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やぶさか
ふりがな文庫
“
吝
(
やぶさか
)” の例文
それ
故
(
ゆえ
)
彼の行為が、ある程度を越えない限りに於ては、彼の好意を、単なる友人としての好意を、受けるに
吝
(
やぶさか
)
でなかったのである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今
猶
(
なほ
)
父をして子に
對
(
むか
)
ひて
吝
(
やぶさか
)
ならしむる者、人の己を
誹
(
そし
)
るを聞き、事の
眞
(
まこと
)
を
定
(
さだ
)
かにせんためクリメーネの
許
(
もと
)
に行きしことあり 一—三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
若し此事にして余が所説に対して、或は余が所説に動かされて、出でたるものなりとするを得ば、余は至幸至栄なるを謝するに
吝
(
やぶさか
)
ならざるべし。
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
噂に聞けば、フランスの美人は或る風姿や態度の細かい所に気が附いて、その欲望にかなふやうにしてゐれば、決して情を通ずるに
吝
(
やぶさか
)
でないさうだ。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
君よ、たとい僕と離るるとも、もし君が傷ついたならまた僕の所へ帰ってきたまえ。
濡
(
うるお
)
える眸と柔らかな掌とは君を迎えるべく
吝
(
やぶさか
)
ではないであろう。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
▼ もっと見る
したがってその意味でいうならば、犯罪者のうちで私ほど自分の犯行を認めるに
吝
(
やぶさか
)
ならぬ素直な人間はなかったであろうとさえ、自負している人間なのだ。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
同君はその心を
空
(
むなし
)
うして委員全体の批評を待ち、反対論を容るるには毫も
吝
(
やぶさか
)
ならずというが如き態度であった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
で、自然と同窓生も此人を仲間はづれにはしながらも内〻は尊敬するやうになつて、甚だしい茶目吉一二人のほかは、無言の同情を寄せるに
吝
(
やぶさか
)
では無かつた。
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
軍事的行動に於て
所謂
(
いわゆる
)
怒髪天を衝く態に猛勇なばかりでなく、文華の面でこのように独自であり、政府もその評価に
吝
(
やぶさか
)
でないという一つのジェスチュアとして
矛盾の一形態としての諸文化組織
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
斯
(
かか
)
る機会を与ふるに
吝
(
やぶさか
)
なりしと共に、儒教主義の教育を受けたる予も、亦
桑間濮上
(
さうかんぼくじやう
)
の
譏
(
そしり
)
を
惧
(
おそ
)
れたるを以て、無限の離愁を抱きつつ、
孤笈飄然
(
こきふへうぜん
)
として英京に去れり。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は利根の水源であるが故に利根岳又は大刀嶺岳の名を認容するに
吝
(
やぶさか
)
なるものではないが、この局限した
動
(
やや
)
もすれば利刃の如き巌山と
聯想
(
れんそう
)
し易いせっかちな名前よりも
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
鼻は本来自動的には極めて単純な表現力しか持たない……本来無表情と見られても差し支えない事を鼻自身も
直
(
ただち
)
に肯定するに
吝
(
やぶさか
)
なるものでないと信じられるのであります。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
不肖田原が微力を以て、頑迷
不靈
(
ふれい
)
の金力主義者等に對抗し、鋭意諸君竝びに會社の幸福繁榮をはかる爲めに日も足らざりしは、諸君の認むるに
吝
(
やぶさか
)
ならざるところと敢て信じます。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
鉄砲、火薬、望遠鏡、医薬品、皮革、染織類、日用
器玩
(
きがん
)
の類、何でも信長は迎え入れるに
吝
(
やぶさか
)
でない。わけても医学、天文、軍事に関する物など大いに欲求し熱望しているといっていい。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
西洋の学者にすぐれた業績のあることを見のがしてはならず、尊重すべきものを尊重するに
吝
(
やぶさか
)
であってはならぬが、それと共にまた彼らのしごとと彼らの能力とを買いかぶってはならぬ。
日本に於ける支那学の使命
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
想ふに将来我国人は背肉をも脚肉をも食するならん。吾人は
鱷肉
(
がくにく
)
輸入の有望なる事業たるを認め歓迎に
吝
(
やぶさか
)
ならざるものなり。実に我国に於て未だ鱷肉食用の行はれざるは大欠点と云ふべし。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
考証の事に関しては識者
幸
(
さいわい
)
に
教
(
おしえ
)
を
垂
(
た
)
るるに
吝
(
やぶさか
)
なることなかれ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
金博士を迎えるに
吝
(
やぶさか
)
ならぬといわれるのです。
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
されど神の
聖旨
(
みむね
)
によりてかく大いなる
恩惠
(
めぐみ
)
汝の中に輝きわたれば我も汝に寄に
吝
(
やぶさか
)
ならじ、知るべし我はグイード・デル・ドゥーカなり 七九—八一
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
で、自然と同窓生もこの人を仲間はずれにはしながらも内〻は尊敬するようになって、甚だしい
茶目吉
(
ちゃめきち
)
一、二人のほかは、無言の同情を寄せるに
吝
(
やぶさか
)
ではなかった。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
真理を認むるの確なるを謝するに
吝
(
やぶさか
)
ならざらんと欲す、然れども吉野山を以て活用論者の手に委ぬるは、福沢先生を同志社の総理に推すことを好まざると同じく好まざるなり。
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
潤える瞳と温かな掌とは君を容れるに
吝
(
やぶさか
)
ではないであろう。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
物惜しみせぬ
性
(
さが
)
より出でゝ
吝
(
やぶさか
)
なりし彼の性は、貨殖に心專ならざる部下を要せむ。 八二—八四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
吝
漢検1級
部首:⼝
7画
“吝”を含む語句
吝嗇
吝嗇漢
吝嗇家
吝嗇坊
鄙吝
吝々
物吝
卑吝
吝嗇者
慳吝
吝嗇奴
吝嗇爺
吝嗇屋
吝嗇臭
吝坊
吝垂
吝気
吝臭
吝薔
貪吝
...