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破
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こわ
ふりがな文庫
“
破
(
こわ
)” の例文
それからその前お茶の手前が上がったとおっしゃって、下すったあの
仁清
(
にんせい
)
の
香合
(
こうごう
)
なんぞは、石へ
打
(
ぶ
)
つけて
破
(
こわ
)
してしまうからいいわ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
此時
(
このとき
)
家
(
いへ
)
の
戸
(
と
)
が
開
(
あ
)
いて、
大
(
おほ
)
きな
皿
(
さら
)
が
歩兵
(
ほへい
)
の
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
を
眞直
(
まつすぐ
)
に、それから
鼻
(
はな
)
の
尖
(
さき
)
を
掠
(
かす
)
つて、
背後
(
うしろ
)
にあつた一
本
(
ぽん
)
の
木
(
き
)
に
當
(
あた
)
つて
粉々
(
こな/″\
)
に
破
(
こわ
)
れました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
お銀は産をするたびに、歯を
破
(
こわ
)
されていた。目も時々
霞
(
かす
)
むようなことがあった。二度目の産をしてからは、一層歯が衰えていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
権力者たちの造つた制度のなか/\こはれないのはせい/″\時の問題位なものです。時が許しさへすれば何時でも
破
(
こわ
)
せます。
青山菊栄様へ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
戦
(
いくさ
)
だ、まるで戦だね。だが、何だ、帳場の親方も来りゃ、
挽子
(
ひきこ
)
も手伝って、
燈
(
あかり
)
の
点
(
つ
)
く
前
(
めえ
)
にゃ縁の下の
洋燈
(
ランプ
)
の
破
(
こわ
)
れまで掃出した。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
勝手の方では、いつも居眠りしている下女が、またしても皿小鉢を
破
(
こわ
)
したらしい物音がする。
炭団
(
たどん
)
はどうやらもう灰になってしまったらしい。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あくる日の朝、目をぱっちりあけて見ますと、
破
(
こわ
)
れた船の中に自分は眠ていて、まりも
枕頭
(
まくらもと
)
でごろごろごろついています。
嵐の夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
で、破壊しては新たに建直し、建直しては
復
(
ま
)
た破壊し丁度
児供
(
こども
)
が
積木
(
つみき
)
を
翫
(
もてあそ
)
ぶように一生を建てたり
破
(
こわ
)
したりするに終った。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
伝二郎は
跣足
(
はだし
)
のまま半
破
(
こわ
)
れの寮を飛び出して、田圃の
畔
(
あぜ
)
を
転
(
こ
)
けつまろびつ河内屋の隠居の家まで走り続けて、さてそこで彼は気を失ったのである。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もうこの上念の入れようはないんだから、これで万一
破
(
こわ
)
れるようなことがあったら、それまでの縁と諦める外仕方がない
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私は出来るだけ有力な証拠を挙げて、反証を片っ端から
打
(
ぶ
)
ち
破
(
こわ
)
して行きました。被告の生活状態を洗いざらい暴露して、その弱点と素行とを指摘しました。
自責
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「何を云っているのだ。そんなことをすれば花瓶が
破
(
こわ
)
れるじゃないか。気違いだって云われても仕方がない」
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
よくおぼえてきたよくおぼえてきたとほめる。ここの立廻りは、いくつ踏んで、トントントンとこうきまると、棒をふりまわして棚のものを
破
(
こわ
)
しても
叱
(
しか
)
らない。
旧聞日本橋:19 明治座今昔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
すると翌日の新聞にはなにかで有名なその鐘が昨夜落ちて
破
(
こわ
)
れたことを告げているのです。勿論、遠くはなれたところですから音のきこえるわけは全然ない筈です。
歪んだ夢
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
竜之助は短刀を奪い取って身を起すと共に、はったと
蹴倒
(
けたお
)
すと、お浜は向うの
行燈
(
あんどん
)
に
仰向
(
あおむ
)
けに倒れかかって、行燈が倒れると
火皿
(
ひざら
)
は
破
(
こわ
)
れてメラメラと紙に燃え移ります。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
後に続いて座敷へはいると紙へくるんだ物をくれた,開けて見るとあたり前の菓子が嬉しい人から
貰
(
もら
)
ッた物、馬鹿なことさ、何となく尊く思われた,
破
(
こわ
)
さないように、丁寧に
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
黒雲空に流れて
樫
(
かし
)
の実よりも大きなる雨ばらりばらりと降り出せば、得たりとますます暴るる夜叉、
垣
(
かき
)
を引き捨て
塀
(
へい
)
を蹴倒し、門をも
破
(
こわ
)
し屋根をもめくり
軒端
(
のきば
)
の
瓦
(
かわら
)
を踏み砕き
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
窓を
破
(
こわ
)
すことに何の関係があるのか? 彼は追跡の功を奏し、そのどんづまりまで来た。
青玉の十字架
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
二日
許
(
ばか
)
り前の晩夜中にガチャンと
硝子
(
がらす
)
の
破
(
こわ
)
れる音がしたのでハッと二人で詰所を飛びだすと、一人の
曲者
(
くせもの
)
が
将
(
まさ
)
に明りとり窓から逃げ出す所で、その窓硝子を一枚落したのであった。
真珠塔の秘密
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
机と
書笈
(
ほんばこ
)
と
夜具
(
やぐ
)
と
人力車
(
くるま
)
へ
載
(
の
)
せて笠の
破
(
こわ
)
れた
洋灯
(
らんぷ
)
を君が手に持って書生の引越のように車の後から
尾
(
つ
)
いて来ればそれで済むだろう。マアともかくも一遍
往
(
い
)
ってその家を見て来給え。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
太い高い樹であった、
殊
(
こと
)
に茶席の横が、高い杉の木立になっていて、
其処
(
そこ
)
の
破
(
こわ
)
れた生垣から、隣屋敷の庭へ行けるのだ、ところが、この隣屋敷というのが
頗
(
すこぶ
)
る妙で、屋敷といっても
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
あいつは腹が痛いので、うんうん唸りながら、それでも仕事は
止
(
や
)
めない。そこでおれはあいつの鋤を
破
(
こわ
)
してやった。ところがあいつは
家
(
うち
)
へ行って別のを持って来てまた鋤きはじめた。
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
異性に対するイリュウジョンが
破
(
こわ
)
れると困るから、まあもう少し辛抱して見よう。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
が、雨で庭も池も
破
(
こわ
)
れたので、今年は何だか一帯の趣きが変って来た。東慶寺の現住は中々責任がある。老師はなるほど中興であった。あれほどに荒廃した寺をこれほどに復興せられた。
楞迦窟老大師の一年忌に当りて
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
四時頃
家
(
うち
)
へ帰って見ると、
昨夕
(
ゆうべ
)
の額は
仰向
(
あおむ
)
けに机の上に乗せてある。
午
(
ひる
)
少し過に、
欄間
(
らんま
)
の上から突然落ちたのだという。道理で
硝子
(
ガラス
)
がめちゃめちゃに
破
(
こわ
)
れている。井深は額の裏を返して見た。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
古い屋敷の中には
最早
(
もう
)
人の住まないところもある。
破
(
こわ
)
れた
土塀
(
どべい
)
と、その朽ちた柱と、桑畠に礎だけしか残っていないところもある。荒廃した屋敷跡の間から、向うの方に小諸町の一部が望まれた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
町立病院
(
ちょうりつびょういん
)
の
庭
(
にわ
)
の
内
(
うち
)
、
牛蒡
(
ごぼう
)
、
蕁草
(
いらぐさ
)
、
野麻
(
のあさ
)
などの
簇
(
むらが
)
り
茂
(
しげ
)
ってる
辺
(
あたり
)
に、
小
(
ささ
)
やかなる
別室
(
べっしつ
)
の一
棟
(
むね
)
がある。
屋根
(
やね
)
のブリキ
板
(
いた
)
は
錆
(
さ
)
びて、
烟突
(
えんとつ
)
は
半
(
なかば
)
破
(
こわ
)
れ、
玄関
(
げんかん
)
の
階段
(
かいだん
)
は
紛堊
(
しっくい
)
が
剥
(
は
)
がれて、
朽
(
く
)
ちて、
雑草
(
ざっそう
)
さえのびのびと。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
小さい小さいこと、子供がコップを
破
(
こわ
)
すことでも重大な意味あり。
日記:11 一九二五年(大正十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それじゃ牛乳の
壜
(
びん
)
はすっかり
破
(
こわ
)
れたでしょう。
大きな手
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
「しかし法水君、どの場面でもクリヴォフの
不在証明
(
アリバイ
)
は、とうてい打ち
破
(
こわ
)
し難いものなのだよ。どうしてもメースンの『矢の家』みたいに、坑道でも発見されないかぎり、この事件の解決は結局不可能のような気がするんだ」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
恁
(
か
)
く永久に賞美されない料理人の外に、一寸触つても
破
(
こわ
)
れさうな書画骨董の注意と、盆栽の手入で、其れも時には礼の一ツも云はれゝばこそ
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
三方にある
廃
(
あ
)
れた庭には、夏草が繁って、家も勝手の方は古い板戸が
破
(
こわ
)
れていたり、
根太板
(
ねだいた
)
が
凹
(
へこ
)
んでいたりした。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
腕車
(
くるま
)
の
破
(
こわ
)
れたのも、車夫に間違えられたのも、来よう
筈
(
はず
)
のない、芳原近くへ来る約束になっていたのかも知れないと、くだらないことだが、
悚
(
ぞっ
)
としたんだね。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
なん
)
にも
捕
(
つかま
)
らなかつたが
小
(
ちひ
)
さな
叫
(
さけ
)
び
聲
(
ごゑ
)
と
地響
(
ぢひゞき
)
と
硝子
(
ガラス
)
の
破
(
こわ
)
れる
音
(
おと
)
とを
聞
(
き
)
きました、
其物音
(
そのものおと
)
で
愛
(
あい
)
ちやんは、
兎
(
うさぎ
)
が
屹度
(
きつと
)
胡瓜
(
きうり
)
の
苗床
(
なへどこ
)
の
中
(
なか
)
へでも
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだに
違
(
ちが
)
ひないと
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
さて、
破
(
こわ
)
れた石膏像の中には、綿が一杯詰っていたが、綿を取りのけると、二冊の本が出て来た。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「何と言われても仕方がない。あんな奴に負けるんじゃないんだけれどなあ。立廻りになると下役は何うしても損だ。
破
(
こわ
)
れ
物
(
もの
)
を持っているものだから、何うしても手加減をする」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
病人の出た家の
厠
(
かわや
)
は
破
(
こわ
)
して
莚
(
こも
)
をさげ、門口へはずっと縄を張って巡査が立番をした。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
其傍に無残に厚硝子を
破
(
こわ
)
された飾棚が片足折れて横たに倒れそうに傾いていた。
灰燼十万巻:(丸善炎上の記)
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と、そのうちに、泡が浮んで
破
(
こわ
)
れるように、与惣次はぽっかりと気がついた。
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
茶を飲んでいたが,そのうち上役の者が、いざ、お立ちとなッたので、勘左衛門も急いで立ち上ッて足を挙げると、いけない,挙げる拍子に縁台が傾いたので、盆を
転覆
(
ひッくりか
)
えして
茶碗
(
ちゃわん
)
を
破
(
こわ
)
したが
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
それとも
物質
(
ぶっしつ
)
の
変換
(
へんかん
)
……
物質
(
ぶっしつ
)
の
変換
(
へんかん
)
を
認
(
みと
)
めて、
直
(
すぐ
)
に
人間
(
にんげん
)
の
不死
(
ふし
)
と
為
(
な
)
すと
云
(
い
)
うのは、
恰
(
あだか
)
も
高価
(
こうか
)
なヴァイオリンが
破
(
こわ
)
れた
後
(
あと
)
で、その
明箱
(
あきばこ
)
が
換
(
かわ
)
って
立派
(
りっぱ
)
な
物
(
もの
)
となると
同
(
おな
)
じように、
誠
(
まこと
)
に
訳
(
わけ
)
の
解
(
わか
)
らぬことである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
この時、
破
(
こわ
)
れた扉がガタリという。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
暫く坐っている
中
(
うち
)
我慢がしきれなくなって、中仕切の敷居際に置いた扇風機の引手を
捻
(
ねじ
)
ったが
破
(
こわ
)
れていると見えて廻らない。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お聞き申しますと悪いことばかり、お宅から召したお腕車は
破
(
こわ
)
れたでしょう、松坂屋の前からのは、間違えて飛んだ処へお連れ申しますし、お時計はなくなります。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その当座は自分の意地張りからわざと
破
(
こわ
)
してしまったあの恋愛にいやな気持が残ってならなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
源造はムラムラと起る
癇癪
(
かんしゃく
)
に、いきなり手にしていたコップを、我が娘めがけて投げつけた。コップは文代の
頬
(
ほお
)
をかすめ、背後の壁に当って、こなごなに
破
(
こわ
)
れてしまった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と寛一君は
他事
(
ひとごと
)
だから冷静を失わない。成功すれば纒まり失敗すれば
破
(
こわ
)
れると信じて、無論前者を望んでいる。それは然うと、宮地さんの出入する家庭は縁談進行中と認められる。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
合せ鏡に気に入らない個所でも後の方に見出すと、すぐ
破
(
こわ
)
して結い直しである。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
幸いに一人も
怪我
(
けが
)
はしなかったけれど、借りたボオトの
小舷
(
こべり
)
をば散々に
破
(
こわ
)
してしまった上に
櫂
(
かい
)
を一本折ってしまった。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
たたき
破
(
こわ
)
すような騒ぎで、その時、
乱暴人
(
あばれもの
)
に眼を打たれました。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
破
常用漢字
小5
部首:⽯
10画
“破”を含む語句
破壊
打破
破局
破片
破損
破綻
驚破
素破
破落戸
破壞
切破
破目
看破
破滅
破障子
破衣
破風
破鐘
破屋
破裂
...