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逃
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にげ
ふりがな文庫
“
逃
(
にげ
)” の例文
火の中に尾はふたまたなる
稀有
(
けう
)
の大
猫
(
ねこ
)
牙
(
きば
)
をならし
鼻
(
はな
)
をふき
棺
(
くわん
)
を目がけてとらんとす。人々これを見て棺を
捨
(
すて
)
、こけつまろびつ
逃
(
にげ
)
まどふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
外の所で愈々突留めた上は、此方の者だ、先が
逃
(
にげ
)
ようとも隠れようとも其ンな事は平気だ、隠れたら公然と御用で以て蹈込む事も出来る
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
見て
逃
(
にげ
)
出し御奉行所へ
駈込
(
かけこま
)
んと
心懸
(
こゝろがけ
)
てぞ居たりける又宅番に當りし長屋の者共
代々
(
かはる/″\
)
に來りては
閑
(
ひま
)
に任せて
噂
(
うはさ
)
をなすに當座
利合
(
りあひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
アヽ解つた、お前此頃
松公
(
まつこう
)
に
逃
(
にげ
)
を打たれたと云ふから、其で
其樣
(
そん
)
なに
自棄糞
(
やけくそ
)
になつてるんだね。道理で目の色が變だと思つた。オヽ物騷々々!
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
村方
(
むらかた
)
の家々にては
慌
(
あわ
)
てゝ戸を閉じ子供は泣く、老人は
杖
(
つえ
)
を棄てゝ
逃
(
にげ
)
るという始末で、いやもう
一方
(
ひとかた
)
ならぬ騒ぎでございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
仮令
(
たとえ
)
一寸
逃
(
にげ
)
ても何とか口を開かねば、只知らぬ存ぜぬでは、突張れない羽目となって来た。その機微を察した署長はどうしてそれを見逃そうぞ。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
蒔
(
ま
)
き散らしてあったお金をそのままにして置いて、檀那衆がお
逃
(
にげ
)
なさると、お辰さんはそれを持ってお
帰
(
かえり
)
なさいました
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
三田は手拭をひつつかむと、
逃
(
にげ
)
るやうに地下室の洗面場へ下りて行つた。臺所の連中からも、一齊に冷かされた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
其れが僕と背中合せの席での事である。
田舎
(
ゐなか
)
廻りの汽車でボギイ車でないから
逃
(
にげ
)
出すべき廊も附いて居ない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ぢやあ僕見てゝやらうや、
逃
(
にげ
)
てく
処
(
とこ
)
を、かあちやん、いつかとうさまの入つしやる時、
釣
(
つり
)
に来ようネ。
鼻で鱒を釣つた話(実事)
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
小間癪
(
こましゃく
)
れて先の知れぬ所へ
行
(
ゆく
)
は
否
(
いや
)
だと
吼顔
(
ほえづら
)
かいて
逃
(
にげ
)
でも仕そうな様子だから、買手の所へ行く間
一寸
(
ちょっと
)
縛って
置
(
おい
)
たのだ、
珠運
(
しゅうん
)
とかいう二才野郎がどういう続きで何の
故障
(
こしょう
)
。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
けれども、
何
(
い
)
づれも不合格者ばかりであつた。始めのうちは体裁の
好
(
い
)
い
逃
(
にげ
)
口上で断わつてゐたが、二年程前からは、急に
図迂
(
づう
)
々々しくなつて、屹度相手にけちを付ける。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
魔法の馬の支度をして置きます。それに乗って、連れてお
逃
(
にげ
)
なさい。それならわたしに出来ます。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
某
(
それがし
)
は
高坂弾正
(
かうさかだんじやう
)
と申して、信玄公
被管
(
ひくわん
)
の内にて一の臆病者也、仔細は
下々
(
しもじも
)
にて
童子
(
わらべこ
)
どものざれごとに、
保科
(
ほしな
)
弾正
鑓
(
やり
)
弾正、高坂弾正
逃
(
にげ
)
弾正と申しならはすげに候、我等が元来を申すに
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いけ
年
(
どし
)
を
仕
(
つかまつ
)
った、学芸記者が
馴
(
な
)
れない軽口の
逃
(
にげ
)
口上で、帽子を
引浚
(
ひっさら
)
うと、すっとは出られぬ、ぎっしり詰合って飲んでいる、めいめいが席を開き、座を立って
退口
(
のきぐち
)
を譲って通した。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女
(
をんな
)
も
逆上
(
のぼせ
)
て
居
(
ゐ
)
た
男
(
をとこ
)
の
事
(
こと
)
なれば
義理
(
ぎり
)
にせまつて
遣
(
や
)
つたので
御座
(
ござ
)
ろといふもあり、
何
(
なん
)
のあの
阿魔
(
あま
)
が
義理
(
ぎり
)
はりを
知
(
し
)
らうぞ
湯屋
(
ゆや
)
の
歸
(
かへ
)
りに
男
(
をとこ
)
に
逢
(
あ
)
ふたれば、
流石
(
さすが
)
に
振
(
ふり
)
はなして
逃
(
にげ
)
る
事
(
こと
)
もならず
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今まではお前にも
秘
(
かく
)
して置いたが、
此
(
こ
)
の窟の奥には大切な宝が
蔵
(
しま
)
ってある。何か大事が
出来
(
しゅったい
)
して、お前が
何
(
ど
)
うしても
此処
(
ここ
)
に居られない
様
(
よう
)
な場合になったら、
其
(
そ
)
れを
持出
(
もちだ
)
して
逃
(
にげ
)
るが
可
(
い
)
い。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『お前は、泣いてゐた子供をいたはらずに、馬へ乗つて
逃
(
にげ
)
ようとしたな』
子供に化けた狐
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
如何にも一般の家庭では男子の権利がまだ
偏
(
かたよ
)
って強い今日、男が微弱な妻を圧服する事は容易でありそうなものですのに、妻に
逃
(
にげ
)
を打たれるというのは男の敗北として恥ずべき一大事でしょう。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「御苦労/\」と川地は
首肯
(
うなづ
)
きつゝ
己
(
おの
)
がポケットの底深く
蔵
(
をさ
)
め「
是
(
こ
)
れが
在
(
あ
)
れば大丈夫だ、早速告発の手続に及ぶよ、実に
不埒
(
ふらち
)
な奴だ、——が、
彼奴
(
やつ
)
、何処か旅行したさうだが、
逃
(
にげ
)
でもしたのぢや
無
(
なか
)
らうナ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
殺戮互に行ひて卑怯の
逃
(
にげ
)
を思ふ無く
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
火の中に尾はふたまたなる
稀有
(
けう
)
の大
猫
(
ねこ
)
牙
(
きば
)
をならし
鼻
(
はな
)
をふき
棺
(
くわん
)
を目がけてとらんとす。人々これを見て棺を
捨
(
すて
)
、こけつまろびつ
逃
(
にげ
)
まどふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
盜
(
ぬす
)
み出して連て
逃
(
にげ
)
たに相違なし元は
只
(
たゞ
)
取
(
とつ
)
て來たものだ
不殘
(
みんな
)
渡しても損にはならねへサア/\渡せ/\と
立
(
たち
)
かゝる故
此方
(
こなた
)
は侍士一人なれども女房を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何
(
ど
)
うせ云われるくらいなれば色になって、
然
(
そ
)
うしてずうっと、二人で下総へ
逃
(
にげ
)
ると云うような
粋
(
いき
)
な世界なら、
何
(
なん
)
と云われても云われ甲斐がありますが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三日四日に
歸
(
かへ
)
りしもあれば一
夜
(
よ
)
居
(
ゐ
)
て
逃
(
にげ
)
出
(
いで
)
しもあらん、
開闢以來
(
かいびやくいらい
)
を
尋
(
たづ
)
ねたらば
折
(
を
)
る
指
(
ゆび
)
に
彼
(
あ
)
の
内儀
(
かみ
)
さまが
袖口
(
そでくち
)
おもはるゝ、
思
(
おも
)
へばお
峯
(
みね
)
は
辛棒
(
しんぼう
)
もの、あれに
酷
(
むご
)
く
當
(
あたつ
)
たらば
天罸
(
てんばつ
)
たちどころに
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
第一此罪人を男か女かとお考えなさい、アノ傷で見れば
死
(
しぬ
)
る迄に余ほど闘った者ですが女ならアレほど闘う中に早く男に刃物を
奪取
(
うばいとら
)
れて
反対
(
あべこべ
)
に殺されます、又背中の傷は
逃
(
にげ
)
た証拠です
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
時計
(
とけい
)
よりは
寧
(
むし
)
ろ
宗助
(
そうすけ
)
の
叙述
(
じよじゆつ
)
の
方
(
はう
)
に
多
(
おほ
)
くの
興味
(
きようみ
)
を
有
(
も
)
つて、
泥棒
(
どろぼう
)
が
果
(
はた
)
して
崖
(
がけ
)
を
傳
(
つた
)
つて
裏
(
うら
)
から
逃
(
にげ
)
げる
積
(
つもり
)
だつたらうか、
又
(
また
)
は
逃
(
に
)
げる
拍子
(
ひやうし
)
に、
崖
(
がけ
)
から
落
(
お
)
ちたものだらうかと
云
(
い
)
ふ
樣
(
やう
)
な
質問
(
しつもん
)
を
掛
(
か
)
けた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
鉄砲は笑って
逃
(
にげ
)
る。成斎は追い附いて、鞭で頭を打つ。「ああ、痛い、先生ひどいじゃありませんか」と、鉄砲はつぶやく。弟子らは面白がって笑った。こういう事は
殆
(
ほとん
)
ど毎日あった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
横町の
小児
(
こども
)
が
足搦
(
あしがらみ
)
の縄を切払うごときは
愚
(
おろか
)
なこと、引外して
逃
(
にげ
)
るはずみに、指が切れて血が流れたのを、立合の
衆
(
ひと
)
が
怪
(
あやし
)
んで目を着けるから、場所を心得て声も懸けなかったほど、思慮の深い女賊は
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうせ御自分でこの中をお
逃
(
にげ
)
なさるのだから。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
あるにまかせて古き箱にいれ、
餌
(
ゑ
)
もいれおきしに、二三日すぎていつ
逃
(
にげ
)
ゆきしやあたりをたづねしかどをらざりしとぞ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
一人二人づつ無理にお宿を申ても此有樣に皆樣が門口よりして
逃
(
にげ
)
ゆかれ今日は
貴方
(
あなた
)
をお止め申し
聊
(
いさゝ
)
か父が藥の
代
(
しろ
)
になさんと存じて御無理にもお宿を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其の勢いに驚き
何
(
ど
)
のくらいの力かと安田は
迚
(
とて
)
も
敵
(
かな
)
わぬと思って
抜刀
(
ぬきみ
)
を持ってばら/\
逃
(
にげ
)
ると、弥次馬に、農業を仕掛けて居た百姓衆が
各々
(
おの/\
)
鋤
(
すき
)
鍬
(
くわ
)
を持って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もうここをお
逃
(
にげ
)
なさるの。7230
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
あるにまかせて古き箱にいれ、
餌
(
ゑ
)
もいれおきしに、二三日すぎていつ
逃
(
にげ
)
ゆきしやあたりをたづねしかどをらざりしとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
と
後
(
あと
)
へ
下
(
さが
)
って傷口を押えると、額から血がダラ/\流れて真赤になり、
真実
(
ほんとう
)
の金太郎の様になります。続いて
逃
(
にげ
)
たらと隠れていた捕者の上手な
富藏
(
とみぞう
)
と云う者が
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
帯
(
おび
)
もせざる女
片手
(
かたて
)
に
小児
(
せうに
)
を
背負
(
せおひ
)
、
提灯
(
ちやうちん
)
を
提
(
さげ
)
て
高処
(
たかきところ
)
へ
逃
(
にげ
)
のぼるは、
近
(
ちか
)
ければそこらあらはに見ゆ、
命
(
いのち
)
とつりがへなればなにをも
恥
(
はづか
)
しとはおもふべからず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
みるよります/\おどろきはせいりければ狼二疋
逃
(
にげ
)
さりけり、あたりをみれば母はゐろりのまへにこゝかしこくひちらされ、
片足
(
かたあし
)
はくひとられてしゝゐたり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
逃
常用漢字
中学
部首:⾡
9画
“逃”を含む語句
逃亡
逃出
逃路
逃去
逃散
逃入
逃避
逃走
取逃
見逃
夜逃
逃帰
逃込
逃失
逃水
逃竄
持逃
逃廻
逃延
逃入村
...