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狼狽
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うろたえ
ふりがな文庫
“
狼狽
(
うろたえ
)” の例文
スルト
其奴
(
そいつ
)
が矢庭にペタリ尻餠を
搗
(
つ
)
いて、
狼狽
(
うろたえ
)
た眼を円くして、ウッとおれの
面
(
かお
)
を看た其口から血が
滴々々
(
たらたらたら
)
……いや眼に見えるようだ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
枕頭
(
まくらもと
)
で
喚覚
(
よびさ
)
ます下女の声に見果てぬ夢を驚かされて、文三が
狼狽
(
うろたえ
)
た顔を振揚げて向うを見れば、はや障子には朝日影が斜めに
射
(
さ
)
している。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
床
(
ゆか
)
ぐるみに
蹴落
(
けおと
)
さぬかいやい。(
狼狽
(
うろたえ
)
て叫ぶ。人々床几とともに、お沢を
押落
(
おしおと
)
し、取包んで蝋燭の火を一度に消す。)
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それは……」と青年は
吃驚
(
びっく
)
りするほど態度や声を
狼狽
(
うろたえ
)
させたが「どうも此処では申し上げられませんので……」
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
どう
狼狽
(
うろたえ
)
て、この様な処へ親を尋ねて来る、馬鹿ものではござらぬからの。これには何ぞの行違ひ。病気の報告があつたとは、いつさい合点が行かぬ事。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
▼ もっと見る
二郎は余り兄の
狼狽
(
うろたえ
)
たのを意外に思ったけれど、声を一段と低めて、昨夜の夢のあらましを話しました。
迷い路
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
近頃のように学校時代から料理の事を仕込まれていれば
狼狽
(
うろたえ
)
もしませんけれども
副食物拵
(
おかずごしら
)
えは奉公人の役目位に思っていた私ですからサアどうする事も出来ません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
叔父は、
妾
(
わたし
)
共のする事をいつの間にか残らず察しておりまして、次の馬の舞踏会の最中に騒ぎが初まりそうなのを心配して、あんなに
狼狽
(
うろたえ
)
たのに違いございませぬ。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
聞いていた源は急に顔色を変えて、すこし
狼狽
(
うろたえ
)
て、手に持った猪口の酒を
零
(
こぼ
)
しました。書記は一向
無頓着
(
むとんじゃく
)
——何も知らない様子なので、源もすこしは安心したのでした。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
住替えの場合の習慣どおり、銀子の父と浅草の桂庵とが、出しぬけに乗り込み、銀子の手紙で迎えに来たのだと言われ、初めて住替えとわかり、お神は少し
狼狽
(
うろたえ
)
気味であった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
明邪
(
めいじゃ
)
御本体のわからぬ無名の石神様は、身に
甲冑
(
かっちゅう
)
をつけ手に鉾らしいものを持ち、数百年の塵をあびて、
顔容
(
がんよう
)
おそろしげに、足元で浅ましい
狼狽
(
うろたえ
)
ざまをしているふたりの人間どもを、
冷々
(
れいれい
)
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
刻々と
逼
(
せま
)
る黒き影を、すかして見ると女は粛然として、
焦
(
せ
)
きもせず、
狼狽
(
うろたえ
)
もせず、同じほどの歩調をもって、同じ所を
徘徊
(
はいかい
)
しているらしい。身に落ちかかる
災
(
わざわい
)
を知らぬとすれば無邪気の
極
(
きわみ
)
である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
後家さんが、
狼狽
(
うろたえ
)
ていた時、浅吉は
透
(
すか
)
さず再びその袖を取って
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お源はサと顔を真赤にして
狼狽
(
うろたえ
)
きった声を
漸
(
やっ
)
と出して
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それを
故意
(
わざ
)
と心附かぬ
風
(
ふり
)
をして、
磊落
(
らいらく
)
に母親に物をいッたりするはまだな事、昇と眼を見合わして、
狼狽
(
うろたえ
)
て横へ外らしたことさえ
度々
(
たびたび
)
有ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
しかも変な事には、何を
狼狽
(
うろたえ
)
たか、一枚半だけ、
罫紙
(
けいし
)
で残して、明日の分を、ここへ、これ(火曜)としたぜ。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少時
(
しばらく
)
思の道を絶ッてまじまじとしていてみるが、それではどうも大切な用事を仕懸けて
罷
(
や
)
めたようで心が
落居
(
おちい
)
ず、
狼狽
(
うろたえ
)
てまたお勢の事に立戻って悶え苦しむ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
小刻みながら影が
映
(
さ
)
す、
衣
(
きぬ
)
の色香を一目見ると、じたじたとなって胴震いに
立窘
(
たちすく
)
むや否や、
狼狽
(
うろたえ
)
加減もよっぽどな、一度駆出したのを、面喰って逆戻りで、寄って来る清葉の前を
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“狼狽”の意味
《名詞》
狼 狽(ろうばい)
思わぬ出来事に遭い、慌てること。
(出典:Wiktionary)
狼
漢検準1級
部首:⽝
10画
狽
漢検準1級
部首:⽝
10画
“狼狽”で始まる語句
狼狽者
狼狽方
狼狽気味
狼狽敷
狼狽眼
狼狽居士
狼狽驚愕