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貽
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おく
ふりがな文庫
“
貽
(
おく
)” の例文
☆
昨七日
(
さくなぬか
)
イ便の葉書にて(
飯田町
(
いいだまち
)
局消印)美人クリイムの語にフエアクリイム
或
(
あるひ
)
はベルクリイムの
傍訓有度
(
ぼうくんありたく
)
との
言
(
げん
)
を
貽
(
おく
)
られし読者あり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それのみか
然様
(
そう
)
いう恐ろしいところではあるが、しかし
沈香
(
じんこう
)
を産するの地に流された因縁で、天香伝一篇を著わして、
恵
(
めぐみ
)
を後人に
貽
(
おく
)
った。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
わたくしは
前
(
さき
)
に榛軒が
病
(
やまひ
)
革
(
すみやか
)
であつた時、物を安石に
貽
(
おく
)
つたことを記した。そして当時未だ此人の身上を詳にしなかつたのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
御身のこれまでの快楽には必要な
刺
(
とげ
)
が無かつた。己は其刺を御身に
貽
(
おく
)
るのだ。御身は己に感謝しても好からう。さらばよ。我指はもう拘攣して来た。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
仕掛
流
(
ながれ
)
の末には
杜若
(
かきつばた
)
など咲き
躑躅
(
つゝぢ
)
盛りなりわづかの處なれど風景よし
笠翁
(
りつをう
)
の詩に山民
習得
(
ならひえ
)
て一身
慵
(
ものう
)
し
間
(
かん
)
に
茅龕
(
ばうがん
)
に臥し
倦
(
うみ
)
て松に
倚
(
よ
)
る
却
(
かへつ
)
て
辛勤
(
しんきん
)
を
把
(
とつ
)
て
澗水
(
かんすゐ
)
に
貽
(
おく
)
る曉夜を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
▼ もっと見る
湯治場へ
貽
(
おく
)
ってくれた大阪の嫂に
土産
(
みやげ
)
にするつもりで、九州にいるその嫂の叔母から譲り受けて来て、そのまま
鞄
(
かばん
)
の底に
潜
(
ひそ
)
めて来た
珊瑚珠
(
さんごじゅ
)
の入ったサックを、机の
抽斗
(
ひきだし
)
から出してお銀にやった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
世にはこの
翁
(
おきな
)
もあやしき藥草を知ること、かのフルヰアといふ媼に劣らずなど云ふものありとぞ。此貴人の使なりとて、「リフレア」着たる
僕
(
しもべ
)
盾銀
(
たてぎん
)
(スクヂイ)二十枚入りたる
嚢
(
ふくろ
)
を我に
貽
(
おく
)
りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
唯懐
(
ただおもひ
)
を
亡
(
な
)
き人に寄せて、形見こそ
仇
(
あだ
)
ならず書斎の壁に掛けたる半身像は、
彼女
(
かのをんな
)
が十九の春の色を
苦
(
ねんごろ
)
に
手写
(
しゆしや
)
して、
嘗
(
かつ
)
て
貽
(
おく
)
りしものなりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そして単に
薬餌
(
やくじ
)
を給するのみでなく、夏は
蚊幮
(
かや
)
を
貽
(
おく
)
り、冬は
布団
(
ふとん
)
を
遣
(
おく
)
った。また三両から五両までの金を、
貧窶
(
ひんる
)
の度に従って与えたこともある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして其の爲に自他に取りて何等の幸福をも來さずして、卻つて幾干かの不幸福を自他に
貽
(
おく
)
りて居ることが無いには限らぬと思はずには居られ無かつた。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
をぢは母上のみまかり給ひしを聞き、又人の我に盾銀二十を
貽
(
おく
)
りしを聞き、母上の
追悼
(
くやみ
)
よりは、かの金の
發落
(
なりゆき
)
のこゝろづかひのために、こゝには
訪
(
おとづ
)
れ來ぬるなり。をぢは聲振り立てゝいふやう。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
勝久が本所松井町福島某の地所に、今の居宅を構えた時に、師匠勝三郎は喜んで、歌を詠じて自ら書し、表装して
貽
(
おく
)
った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
禿山渇水を
到處
(
いたるところ
)
に造り出して、土地の氣候を惡くし、天候を不調にし、一朝豪雨あるに至れば、山潰え水漲りて、不測の害を世間に
貽
(
おく
)
るに至るではないか。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
我がために畫かき、我に
銀※
(
ぎんどけい
)
を
貽
(
おく
)
りし人なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
茶山は襦袢が薄くて
寒
(
さぶ
)
さに耐へぬと云つて、益に繕ふことを頼んだ。又部屋の庖厨の不行届を話したので、蘭軒夫妻は
下物
(
げぶつ
)
飯菜の幾種かを
貽
(
おく
)
つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
眞智識を積むのも亦人類の今日の幸福の源泉になつて居る。徳を積み智を積むことは、即ち大なる植福をうる所以であつて、樹を植ゑて福惠を來者に
貽
(
おく
)
る如き比では無い。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
四月
洗心洞剳記
(
せんしんどうさつき
)
に自序し、これを刻す。頼余一に一本を
貽
(
おく
)
る。又一本を佐藤
坦
(
たひら
)
に寄せ、手書して志を言ふ。七月十七日富士山に登り、剳記を石室に蔵す。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
僅に朝鮮日本に多少の影響を
貽
(
おく
)
つたに過ぎないで今に至り、しかも其教の精神からして世界に衝動を與へたといふほどの事も無くて濟んでゐるから、これに注意するものもおのづから少くて
道教に就いて
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
次年五月は
廩米
(
りんまい
)
中より
糯米
(
じゆべい
)
三俵を取つて柏餅を製し、津軽藩士と親戚故旧とに
貽
(
おく
)
るを例としてゐたさうである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
貽
漢検1級
部首:⾙
12画
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貽貝
以貽後生
貽和