きつ)” の例文
お父つあんはあないきついこと言ははるし、お母はんかて、なア……。ほんまに、わての身になつてくれる者いうたら、一人もあらへんのどツせ、可哀相なもんどツせ。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
以前、仲之町なかのちょう声妓うれっこで、お若と云ったなまめかしい中年増が、新川の酒問屋に旦那が出来たため色を売るのはきつい法度の、その頃のくるわには居られない義理になって場所を替えた檜物町ひものちょう
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すでにこの前の訪問のときオリヴィエは、彼女の様子の変わったこと、にわかの冷淡な素振り、よそよそしいきついほとんど反抗的なある眼つきを、感じたのだった。そしてぞっとさせられていた。