きつ)” の例文
○「小声でやってくだせえ、みんなそらっぺえばなしで面白くねえ、旦那が武者修行をした時の、蟒蛇うわばみ退治たいじたとか何とかいうきついのを聞きたいね」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勝次郎は、中肉、寧ろノッポの方で、眼付きはきついが、鼻の高い、浅黒いかおの、女好きのする顔だった。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
うかれ男 はてさて、これきつい返答。——(忽ち側を向き大声)こりや!
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
田舎には稀な程晩婚であつた所為せゐでもあらうか、私には兄も姉も、妹もなくて唯一粒種、きつい言葉一つ懸けられずに育つた為めか背丈だけは普通であつたけれども、ひよろ/\と痩せ細つてゐて
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
荷足の仙太と云やア随分名代なでえの無鉄……ナニ誠にそのきつい人だと云って誰でもおめえさんは知ってやす、いつか五十軒で喧嘩の時に、お前さんが仰向あおのけに寝て
それに此間こねえだちょっくら聞いたが、御当家には智仁勇の三人の家来があるとよ、渡邊織江わたなべおりえさんという方は慈悲深い人だから是が仁で、秋月喜一郎あきづききいちろうかな是はえらきつい人で勇よ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)