おく)” の例文
新字:
すこ時間じかんおくれたので、寄席よせ一杯いつぱいであつた。二人ふたり坐蒲團ざぶとん餘地よちもない一番いちばんうしろはうに、立膝たてひざをするやうましてもらつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そも/\天上のつるぎたるや、斬るに當りていそがずおくれじ、たゞ望みつゝまたは恐れつゝそを待つ者にかゝる事ありと見ゆるのみ 一六—一八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あの廣々ひろ/″\とした富士ふじ裾野すそのには、普通ふつう登山期とざんきよりもすこおくれてはち九月くがつころには、ことうつくしい秋草あきくさがたくさんきます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
其處そこほねひとく』といふ文句もんくそれ自身じしんがふら/\と新宿しんじゆく停車場ていしやぢやういたのは六月二十日の午前ごぜん何時であつたかわすれた。かく一汽車ひときしやおくれたのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
女王樣ぢよわうさまたゞ彼等かれらが一ぷんでもおくれゝば、れが彼等かれら生命いのちかゝはつてるとふことだけを注意ちういされました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
十二月三十日じふにぐわつさんじふにちきち坂上さかうへ得意場とくいばあつらへの日限にちげんおくれしをびにきて、かへりは懷手ふところでいそあし草履ざうり下駄げたさきにかゝるものは面白おもしろづくにかへして、ころ/\ところげる
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
短歌たんかかたちといふものは、もっともっと、おくれて出來できたもので、すさのをのみことはもちろん、神武天皇じんむてんのうも、やまとたけるのみことも、御存ごぞんじにならなかつたにちがひない、とかんがへてゐるのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
尊敬そんけいはどの種類しゆるゐひとにもあるが、たんおな對象たいしやう尊敬そんけいする場合ばあひ顧慮こりよしてつてると、みちもとめるひとならおくれてゐるものがすゝんでゐるものを尊敬そんけいすることになり、こゝに中間人物ちゆうかんじんぶつなら
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
賣卜者うらなひしやの家へ持込だか先は何處どこだか御存かへと問れて此方こなたは寢耳に水みなさん方も知ての通り吾儕わたくしは子もなく本夫ていしゆおく一箇ひとり者ゆゑ營業に出るとき家に錠をおろとなりたのみかへればまたヤレ火を呉れの湯を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おそうござんすね。」と、衣擦きぬずれの音をさせて這入つて來ながら、フェアファックス夫人は云つた。「ロチスターさんが仰しやつたよりも一時間おくらせて、晩餐を云ひつけといてようござんしたよ。 ...
二十二三の少しとつおくれらしい、これはみにくい女です。
あゝおくれたり、呼ばゝりて過ぎ行く夢の
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
おくれな、わかれな、はなれるな
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
合點がてんつたらかくかへれ、主人あるじ留守るすことはりなしの外出ぐわいしゆつ、これをとがめられるとも申譯まをしわけことばるまじ、すこ時刻じこくおくれたれどくるまならばひ一トとびはなしはかさねてきにかう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『オイ、だまれ!』とつてうさぎさゝやくやうな調子てうしで、『女王樣ぢよわうさまがおまへことをおきになつた!おまへ女王樣ぢよわうさまおくれておでになつたことをつてるだらう、それで女王樣ぢよわうさまあふせらるゝには——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
としはゞ二十六、おくざきはなこづゑにしぼむころなれど、扮裝おつくりのよきと天然てんねんうつくしきと二つあはせて五つほどはわかられぬるとくせう、お子樣こさまなきゆゑ髮結かみゆひとめひしが、あらばいさゝか沈着おちつくべし
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)