きつ)” の例文
旧字:
その翌日は非常にきつい坂で三途さんずのがれ坂というのをえねばならん。ところが幹事は誠に親切な人でヤクを貸して上げましょうという。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
平民殿様はすっかり下々のことを呑込のみこんでおります。「不義は御家のきつ法度はっと」などは、この御殿では通用しません。
同じ画家ゑかき仲間のなにがしがどんな婦人をんなでもたつた十ヶ月でる仕事を、画家ゑかきともいはれるものが物の十三年もかゝつて、やつと仕上げるなんて、そんな間抜まぬけな事があるものかと、きつい抗議を申込んだのが
と、私はきつく言った。なぜなら、この位な皮切りをした方が、彼女をお道楽芸にしておこうとするものへの、決戦的な——といおうか、大切にしているはれものへの大手術だと思ったからだった。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
これまで大分に楽をして居ったものですから非常に重さがきつい。暫く進んではまた暫く休むという始末で遂には進めなくなってしまった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
平次、御奉行朝倉石見守あさくらいわみのかみ様からきつい御達しだ、——近頃府内を騒がす盗賊、盗んだ品を返せば罪はないようなものではあるが、あまりと言えばお上の御威光をないがしろにする仕打だ。
と言つて直ぐその場で漱石氏に宛てて、きつい抗議書を投げつけた。
その位鳥の法律はきついものであると言っていろいろそういう例話を引いた話を聞きました事でございました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それが悪い事か——といった、誇らかな色が、静かにあげた娘の顔をきついものにします。
と言ふと、犬養氏は狼のやうな頭をきつつた。