
を加へ
障子
(
しやうじ
)
唐紙
(
からかみ
)
疊
(
たゝみ
)
まで出來に及べば
此旨
(
このむね
)
飛脚
(
ひきやく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかし猶これを待つに読書家を以てするを
吝
(
をし
)
まなかつたことは、「贈瓊浦石崎君」の作に徴して知られる。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
せぬ事うけ合なり 博物館にも名高き青磁など見るべきものあり是亦一見を
吝
(
をし
)
む勿れ お茶屋は瓢亭
京洛日記
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
手に手をとりくみて日を
経
(
へ
)
給ふが、
終
(
つひ
)
に
心神
(
こころ
)
みだれ、生きてありし日に
違
(
たが
)
はず
戯
(
たはぶ
)
れつつも、其の肉の腐り
爛
(
ただ
)
るるを
吝
(
をし
)
みて、肉を吸ひ骨を
嘗
(
な
)
めて、
四七
はた
喫
(
くら
)
ひつくしぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
判事はあの
欝陶
(
うつたう
)
しい部屋で、あの
気色
(
きしよく
)
悪い人間の死を
訪
(
おとづ
)
れることを避ける為には、少くない金をも
吝
(
をし
)
まなかつた。婚礼と新築祝ならいつでも行くんだけれど、俺は病人や葬式は真平だ。
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
曲馬組の
頭
(
かしら
)
マツテオ・カスペリイニイはけふひどく貧民に同情して、大抵晩の興行に出して、金を倍払ふお客様に見せる程の物は、
吝
(
をし
)
まずに午後の興行にも出す。それ丈の事は別に苦にせずに出来る。
防火栓
(新字旧仮名)
/
ゲオルヒ・ヒルシュフェルド
(著)
神の
授
(
さづけ
)
の
松明
(
たいまつ
)
を
吝
(
をし
)
むな。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
若し彼の風狂を「とり乱してゐる」と言ふ批評家でもあれば、僕はこの批評家に敬意を表することを
吝
(
をし
)
まないであらう。
続芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かの
輩
(
ともがら
)
は貧き人に逢ふときは物取らせて
吝
(
をし
)
むことなし。かの輩は債あるときは期を
愆
(
あやま
)
たず額をたがへずして拂ふなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
夫婦は心を
協
(
あは
)
せて貫一の災難を
悲
(
かなし
)
み、何程の
費
(
つひえ
)
をも
吝
(
をし
)
まず
手宛
(
てあて
)
の限を加へて、
少小
(
すこし
)
の
瘢
(
きず
)
をも
遺
(
のこ
)
さざらんと祈るなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
講談を読むものは新作小説を読まない。読まざる所のものは其人の無用とする所である。しかし其人は己に無用なるものが或は人に有用なるものたるべきを容認することを
吝
(
をし
)
まない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
呼出
(
よびいだ
)
しなば手懸にも相成べし此旨心得置べし此度の儀は
國家
(
こくか
)
の一大事家の
安危
(
あんき
)
なるぞ急げ/\途中は金銀を
吝
(
をし
)
むな喩にも黄金
乏
(
とぼし
)
ければ交り
薄
(
うす
)
しと云へり
女子
(
によし
)
と小人は養ひ難しとの
聖言
(
せいげん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
和尚は人に求められゝば是非無いから吾が有つてゐる者を
吝
(
をし
)
みはしないが、人からは何をも求めまいといふやうな態度で、別に雑話を聞き度くも聞かせ度くも思つて居らぬ風で、食事が済んで後
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
今は呵責をも
苦艱
(
くげん
)
をも
敢
(
あへ
)
て
悪
(
にく
)
まざるべき覚悟の貫一は、この信用の
終
(
つひ
)
には慾の為に
剥
(
は
)
がれ、この
憐愍
(
れんみん
)
も利の為に
吝
(
をし
)
まるる時の目前なるべきを固く信じたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
其処へ幸福なるブウルヂヨアの家庭は教養の機会を与へるのに殆ど何ものをも
吝
(
をし
)
まなかつた。今試みに巽斎自身のその間の消息をもの語つた伝記の数節を抄記すれば、——
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
吝
漢検1級
部首:⼝
7画
“吝”を含む語句
吝嗇
吝嗇漢
吝嗇家
吝嗇坊
鄙吝
吝々
物吝
卑吝
吝嗇者
慳吝
吝嗇奴
吝嗇爺
吝嗇屋
吝嗇臭
吝坊
吝垂
吝気
吝臭
吝薔
貪吝
...