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餽
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おく
ふりがな文庫
“
餽
(
おく
)” の例文
叡山筑波山の如きは無くもがなのものだといふ評さへ聞くが、こゝのは
蓋
(
けだ
)
し出來れば出來た方が婦女老幼のために甚大の利を
餽
(
おく
)
ることにならう。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
李が別に臨んで、衣食に窮せぬだけの財を
餽
(
おく
)
ったので、玄機は安んじて観内で暮らすことが出来た。趙が道書を授けると、玄機は喜んでこれを読んだ。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
犬がどうして人に金の皿を
餽
(
おく
)
るものか、犬が人に遣った物の代金を我が受けらりょうか、いかに貧すれば鈍するとて上帝に誓うて爪の端も汝よりは受けられぬ。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
晋国の巡撫から十人の女の楽人を
餽
(
おく
)
ってきた。それは皆美しい女であったが、そのうちでも
嫋嫋
(
じょうじょう
)
という女と仙仙という女がわけて美しかった。二人はもっとも曾に寵愛せられた。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
頼
(
さいわい
)
に加賀町の名主田中平四郎がこれを知って、
密
(
ひそか
)
に竜池に告げた。竜池は急に諸役人に金を
餽
(
おく
)
って
弥縫
(
びほう
)
し、妾に暇を
遣
(
つかわ
)
し、別宅を売り、
遊所通
(
ゆうしょがよい
)
を止めた。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
論士サッダーこれを駁して牝鶏の晨するものは牡鶏同様魔を殺すの功あろうから殺すべからずと言うた。シシリーではかかる牝鶏は売りも
餽
(
おく
)
りもせず、主婦が食うべしという由。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
先頃
(
さきごろ
)
よりの礼厚く
演
(
のべ
)
て子爵より礼の
餽
(
おく
)
り物数々、
金子
(
きんす
)
二百円、代筆ならぬ謝状、お辰が手紙を
置列
(
おきなら
)
べてひたすら低頭平身すれば珠運少しむっとなり、
文
(
ふみ
)
丈
(
だ
)
ケ受取りて其他には手も
付
(
つけ
)
ず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
抽斎は
子婦
(
しふ
)
糸の父田口儀三郎の窮を
憫
(
あわれ
)
んで、百両余の金を
餽
(
おく
)
り、糸をば
有馬宗智
(
ありまそうち
)
というものに再嫁せしめた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
赫〻たる大日輪は
螻蟻
(
ろうぎ
)
の穴にも光を惜まず、美女の
面
(
おもて
)
にも熱を減ぜず、茫〻たる
大劫運
(
だいごふうん
)
は
茅茨
(
ばうし
)
の屋よりも笑声を奪はず、天子眼中にも紅涙を
餽
(
おく
)
る、
尽大地
(
じんだいち
)
の苦、尽大地の楽、
没際涯
(
ぼつさいがい
)
の
劫風
(
ごふふう
)
滾〻
(
こん/\
)
たり
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
なるべく大金を
餽
(
おく
)
って片付けやってくれ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
文の
首
(
はじめ
)
に「新春の御祝儀」と云ふより見れば、「十三日」は正月十三日である。榛軒が金を
餽
(
おく
)
つて賀し、寿海が必ず来り観むことを請ふを見れば、此興行は
廉
(
かど
)
ある興行でなくてはならない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
これは浅草
蔵前
(
くらまえ
)
の
兎桂
(
とけい
)
等で、二十枚百文位で買った絵であるが、当時三枚二百文
乃至
(
ないし
)
一枚百文で売ることが出来た。成善はこの金を得て、
半
(
なかば
)
は
留
(
とど
)
めて母に
餽
(
おく
)
り、半はこれを旅費と学資とに
充
(
あ
)
てた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
餽
漢検1級
部首:⾷
19画
“餽”を含む語句
往来餽遺
餽物