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却
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かへつ
ふりがな文庫
“
却
(
かへつ
)” の例文
『いや/\、
私
(
わたくし
)
は
却
(
かへつ
)
て、
天外
(
てんぐわい
)
※里
(
ばんり
)
の
此樣
(
こん
)
な
島
(
しま
)
から、
何時
(
いつ
)
までも、
君等
(
きみら
)
に
故郷
(
こきよう
)
の
空
(
そら
)
を
望
(
のぞ
)
ませる
事
(
こと
)
を
情
(
なさけ
)
なく
感
(
かん
)
ずるのです。』と
嘆息
(
たんそく
)
しつゝ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
内儀
(
かみ
)
さんは
什麽
(
どんな
)
にしても
救
(
すく
)
つて
遣
(
や
)
りたいと
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
したら
其處
(
そこ
)
に
障害
(
しやうがい
)
が
起
(
おこ
)
れば
却
(
かへつ
)
てそれを
破
(
やぶ
)
らうと
種々
(
しゆじゆ
)
に
工夫
(
くふう
)
も
凝
(
こら
)
して
見
(
み
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それが
却
(
かへつ
)
て未だ曾て耳にした
例
(
ためし
)
のない美しい樂音を響かせて、その音調の
文
(
あや
)
は春の野に立つ
遊絲
(
かげろふ
)
の微かな影を心の空に
搖
(
ゆる
)
がすのである。
新しき声
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
郵船会社の方が
却
(
かへつ
)
て四円
乃至
(
ないし
)
四円五十銭と申すのは、余りに公平を欠きまする様で——第一に国家の公益で無い様に思ひまするので
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
私
(
わたし
)
今
(
いま
)
ゐるところ
日本
(
にほん
)
の
家
(
いえ
)
でございます。
私
(
わたし
)
日本
(
にほん
)
の
家
(
うち
)
が
好
(
す
)
きでございます。
日本
(
にほん
)
の
西洋家屋
(
せいようかおく
)
はお
粗末
(
そまつ
)
で
却
(
かへつ
)
て
感
(
かん
)
じが
悪
(
わる
)
うございます。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
却
(
かへつ
)
て説淺草福井町に
駕籠舁
(
かごかき
)
を渡世として一人は權三といひ一人は助十とよび二人同長屋に居て
貧
(
まづ
)
しき
暮
(
くら
)
しなれども正直ものといはれ妻子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
カイアヹエ君は又仲介者を立てて
此
(
この
)
社長の文章を詰問して取消を請求したが、社長は応ぜざるのみか
却
(
かへつ
)
て仲介者を
説服
(
せつぷく
)
した。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
決
(
けつ
)
して
心服
(
しんぷく
)
仕
(
つかまつ
)
らじ、しかする
時
(
とき
)
は
杢
(
もく
)
が
命令
(
めいれい
)
行
(
おこな
)
はれで、
背
(
そむ
)
く
者
(
もの
)
の
出
(
い
)
で
來
(
きた
)
らむには、
却
(
かへつ
)
て
國家
(
こくか
)
の
亂
(
らん
)
とならむこと、
憂慮
(
きづかは
)
しく
候
(
さふらふ
)
。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして信吾は、加藤に対して
些
(
すこし
)
の不快な感を抱いてゐない、
却
(
かへつ
)
てそれに親まう、親んで
而
(
そ
)
して繁く往来しよう、と考へた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さるが故に、私は
永代橋
(
えいたいばし
)
の鉄橋をば
却
(
かへつ
)
てかの
吾妻橋
(
あづまばし
)
や
両国橋
(
りやうごくばし
)
の如くに
醜
(
みに
)
くいとは思はない。新しい鉄の橋はよく
新
(
あたら
)
しい
河口
(
かこう
)
の風景に一致してゐる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
飯粒
(
めしつぶ
)
に
釣
(
つ
)
らるゝ
鮒男
(
ふなをとこ
)
がヤレ
才子
(
さいし
)
ぢや
怜悧者
(
りこうもの
)
ぢやと
褒
(
ほ
)
めそやされ、
偶
(
たま
)
さか
活
(
い
)
きた
精神
(
せいしん
)
を
有
(
も
)
つ
者
(
もの
)
あれば
却
(
かへつ
)
て
木偶
(
でく
)
のあしらひせらるゝ事
沙汰
(
さた
)
の
限
(
かぎ
)
りなり。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
自分
(
じぶん
)
は
畫
(
か
)
き
初
(
はじ
)
めたが、
畫
(
か
)
いて
居
(
ゐ
)
るうち、
彼
(
かれ
)
を
忌
(
い
)
ま/\しいと
思
(
おも
)
つた
心
(
こゝろ
)
は
全
(
まつた
)
く
消
(
き
)
えてしまひ、
却
(
かへつ
)
て
彼
(
かれ
)
が
可愛
(
かあい
)
くなつて
來
(
き
)
た。
其
(
その
)
うちに
書
(
か
)
き
終
(
をは
)
つたので
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
却
(
かへつ
)
てわく/\して、少しも手が付かないやうに、信一郎も飛ぶが如くに、過ぎ去らうとする時間を前にして、たゞ茫然と手を拱いてゐる
丈
(
だけ
)
だつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
聴きね、わが思ふやう、基督が世にありし頃に為せるところ
何人
(
なんぴと
)
をも
退
(
しりぞ
)
けし跡はなく、世にさげすまるゝ者には
却
(
かへつ
)
て慈悲を垂れたまへる事多かりき。
トルストイ伯
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
正義
其物
(
そのもの
)
も本来の意味から云へば平衡を得た「力」に過ぎないといふ事を忘れた。「力」の方が原始的で、正義の方は
却
(
かへつ
)
て
転来
(
てんらい
)
的であるといふ事も忘れた。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
爲替相場
(
かはせさうば
)
の
騰貴
(
とうき
)
にも
拘
(
かゝは
)
らず
糸價
(
しか
)
却
(
かへつ
)
て
騰貴
(
とうき
)
し
賣行
(
うれゆき
)
又
(
また
)
良好
(
りやうかう
)
なりしに
米國證劵市場
(
べいこくしようけんしぢやう
)
の
不安定
(
ふあんてい
)
の
爲
(
た
)
め
糸價
(
しか
)
下落
(
げらく
)
したるは
我國
(
わがくに
)
生糸貿易
(
きいとぼうえき
)
の
爲
(
た
)
め
非常
(
ひじやう
)
に
遺憾
(
ゐかん
)
とする
處
(
ところ
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りの
妾
(
せふ
)
が帰郷を
聞
(
きゝ
)
て、親戚ども
打寄
(
うちよ
)
りしが、母上よりは
却
(
かへつ
)
て
妾
(
せふ
)
の顔色の常ならぬに驚きて、
何様
(
なにさま
)
尋常
(
じんじやう
)
にてはあらぬらし、医師を迎へよと口々に
勧
(
すゝ
)
め呉れぬ。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
仕掛
流
(
ながれ
)
の末には
杜若
(
かきつばた
)
など咲き
躑躅
(
つゝぢ
)
盛りなりわづかの處なれど風景よし
笠翁
(
りつをう
)
の詩に山民
習得
(
ならひえ
)
て一身
慵
(
ものう
)
し
間
(
かん
)
に
茅龕
(
ばうがん
)
に臥し
倦
(
うみ
)
て松に
倚
(
よ
)
る
却
(
かへつ
)
て
辛勤
(
しんきん
)
を
把
(
とつ
)
て
澗水
(
かんすゐ
)
に
貽
(
おく
)
る曉夜を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
時
(
とき
)
にはまた、あの
恐
(
おそ
)
るべき
打撃
(
だげき
)
のために、
却
(
かへつ
)
て
獨立
(
どくりつ
)
の
意志
(
いし
)
が
鞏固
(
きようこ
)
になつたといふことのために、
彼女
(
かのぢよ
)
の
悔
(
くゐ
)
は
再
(
ふたゝ
)
び
假面
(
かめん
)
をかぶつて
自
(
みづか
)
ら
安
(
やす
)
んじようと
試
(
こゝろ
)
みることもあつた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「我慢して呉れ。」と詫びる様に言はれるのが
却
(
かへつ
)
て気の毒で辛かつた。一日に一囘はかのお君婆さんの所へ行つて、一時間程愚図ついて来た。そこへ集つて来る人達は
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
頭痛の所へ打ちますと
却
(
かへつ
)
て
天窓
(
あたま
)
が痛んだり致しますので、あまり
療治
(
れうぢ
)
を
頼
(
たの
)
む者はありません。
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
主人は
起
(
た
)
つて外を見た。丁度八と目を見合せるやうになつたが、
固
(
もと
)
より藪の中が見える筈はない。八は少しも
怯
(
おく
)
れたやうな気はしないで、
却
(
かへつ
)
て主人を
好
(
い
)
い
旦那
(
だんな
)
らしいと思つた。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
○
辻売
(
つじうり
)
の
居
(
を
)
る処
売物
(
うりもの
)
の
台架
(
だいたな
)
もみな雪にて作る、是を
里言
(
りげん
)
にさつやといふ。○
獣狩
(
けだものがり
)
、
追鳥
(
おひとり
)
。○
積雪
(
せきせつ
)
家
(
いへ
)
を
埋
(
うづ
)
め
却
(
かへつ
)
て
寒威
(
かんゐ
)
を
禦
(
ふせ
)
ぐ。○
夏
(
なつ
)
も
山間
(
やまあひ
)
の雪を以て
魚鳥
(
うをとり
)
の
肉
(
にく
)
を
擁包
(
つゝみ
)
おけば
敗餒
(
くさら
)
ず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
また
例
(
たと
)
へば、
父母
(
ふぼ
)
はとと
樣
(
さま
)
、はは
樣
(
さま
)
と
呼
(
よ
)
んで
少
(
すこ
)
しも
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
へなきのみならず、
却
(
かへつ
)
て
恩愛
(
おんあい
)
の
情
(
ぜう
)
が
籠
(
こも
)
るのに、
何
(
なに
)
を
苦
(
くるし
)
んでかパパ
樣
(
さま
)
、ママ
樣
(
さま
)
と、
歐米
(
おうべい
)
に
模倣
(
もはう
)
させてゐるものが
往々
(
わう/\
)
ある。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
寫眞
(
しやしん
)
も、この
頃
(
ころ
)
は
猫
(
ねこ
)
も
杓
(
しやく
)
子もやるといふ風な、はやり
物
(
もの
)
になつて、それに
趣味
(
しゆみ
)
を持つなどゝいふのが
變
(
へん
)
に
當
(
あ
)
たり前
過
(
す
)
ぎる
感
(
かん
)
じで、
却
(
かへつ
)
て
氣
(
き
)
がひけるやうなことにさへなつてしまつた。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
私はこれを「
何
(
いつ
)
か
当
(
まさ
)
に共に西牕の燭を
剪
(
き
)
りて、
却
(
かへつ
)
て巴山夜雨の時を
話
(
かた
)
るべき」と読む。
閑人詩話
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
其れで筆を執らうなどとは考へないけれど、じつと
斯
(
か
)
うして寝て居ると
種種
(
いろいろ
)
の感想が浮ぶ。坐禅でもして居る気で其を鎮めようとしても
却
(
かへつ
)
て苦痛であるから、唯妄念の湧くに任せて置く。
産褥の記
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
若き時の
過失
(
あやまち
)
は
人毎
(
ひとごと
)
に
免
(
まねか
)
れず、
懺悔
(
ざんげ
)
めきたる述懷は瀧口
却
(
かへつ
)
て迷惑に存じ候ぞや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
其為に時としては
却
(
かへつ
)
て逆に、古い世にこそ、庶物の精霊が神言をなしたものとすら考へる様になつた。「
磐
(
イハ
)
ね」「
木
(
キ
)
ねだち」「草のかき葉」も神言を表する能力があつたとする考へが是である。
「しゞま」から「ことゝひ」へ
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
却
(
かへつ
)
てその中には、欧米各国の基督教的精神と、一致すべきものさへある。
手巾
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その方が
却
(
かへつ
)
て容易に真実に近づくことが出来るやうに思へるからだ。
詩と現代
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
却
(
かへつ
)
て老伯の議論を誤解したる者なりと
謂
(
い
)
ふ可し。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
も
功
(
こう
)
とならずして、
却
(
かへつ
)
て
咎
(
とがめ
)
のあらむも
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
御承知の如く生は歌よみよりは局外者とか素人とかいはるゝ身に有之從つて詳しき歌の學問は致さず格が何だか文法が何だか少しも承知致さず候へども大體の趣味如何に於ては自ら信ずる所あり此點に就きて
却
(
かへつ
)
て專門の歌よみが不注意を
歌よみに与ふる書
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
それが
如何
(
どう
)
したものか
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
酷
(
ひど
)
く
自分
(
じぶん
)
からお
品
(
しな
)
の
側
(
そば
)
へ
行
(
ゆ
)
きたく
成
(
な
)
つて
畢
(
しま
)
つて、
他人
(
たにん
)
から
却
(
かへつ
)
て
揶揄
(
からか
)
はれるやうに
成
(
た
)
つたのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
催
(
もよほ
)
しける次の間なる吉兵衞は色々と思案し只此上は
我膽力
(
わがたんりよく
)
を
渠等
(
かれら
)
に知らせ
首尾
(
しゆび
)
よく
謀
(
はか
)
らば毒藥も
却
(
かへつ
)
て藥になる時あらん此者共を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あと二軒を見残して
旅館
(
オテル
)
へ帰つたのは午前二時であつた。僕は飲み慣れない強い酒を
色色
(
いろいろ
)
飲んだので
却
(
かへつ
)
て頭が冴えて容易に寝附かれなかつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
吾等
(
われら
)
が
幾年月
(
いくねんげつ
)
の
苦心慘憺
(
くしんさんたん
)
も
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
、
否
(
いや
)
、
我
(
わ
)
が
親愛
(
しんあい
)
なる
日本帝國
(
につぽんていこく
)
の
爲
(
ため
)
に、
計畫
(
けいくわく
)
した
事
(
こと
)
が、
却
(
かへつ
)
て
敵
(
てき
)
に
利刀
(
りたう
)
を
與
(
あた
)
へる
事
(
こと
)
になります。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「さア、
何卒
(
どうぞ
)
是れへ」とお加女が座をいざりて上座を譲らんとするを「ヤ、床の置物は
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かう
)
むらう」と、客は
却
(
かへつ
)
て梅子の座側に近づかんとす
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
向
(
むか
)
うに見える劇場の内部は
天井
(
てんじやう
)
ばかりがいかにも
広々
(
ひろ/″\
)
と見え、舞台は色づき
濁
(
にご
)
つた空気の
為
(
ため
)
に
却
(
かへつ
)
て小さく
甚
(
はなはだ
)
遠く見えた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
去
(
さ
)
りながら
外面
(
おもて
)
に
窮乏
(
きうばふ
)
を
粧
(
よそほ
)
ひ、
嚢中
(
なうちう
)
却
(
かへつ
)
て
温
(
あたゝか
)
なる
連中
(
れんぢう
)
には、
頭
(
あたま
)
から
此
(
この
)
一藝
(
いちげい
)
を
演
(
えん
)
じて、
其家
(
そこ
)
の
女房
(
にようばう
)
娘等
(
むすめら
)
が
色
(
いろ
)
を
變
(
へん
)
ずるにあらざれば、
決
(
けつ
)
して
止
(
や
)
むることなし。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
加之
(
しかのみならず
)
、
文学者
(
ぶんがくしや
)
を
以
(
もつ
)
て
怠慢
(
たいまん
)
遊惰
(
いうだ
)
の
張本
(
ちやうほん
)
となすおせツかいは
偶
(
たま
)
/\
怠慢
(
たいまん
)
遊惰
(
いうだ
)
の
却
(
かへつ
)
て
神
(
かみ
)
の
天啓
(
てんけい
)
に
協
(
かな
)
ふを
知
(
し
)
らざる
白痴
(
たはけ
)
なり。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
それも私一人の為めに村教育が
奈何
(
どう
)
の
恁
(
か
)
うのと言ふのではなし、
却
(
かへつ
)
てお邪魔をしてる様な訳ですからね。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さして行かんには此の峠など小さき坂とも見做すべし
風越
(
かぜごし
)
の
峰
(
みね
)
といふも此あたりだと聞しかど
馬士
(
まご
)
ねから知らず
却
(
かへつ
)
て此山にて明治の始め豪賊を捕へたりなどあらぬ事を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
今別当の夜遊に出たのを真面目な顔で叱つて、自分に盗んだ物の事を問ふときには、何の
訣
(
わけ
)
だか知らないが、
却
(
かへつ
)
て
気色
(
けしき
)
を
和
(
やはら
)
げてゐるやうなのを見て、八はいよいよ主人が
好
(
すき
)
になつた。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
処
(
ところ
)
が
当今
(
たうこん
)
では
皆
(
みな
)
門弟等
(
もんていら
)
や、
孫弟子共
(
まごでしども
)
が
面白
(
おもしろ
)
をかしく
種々
(
いろ/\
)
に、
色取
(
いろどり
)
を
附
(
つ
)
けてお話を
致
(
いた
)
しますから
其方
(
そのはう
)
が
却
(
かへつ
)
てお
面白
(
おもしろ
)
い事でげすが、
円朝
(
わたくし
)
の
申上
(
まうしあ
)
げまするのは
唯
(
たゞ
)
実地
(
じつち
)
に見ました事を
飾
(
かざ
)
りなく
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だがそれを
却
(
かへつ
)
てよいことにして顧みないとは良心が許さぬ、今まで妹のことなどは少しも気にかけて居なかつた、が如何にも心配して居るらしく、手紙を出す毎に真先に妹の容子を尋ねた
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
やゝともすると深みの足りない裏面を対照として
却
(
かへつ
)
て思ひ出させる
丈
(
だけ
)
である。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
或人は此書に於て露伴の文章
漸
(
やうや
)
く西鶴を離れて独創の躰を
出
(
いだ
)
せりと言ひしが、文章に於ては或は然あらんかなれども、其想に至りては
却
(
かへつ
)
て元禄を学ぶこと前の著述よりも多きに似たるを怪しむ。
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
破れる時には
却
(
かへつ
)
て速かに乱離することを知つてをります。
我が祈り:小林秀雄に
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
却
常用漢字
中学
部首:⼙
7画
“却”を含む語句
却説
退却
忘却
冷却
返却
困却
滅却
売却
却々
閑却
脱却
破却
却而
却歩
却下
沒却
没却
擲却
砍却
却〻
...