“にげ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
似気37.3%
34.7%
14.7%
8.0%
似氣1.3%
亡命1.3%
1.3%
遁出1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
どこで工面したか、ヨレヨレの素あわせに、ほおかむり、クマのようなヒゲだけはそり落して柄に似気にげなく人なつっこい声です。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
外の所で愈々突留めた上は、此方の者だ、先がにげようとも隠れようとも其ンな事は平気だ、隠れたら公然と御用で以て蹈込む事も出来る
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
黒吉ですら、時々そうした、蒼白い予感に、体中の血が先きを争って、内部へにげ込んで行くような恐ろしい気持を感じた。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
行歩ぎやうぶかなへる者は、吉野十津川の方へ落ゆく。あゆみもえぬ老僧や、尋常なる修業者、ちごどもをんな童部わらんべは、大仏殿、山階やましな寺の内へ我先にとぞにげ行ける。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
もらはんと行き見れば年が年中物爭ものあらそひ一つなしたる事もなき家には似氣にげなく親と子がさも不快氣ふくわいげなる面地おもゝちして然もなみだ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
安く送らん事最々いと/\容易よういわざながら忠相ぬしつら/\かれを見るに貴介きかい公子こうし落胤らくいん似氣にげなく奸佞かんねい面に顯れ居ればこゝろゆるせぬ曲者くせものなりと夫が成立なりたちよりの事柄を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
古昔むかしそう文帝ぶんていころの中書學生に盧度世ろとせいと云者あり崔浩さいかうの事に坐し亡命にげ高陽かうやうの鄲羆の家に竄る官吏やくにんの子をとらへて之を掠治たゞす其子をいましめて曰君子は身を殺てじん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「抜いたな」と馬琴は感付いたが、にげも走りもしなかった。かえって彼は立ち止まったのである。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
右手の一方は甥の若いのが遣り放し、散らかし放題だが、まだその方へ入ってくれればよかったものをと、さながら遁出にげしたあとの城を、乗取のっとられたようなありさまで。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)