御呉おく)” の例文
織屋おりや色々いろ/\反物たんもの主人しゆじん細君さいくんまへけては、「つて御呉おくれ」といふ言葉ことばをしきりにかへした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
アルマンが「何か本でも読みませうか」と云ふと「いや、書物はよしませう。其れよりカトリヌにひつけて、あの幾つかの箱からわたしの衣類きるゐを出して其処そこ等へならべて御呉おくれ」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
難有ありがたいな。ではね、包丁はうちやうを取つて来てね、此のなはつて御呉おくれ。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
そりやたかいよ幾何々々いくら/\御負おまけなどゝはれると、「ぢやねえね」とか、「をがむからそれでつて御呉おくれ」とか、「まあ目方めかた御呉おくれ」とかすべ異樣いやう田舍ゐなかびたこたへをした。そのたびみんなわらつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)