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可恐
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こわ
ふりがな文庫
“
可恐
(
こわ
)” の例文
だって、緋だの、紫だの、暗い
中
(
うち
)
に、
霰
(
あられ
)
に交って——それだと
電
(
いなびかり
)
がしているようだもの……その
蔀
(
しとみ
)
をこんな時に開けると、そりゃ
可恐
(
こわ
)
いぜ。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分いろいろ
可恐
(
こわ
)
い気がした。これだけ所謂筆は立って、三ヵ月近くも実地を知っていて、これのようなつくりごとしかかかないということについて。
日記:21 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それをもって、わしの寝首を
掻
(
か
)
こうと神かけていたものだろう。
可恐
(
こわ
)
いな。尊氏、大軍は何の怖れともせぬが、こういう目に見えぬところの刃には心も
恟
(
すく
)
む。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「オオ、
可恐
(
こわ
)
い」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこは
妾
(
てかけ
)
ものの悲しさですかね。どうして……当人そんなぐうたらじゃない
筈
(
はず
)
です。
意地張
(
いじッぱ
)
りもちっと
可恐
(
こわ
)
いような
婦
(
おんな
)
でね。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
(此は気の毒さと、自棄になる人間を見る
可恐
(
こわ
)
さと相半ばした心持。何故なら、若しAが、よろしい、とずっと進んだ道を進めば、私は安心して自由にするのだから。少し、彼に芝居気がありすぎる)
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
お蔦
可厭
(
いや
)
。(
烈
(
はげ
)
しく再び耳を
圧
(
おさ
)
う)何を聞くのか知らないけれど、
貴下
(
あなた
)
この二三日の様子じゃ、雷様より私は
可恐
(
こわ
)
いよ。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……梅水のものですよ。それで大概、
挨拶
(
あいさつ
)
をして離れちまいますんですもの、道の
可恐
(
こわ
)
さはちっとも知らずにいたんです。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もうね、可愛いんだ、——ああ、
可恐
(
こわ
)
い、と思うと、
極
(
きま
)
ったように、私の
袂
(
たもと
)
を
引張
(
ひっぱっ
)
たっけ、しっかりと持って——左の、ここん処に
坐
(
すわ
)
っていて
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あの、川に
居
(
お
)
ります
可恐
(
こわ
)
いのではありませんの、雨の降る時にな、これから着ますな、あの色に似ておりますから。」
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御利益
(
ごりやく
)
と、
岩殿
(
いわとの
)
の
方
(
かた
)
へ籠を開いて、中へ入れると、あわれや、横木へつかまり得ない。おっこちるのが
可恐
(
こわ
)
いのか、隅の、隅の、狭い
処
(
ところ
)
で
小
(
ちいさ
)
くなった。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百合 水の
源
(
もと
)
はこの山奥に、夜叉ヶ池と申します。
凄
(
すご
)
い大池がございます。その
水底
(
みなそこ
)
には竜が
棲
(
す
)
む、そこへ通うと云いまして——毒があると
可恐
(
こわ
)
がります。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……どうせそうよ、……私は鬼よ。——でも人に食われる方の……なぞと言いながら、でも
可恐
(
こわ
)
いわね、ぞっとする。と、また口を手巾で圧えていたのさ。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「だって、姉さんが
威
(
おどか
)
すんですもの。私吃驚して
遁出
(
にげだ
)
しましたけれど、(お竹蔵。)の前でしょう、一人じゃ露地へ入れませんもの、
可恐
(
こわ
)
くって、私……」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私、斬られるかと思って
可恐
(
こわ
)
かったわ、ねえ、お
臀
(
しり
)
の
肉
(
み
)
が薬になると云うんでしょう、ですもの、危いわ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お蔦 (
行
(
ゆ
)
きかけつつ)貴方、見ていて下さいな、石段を下りるまで、私一人じゃ
可恐
(
こわ
)
いんですもの。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
新坊や、
可恐
(
こわ
)
い処だ、あすこは可恐い処だよ。——聞きな。——おそろしくなって帰れなかったら、
可
(
よ
)
い、可い、小母さんが、町の坂まで、この川土手を送ってやろう。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雨続きだし、石段が
辷
(
すべ
)
るだの、お前さんたち、蛇が
可恐
(
こわ
)
いのといって、失礼した。——今夜も心ばかりお鳥居の下まで行った——毎朝
拍手
(
かしわで
)
は打つが、まだお山へ上らぬ。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(天狗様でしょうか、鬼でしょうか、
私
(
わたい
)
たちとはお宗旨違いだわね。
引込
(
ひっこ
)
みましょう
可恐
(
こわ
)
いから。)居かわって私の膝にうしろ向きにかけていた
銀杏返
(
いちょうがえし
)
が言ったのです。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ねえ、
貴郎
(
あなた
)
、そうして、小松原さんのおっしゃる通りになさいよ。何だか
可恐
(
こわ
)
いんですもの。」
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……私、心配で……ここまで起きて来て、あの、
通
(
とおり
)
へ出て見ようと思ったんですけれど、
可恐
(
こわ
)
いでしょう。……それですから、あの、ここにつかまって震えていましたの。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ああ、
可恐
(
こわ
)
い。……勿体ないようで、ありがたいようで、ああ、
可恐
(
こお
)
うございましたわ。」
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
気が着きませんでしたが、それが
貴下
(
あなた
)
、片々
蠣目
(
かきめ
)
のようで、その
可恐
(
こわ
)
らしい目で、時々振返っては、あの、
幌
(
ほろ
)
の中を覗きましてね、私はどんなに気味が悪うござんしてしょう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お蔦 そりゃ
褄
(
つま
)
を取ってりゃ、鬼が来ても
可
(
い
)
いけれども、今じゃ
按摩
(
あんま
)
も
可恐
(
こわ
)
いんだもの。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あんなに
可恐
(
こわ
)
らしくっても、あわれな話だと
直
(
じ
)
きに泣くんですもの、きっと承知するわ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
名の上へ、藤の花を
末濃
(
すそご
)
の紫。口上あと余白の処に、赤い
福面女
(
おかめ
)
に、黄色な
瓢箪男
(
ひょっとこ
)
、
蒼
(
あお
)
い
般若
(
はんにゃ
)
の
可恐
(
こわ
)
い面。黒の
松葺
(
まつたけ
)
、浅黄の
蛤
(
はまぐり
)
、ちょっと蝶々もあしらって、霞を薄くぼかしてある。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
烏瓜
(
からすうり
)
、夕顔などは分けても
知己
(
ちかづき
)
だろうのに、はじめて咲いた月見草の黄色な花が
可恐
(
こわ
)
いらしい……
可哀相
(
かわいそう
)
だから
植替
(
うえか
)
えようかと、言ううちに、四日めの夕暮頃から、
漸
(
や
)
っと出て来た。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
媛神 (廻廊に立つ)——
私
(
わたし
)
の
傍
(
そば
)
においでだと、一つ目のおばけに成ります、
可恐
(
こわ
)
い、可恐い、……それに第一、こんな事、二度とはいけません。早く帰って、そくさいにおくらし。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「拾い手が立派です。……威張っていらっしゃい。そんなに
可恐
(
こわ
)
がる事は無いわ。」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
榎
(
えのき
)
の実に
団栗
(
どんぐり
)
ぐらい拾いますので、ずっと中へ入りますれば、栗も
椎
(
しい
)
もございますが、よくいたしたもので、そこまでは、
可恐
(
こわ
)
がって、お
幼
(
ちいさ
)
いのは、おいたが出来ないのでございます。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、かつて美術学校の学生時代に、そのお山へ
抜参
(
ぬけまい
)
りをして、狼よりも旅費の不足で、したたか
可恐
(
こわ
)
い思いをした小村さんは、
聞怯
(
ききおじ
)
をして口を入れた……
噛
(
か
)
むがごとく杯を
銜
(
ふく
)
みながら
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「すぐこのあとへ、しののめの鬼が出るんですのね、
可恐
(
こわ
)
いんですこと……。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうして
勢
(
いきおい
)
がこんなであるから、立続けに
死霊
(
しりょう
)
、
怨霊
(
おんりょう
)
、
生霊
(
いきりょう
)
まで、まざまざと
顕
(
あらわ
)
れても、
凄
(
すご
)
い
可恐
(
こわ
)
いはまだな事——
汐時
(
しおどき
)
に
颯
(
さっ
)
と支度を引いて、
煙草盆
(
たばこぼん
)
の
巻莨
(
まきたばこ
)
の吸殻が一度
綺麗
(
きれい
)
に片附く時
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それがさ、活きた心地はなかった、というのに、お前さん、いい度胸だ、よく
可怖
(
こわ
)
くないね、といいますとな、おっかさんに聞きました、
簪
(
かんざし
)
を逆手に取れば、婦は何にも
可恐
(
こわ
)
くはないと
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「蛇や、蝮でさえなければ、
蜥蜴
(
とかげ
)
が化けたって、そんなに
可恐
(
こわ
)
いもんですか。」
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを
可恐
(
こわ
)
くは思わぬが、この社司の一子に、時丸と云うのがあって、おなじ
悪戯盛
(
いたずらざかり
)
であるから、ある時、大勢が
軍
(
いくさ
)
ごっこの、番に当って、一子時丸が馬になった、
叱
(
しっ
)
!
騎
(
の
)
った
奴
(
やつ
)
がある。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それには、
縁
(
えん
)
では
可恐
(
こわ
)
がるだろう。……で、もとの飛石の上へ伏せ直した。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昼間も、あの枝、こっちの枝にも、頭の上で
梟
(
ふくろ
)
が鳴くんです。……
可恐
(
こわ
)
い。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、欄干ぞいに、姫ぎみ、お寄りなされたが、さして
可恐
(
こわ
)
くはなさそうで。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
可恐
(
こわ
)
い顔をして
睨
(
にら
)
みはった。それがな、路之助はんのおかみはんえ。」
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
円くて
渋面
(
しぶつら
)
の
親仁様
(
おとっさん
)
が、
団栗目
(
どんぐりめ
)
をぎろぎろと遣って、(狐か——俺は天狗だぞ、
可恐
(
こわ
)
いぞ。)と云うから、(可恐いもんですか。)ってそう云うと、(成程、化もの
夥間
(
なかま
)
だ、わはは。)
大
(
おおき
)
な声なの。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寸分お違いなさらない、東京の小県さん——おきれいなのがなおあやしい、怪しいどころか
可恐
(
こわ
)
いんです。——ばけものが来た、ばけて来た、畜生、また、来た。ばけものだ!……と思ったんです。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
第一、三輪坊が、どんなにか、
可恐
(
こわ
)
がるだろう、と思ってね。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「こんな、
寂
(
さび
)
しい時の、
可恐
(
こわ
)
いものにはね、鎧なんか着たって叶わないや……向って行きゃ、
消
(
きえ
)
っ
了
(
ちま
)
うんだもの……これから冬の中頃になると、軒の下へ近く来るってさ、あの
雪女郎
(
ゆきじょろう
)
見たいなもんだから、」
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そしたら、泊っておくれやすえ、
可恐
(
こわ
)
いよって。」
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……美津は、あの、それが
可恐
(
こわ
)
いのでござります。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あら、一人ずつで行くの、
可恐
(
こわ
)
いわね。」
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
意気銷沈より脚気
衝心
(
しょうしん
)
が
可恐
(
こわ
)
かったんだ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「面白くはないよ……
可恐
(
こわ
)
いよ。」
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女童二
可恐
(
こわ
)
くはありませんよ。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
恐
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
“可恐”で始まる語句
可恐々々