こわ)” の例文
旧字:
おゝおゝ、どうかしましたか。大きな、大きな鉄槌げんのうで、黙って坐って居る父様の、頭を打って幾つも打って、頭が半分こわれたので坊は大変びっくりした。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
泣いたり、えたり、気を失ったり、テーブルを転覆ひっくりかえしたり、御丁寧にランプまでこわして騒ぎを入れるには当らない事だ。お春さんは衣服きものを少しやぶき、お歌さんは手を火傷した。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
正体の何といって説明のつかない品ばかりである。あるものはキラキラ光るこわれ硝子の寄集めのようである。あるものは褐色の塵芥じんあいの山のように見える。あるものはつまらぬ棒切れのように見えた。
「はぐきの中に埋っていた歯は焼いてもこわれないんです。」
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)