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怕
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こわ
ふりがな文庫
“
怕
(
こわ
)” の例文
これからはいよ/\お
民
(
たみ
)
どの
大役
(
たいやく
)
なり、
前門
(
ぜんもん
)
の
虎
(
とら
)
、
後門
(
こうもん
)
の
狼
(
おほかみ
)
、
右
(
みぎ
)
にも
左
(
ひだり
)
にも
怕
(
こわ
)
らしき
奴
(
やつ
)
の
多
(
おほ
)
き
世
(
よ
)
の
中
(
をか
)
、あたら
美玉
(
びぎよく
)
に
疷
(
きず
)
をつけ
給
(
たま
)
ふは
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
怕
(
こわ
)
いことはない。念のためにきくのじゃ。遠慮のう言うてみい。さだめし
咽喉
(
のど
)
から手が出おったろうに、なにゆえ拾わざったぞ」
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「危ねい! 往来の真ン中を
彷徨
(
うろうろ
)
してやがって……」とせいせい息を
逸
(
はず
)
ませながら立止って怒鳴り付けたのは、目の
怕
(
こわ
)
い車夫であった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「おみよ、心配しないで往ってくれ、あれが児を大事にしてくれることはおまえにも判ってるだろう、それをおまえが来ては、あれが
怕
(
こわ
)
がる」
前妻の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ある男が暗い夜道で、
怕
(
こわ
)
い怕いお化けと出逢う。無我夢中で逃げて行く。それから灯のついた一軒屋に飛込むと、そこには普通の人間がいる。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
▼ もっと見る
「町では表へ出られないと云つて此処に来たのにまた斯んなことを知ると、此処でも他人の顔を
怕
(
こわ
)
がり始めるだらうな。」
村のストア派
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
わたしではない顔のわたしがそんなにもう
怕
(
こわ
)
くはなかった。怕いということまでもうわたしからは無くなっているようだ。わたしが滅びてゆく。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
別に何も
怕
(
こわ
)
いところはないのに彼女だけは、いわば虫の好かぬとでも言うのか、その絵を限りなく恐れたのである。
怪談綺談
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
彼はひどく人見知りをした。だが私だけには
怕
(
こわ
)
がらないで、側に人のいない時に、私と口を
利
(
き
)
いた、そして半日も経たないうちに、私たちは直ぐによくなじんでしまった。
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
そして彼のこの成長は深井にはやや
怕
(
こわ
)
い気がしたが、和歌子には半年前までの無性に可愛いという感情よりも、彼のうちにある圧迫を強いる「男性」を見出さしめるようになった。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
シッカリ握っていた——実に
怕
(
こわ
)
かったそうです。
穴
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
石川は
怕
(
こわ
)
くてしかたがなかったが、女がべつに
怨
(
うら
)
むようなことも云わないので、やっと安心して女のするままになっていた。
唖娘
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
出しまして、殿様に——お兄様によろしゅうと、たったひとこと申したまま、何が
怕
(
こわ
)
いのやら、消えるように急いで立ち去りましてござります
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あゝ
嫌
(
いや
)
だ/\と
道端
(
みちばた
)
の
立木
(
たちき
)
へ
夢中
(
むちう
)
に
寄
(
より
)
かゝつて
暫時
(
しばらく
)
そこに
立
(
たち
)
どまれば、
渡
(
わた
)
るにや
怕
(
こわ
)
し
渡
(
わた
)
らねばと
自分
(
じぶん
)
の
謳
(
うた
)
ひし
聲
(
こゑ
)
を
其
(
その
)
まゝ
何處
(
どこ
)
ともなく
響
(
ひゞ
)
いて
來
(
く
)
るに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それらの罹災者が我が市民諸君に語るところは何であるかと申しますと、『いやはや、空襲は
怕
(
こわ
)
かった怕かった。何んでもかんでも速く逃げ出すに限る』
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
といって、
余処
(
よそ
)
のお
祖母
(
ばあ
)
さんでもないが、何だか其処に薄気味の悪い
区劃
(
しきり
)
が出来て、
此方
(
こっち
)
は明るくて暖かだが、向うは薄暗くて冷たいようで、何がなしに
怕
(
こわ
)
かった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
私がその時の
怕
(
こわ
)
かつた感想を洩らすと樫田は、真ツ赤になつて、悲しさうに眼を伏せてしまつた。
日本橋
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
何を
怕
(
こわ
)
がるのです、今に僕も
成長
(
おお
)
きくなります
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
『なんだ、蛾がそんなに
怕
(
こわ
)
いのか——』
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「いえ、あの時のあの者でござります。江戸お旗本のお殿様とも存ぜず、何やら
怕
(
こわ
)
うござりましたゆえ、ついあの時は逃げましたなれど——」
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
女房は
鬼魅
(
きみ
)
わるくなって、金を持ったまま後すざりして
庖厨
(
かって
)
の方へ引込んで往ったが、
怕
(
こわ
)
くて脊筋から水でもかけられたようにぞくぞくして来たので
海坊主
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
あとは言ふまじ恐ろしやと雨夜の雜談に枝のそひて、松川さまのお邸といへば何となく
怕
(
こわ
)
き處のやうに人思ひぬ
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
自分のものになると
箒
(
ほうき
)
一本にまで愛着する順一が、この切ない、ひとの気持は分ってくれないのだろうか。……彼女はまたあの晩の
怕
(
こわ
)
い順一の顔つきを想い浮べていた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
出歩きを
怕
(
こわ
)
がって、万豊などに使を頼むのは無駄だから、これから二人がかりでそれぞれの註文主へ納め、暫くぶりで倉の外で晩飯を
摂
(
と
)
ろうではないかと御面師が促すのであった。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
「
怕
(
こわ
)
がっちゃだめですよ。僕だってじきに大きくなります。僕達は今こそまるで無力でも、いつまでも無力であるものですか。僕はたとえどんなことがあっても、僕はあなたなしに生きておれません。学校の奴等に僕達の心が分るものですか」
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
「おかしなことを申すのう、主水之介はふたりない。兄が駈けこんで来たゆえ参ったのじゃ。何を
怕
(
こわ
)
がっているぞよ」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
張は
怕
(
こわ
)
くなったので、その男にすがって話をつけてもらおうとしたところで急に見えなくなった。
賭博の負債
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
四季押とほし油びかりする目くら縞の筒袖を振つて火の玉の様な子だと町内に
怕
(
こわ
)
がられる乱暴も慰むる人なき胸ぐるしさの余り、仮にも優しう言ふてくれる人のあれば
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
人間関係のすべての瞬間に潜んでいる怪物、僕はそれが
怕
(
こわ
)
くなったのだろうか。僕はそれが口惜しくなったのだろうか。僕にはよくわからない。僕はもっともっと怕くなるのだ。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
こういうことになるから、おらが隊長は、気むずかしくて
怕
(
こわ
)
いときもあるが、なかなか見すてられんです。——きいたか。
丸公
(
たまこう
)
。事が騒動になって来たぞ。
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「ああ
怕
(
こわ
)
かった、
乃公
(
おいら
)
が街を歩いてると、何をかんちがいしやがったのか、二人の仕事師が、だしぬけに鳶口を持って追っかけて来たのだから、命からがら逃げて来たのだよ」
遁げて往く人魂
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
かかる中にて
朝夕
(
あさゆふ
)
を過ごせば、
衣
(
きぬ
)
の
白地
(
しらぢ
)
の
紅
(
べに
)
に
染
(
し
)
む事無理ならず、美登利の眼の中に男といふ者さつても
怕
(
こわ
)
からず恐ろしからず、女郎といふ者さのみ
賤
(
いや
)
しき勤めとも思はねば
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
わたしはわたしが
怕
(
こわ
)
くなりかかった。突然、その後姿がわたしの方を振向いていた。突き刺すような
眼
(
ま
)
なざしで、……ハッと思う瞬間、それはわたしの夫だった。そんなはずはなかった。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「左様でござりましたか。あてはまた、あまり旦那はんが
怕
(
こわ
)
い顔していなはりますゆえ、叱られるのやないかと思うたのでござります。お尋ねというは何でござります」
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
源吉は
怕
(
こわ
)
くて体がぶるぶると顫いだしたが、知られるとどんな目に逢うかも判らないと思ったのでやっと忍えて窓から離れようとすると、女は行灯の火を吹き消して横になった。
山姑の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
書けと
仰
(
おつ
)
しやれば起証でも誓紙でもお好み次第さし上ませう、
女夫
(
めをと
)
やくそくなどと言つても
此方
(
こち
)
で破るよりは
先方様
(
さきさま
)
の性根なし、主人もちなら主人が
怕
(
こわ
)
く親もちなら親の言ひなり
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一人でも人間が僕の眼の前にいたとする、と忽ち何万ボルトの電流が僕のなかに流れ、神経の火花は顔面に散った。僕は人間が滅茶苦茶に
怕
(
こわ
)
かったのだ。いつでもすぐに逃げだしたくなるのだった。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
書
(
か
)
けと
仰
(
おつ
)
しやれば
起證
(
きせう
)
でも
誓紙
(
せいし
)
でもお
好
(
この
)
み
次第
(
しだい
)
さし
上
(
あげ
)
ませう、
女夫
(
めをと
)
やくそくなどと
言
(
い
)
つても
此方
(
こち
)
で
破
(
やぶ
)
るよりは
先方樣
(
さきさま
)
の
性根
(
せうね
)
なし、
主人
(
しゆじん
)
もちなら
主人
(
しゆじん
)
が
怕
(
こわ
)
く
親
(
おや
)
もちなら
親
(
おや
)
の
言
(
い
)
ひなり
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
怕
(
こわ
)
らしいお殿様じゃとばかり思い込んでおりましたお殿様が、どうやら御気性も頼もしそうな御旗本と、つい今あそこで承わりましたゆえ、恥ずかしさも忘れて駈け出したのでござります
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
章一は
己
(
じぶん
)
の家へ帰るのが
怕
(
こわ
)
いので山崎夫人の
許
(
もと
)
へ往こうとしていた。
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
美登利
(
みどり
)
の
眼
(
め
)
の
中
(
なか
)
に
男
(
をとこ
)
といふ
者
(
もの
)
さつても
怕
(
こわ
)
からず
恐
(
おそ
)
ろしからず、
女郎
(
ぢよらう
)
といふ
者
(
もの
)
さのみ
賤
(
いや
)
しき
勤
(
つと
)
めとも
思
(
おも
)
はねば、
過
(
す
)
ぎし
故郷
(
こけふ
)
を
出立
(
しゆつたつ
)
の
當時
(
たうじ
)
ないて
姉
(
あね
)
をば
送
(
おく
)
りしこと
夢
(
ゆめ
)
のやうに
思
(
おも
)
はれて
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ようようこん日拝まして下はるとのことでござんしたゆえ、楽しみにしてさき程、ちらりと見せて頂きましたら、御四人様が不意に
怕
(
こわ
)
い顔をしなはって、まさしく切支丹じゃッ、お繩うけいッ
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
怕
(
こわ
)
いぞ、怕いぞ」
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
貴君のお顔を見てゐますのさと言へば、
此奴
(
こやつ
)
めがと
睨
(
にら
)
みつけられて、おお
怕
(
こわ
)
いお方と笑つてゐるに、
串談
(
じやうだん
)
はのけ、今夜は様子が唯でない聞たら怒るか知らぬが何か事件があつたかととふ
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
怕
(
こわ
)
がらいでもよい。番頭に用があるのじゃ! どこへ参った」
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「厭だ、
怕
(
こわ
)
いのか」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
貴君
(
あなた
)
のお
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
ますのさと
言
(
い
)
へば、
此奴
(
こやつ
)
めがと
睨
(
にら
)
みつけられて、おゝ
怕
(
こわ
)
いお
方
(
かた
)
と
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
るに、
串談
(
じやうだん
)
はのけ、
今夜
(
こんや
)
は
樣子
(
やうす
)
が
唯
(
たゞ
)
でない
聞
(
きい
)
たら
怒
(
おこ
)
るか
知
(
し
)
らぬが
何
(
なに
)
か
事件
(
じけん
)
があつたかととふ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「その方のところはどうじゃ。眉間に少し
怕
(
こわ
)
そうな疵痕があるにはあるが、優しゅうなり出したとならば、
女子
(
おなご
)
よりも優しゅうなる
性
(
たち
)
ゆえ怕がらないでもよい。宿銭も二三百両が程は所持致しておるぞ。どうじゃ、泊めて見るか」
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
一人で帰りますと小さく成るに、こりや
怕
(
こわ
)
い事は無い、
其方
(
そちら
)
の
家
(
うち
)
まで送る分の事、心配するなと微笑を含んで
頭
(
つむり
)
を
撫
(
な
)
でらるるに
弥々
(
いよいよ
)
ちぢみて、喧嘩をしたと言ふと
親父
(
とつ
)
さんに叱かられます
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一人
(
ひとり
)
で
歸
(
かへ
)
りますと
小
(
ちい
)
さく
成
(
な
)
るに、こりや
怕
(
こわ
)
い
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
い、
其方
(
そちら
)
の
家
(
うち
)
まで
送
(
おく
)
る
分
(
ぶん
)
の
事
(
こと
)
、
心配
(
しんぱい
)
するなと
微笑
(
びしよう
)
を
含
(
ふく
)
んで
頭
(
つむり
)
を
撫
(
な
)
でらるゝに
彌々
(
いよ/\
)
ちゞみて、
喧嘩
(
けんくわ
)
をしたと
言
(
い
)
ふと
親父
(
とつ
)
さんに
叱
(
し
)
かられます
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
怕
漢検1級
部首:⼼
8画
“怕”を含む語句
可怕
怕々
忙怕
怕事
怕恐
怕敷
怕者
死不怕閻羅王
生不怕京兆尹
面怕