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強
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きつ
ふりがな文庫
“
強
(
きつ
)” の例文
じゃあ
吾家
(
うち
)
の
母様
(
おっかさん
)
の世話にもなるまいというつもりかエ。まあ怖しい心持におなりだネエ、そんなに
強
(
きつ
)
くならないでもよさそうなものを。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と
強
(
きつ
)
く云う、お蔦の声が
屹
(
きっ
)
としたので、きょとんとして立つ処を、横合からお源の手が、ちょろりとその執心の茶碗を
掻攫
(
かっさら
)
って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「引揚げようとすればするほど、深く沈もうとなさる。最後は、水藻にしがみついて離れようとしないんだから、
強
(
きつ
)
かった」
肌色の月
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「人を出し抜いたり何かして随分ね。私を誘うという約束だったじゃありませんか。」と、少し
強
(
きつ
)
いような調子で言った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
汝
(
そなた
)
の
黒
(
くろ
)
い
外套
(
マントル
)
で
頬
(
ほゝ
)
に
羽
(
は
)
ばたく
初心
(
うぶ
)
な
血
(
ち
)
をすッぽりと
包
(
つゝ
)
んでたも、すれば
臆病
(
おくびゃう
)
な
此
(
この
)
心
(
こゝろ
)
も、
見
(
み
)
ぬゆゑに
強
(
きつ
)
うなって、
何
(
なに
)
するも
戀
(
こひ
)
の
自然
(
しぜん
)
と
思
(
おも
)
ふであらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
「光悦や、今のう、
強
(
きつ
)
いかたちをした侍衆が、三名づれで、ここの門前へ来て、不作法な言葉を吐いて行ったというが。……大事はあるまいかの」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうもこの節は御浪人衆のお働きがいっち
強
(
きつ
)
うごわすから、戸を開ける一拍子に、これ町人、身共は尊王の志を立てて資金調達に腐心致す者じゃが
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「あなたがあんまり
強
(
きつ
)
くお叱りになるから、こんなことになるんです。あの子は気が小さいから、優しくいつてきかせなければ、
駄目
(
だめ
)
なんですよ。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
藤十郎どのに、工夫を尋ねるといつも、
強
(
きつ
)
い小言じゃ。みんな自分で工夫せいとはあの方の決まり文句じゃ。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
きょうの女は三十七八で、色のあさ黒い、眼の
強
(
きつ
)
い女でした。どこか似ているようにも思うのですが、確かな証拠もございませんので、なんとも申し上げかねます
半七捕物帳:52 妖狐伝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「アブドラ十六番ですのね、いい煙草ですわ……でもこの煙草はわたしには少し
強
(
きつ
)
過ぎるかしら……」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その
些中
(
さなか
)
になるとどうも胸がむかついて来て——と云うものだから、私は眼を
瞑
(
つむ
)
るよりも——そんな時は却って、
上目
(
うわめ
)
を
強
(
きつ
)
くした方がいいよ——と教えてやったものさ。
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「月給の入る衆は不景気知らずだ!。吉本屋も息子が取るで楽になる一方さ!」新蔵は一寸言葉を切ったが「だが人間もちィっと身上が出来ると
強
(
きつ
)
くなるで怖っかねえ……」
夏蚕時
(新字旧仮名)
/
金田千鶴
(著)
すなわち
事理
(
わけ
)
のわからぬ
奴
(
やつ
)
はますますわからなくしてやるという、すこぶる
強
(
きつ
)
い御言葉です。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
子供は狸をとつちめるやうな積りで、
強
(
きつ
)
く尻つ辺を叩きつけた。勝名は顔を
顰
(
しか
)
めながら
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
露という
硯
(
すずり
)
も将来したが竹生島へ納むとあり、太刀は勢州赤堀の家にあり、
避来矢
(
ひらいし
)
の鎧は
下野国
(
しもつけのくに
)
佐野の家にあり、童は思う事を
叶
(
かな
)
えて久しく仕えしが、後に
強
(
きつ
)
う怒られて
失
(
う
)
せしとかや
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それが
鎗
(
やり
)
一筋の
主
(
あるじ
)
だという加頭義輝だった。眼の
強
(
きつ
)
い、おなじように長い顔だが色の黒い輝夫という人が、
紬
(
つむぎ
)
の黒紋附きを着て来ていたが、大変理屈ずきで、じきに格式を言出していた。
旧聞日本橋:06 古屋島七兵衛
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
両肩が
強
(
きつ
)
く骨立つて
頸
(
くび
)
が益益長く見える、賤げな左の頬の
黒子
(
ほくろ
)
と鍵の様に曲つた眼尻と、ひつくり返すやうな目付をして人を見る癖と、それから遇ひさへすれば
口説
(
くどき
)
上手
(
じやうず
)
にくどくど云ふ口。
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
駒形
(
こまがた
)
の、静かな町を、小刻みな足どりで、
御蔵前
(
おくらまえ
)
の方へといそぐ、
女形
(
おやま
)
風俗の美しい
青年
(
わかもの
)
——
鬘下地
(
かつらしたじ
)
に、紫の
野郎帽子
(
やろうぼうし
)
、
襟
(
えり
)
や
袖口
(
そでぐち
)
に、赤いものを
覗
(
のぞ
)
かせて、
強
(
きつ
)
い黒地の
裾
(
すそ
)
に、
雪持
(
ゆきもち
)
の
寒牡丹
(
かんぼたん
)
を
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
千代 今日は最勝寺さまの御会式ぢやさかいに、死んだ娘と、この子の
父御
(
ててご
)
の
供養
(
くやう
)
しておぢやつた。
郷
(
さと
)
の
母様
(
かかさま
)
が
強
(
きつ
)
う止めるゆゑ、
竟
(
つい
)
遅うなつて、只今帰るところぢや。してお前は何処からぢやえ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
主「えゝ
強
(
きつ
)
いのを頼みました、これ
磯之丞
(
いそのじょう
)
々々々」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
晝が晝なか、
大
(
だい
)
それた
強
(
きつ
)
い
魔藥
(
まやく
)
に
他
(
ひと
)
こそ知らね
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
時次郎 三蔵ッて人は
強
(
きつ
)
いのでござんすか。
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「シトロン酒の
強
(
きつ
)
いやつを飲まして下さい」
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「俺あ、メリケンは
強
(
きつ
)
い嫌ひだよ。」
熱海線私語
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「えらい
強
(
きつ
)
いお方じゃ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
呼び五ヶ年の
中
(
うち
)
村中に
強
(
きつ
)
い御世話に相成しは實に有難き
仕合
(
しあはせ
)
なり別て上臺
憑司
(
ひようじ
)
親子に
厚
(
あつ
)
き御世話に相成しよし然るに昌次郎いまだみえず
御迎
(
おむか
)
ひにと申す處へ入り來たり直に傳吉の傍らに
着座
(
ちやくざ
)
し馳走にぞ
預
(
あづ
)
かりける傳吉一同へ向ひ私しも江戸表にて
宜
(
よろし
)
き家へ奉公に有り付き金子少々貯は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「などと云うがね、お前もお長屋月並だ。……生きてるうちは、そうまでは
讃
(
ほ
)
めない
奴
(
やつ
)
さ、顔がちっと
強
(
きつ
)
すぎる、何のってな。」
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『江戸詰の頃、吉原に参って、初見の
妓
(
おんな
)
に
強
(
きつ
)
うもてなされ、門限までに帰りそびれたなどと、あの顔して——』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「のう、お梶どの。そなたは、この藤十郎の恋を、あわれとは
思
(
おぼ
)
さぬか。二十年来、
堪
(
た
)
え忍んで来た恋を、あわれとは思さぬか。さても、
強
(
きつ
)
いお人じゃのう」
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
髪が昨日よりも一層
強
(
きつ
)
い
紊
(
みだ
)
れ方で、立てた膝のあたりから、友禅の腰巻きなどが
媚
(
なま
)
めかしく
零
(
こぼ
)
れていた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この頃は何分にも秋の日が
強
(
きつ
)
うございますから……。いえ、夏のうちは丁度好い加減の黒さでございましたが、この半月ばかりで急に眞黒になりましたやうで……。
能因法師
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ブフル島……これは少々、遠いです。それに船ですから、途中がちょっと
強
(
きつ
)
いかもしれませんよ」
ノア
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
小さな
茶碗
(
ちゃわん
)
に、
苦味
(
にがみ
)
の勝った
強
(
きつ
)
い珈琲をドロドロに淹れて、それが昨日から何にも入っていない胃の
腑
(
ふ
)
へ
沁
(
し
)
み込んで、こんな
旨
(
うま
)
い珈琲は、口にしたこともありません。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
すべて人は何様いう
強
(
きつ
)
いことを言われても、急所に触れないのは捨てても置けるものであるが、たまたま
逆鱗
(
げきりん
)
即ち急所に触れることを言われると腹を立てるものである。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ヂュリ さア、
好
(
す
)
いても
見
(
み
)
ませう、
見
(
み
)
て
好
(
す
)
かるゝものなら。とはいへ、わたしの
目
(
め
)
の
矢頃
(
やごろ
)
は、
母
(
はゝ
)
さまのお
許
(
ゆる
)
しをば
限
(
かぎ
)
りにして、それより
強
(
きつ
)
うは
射込
(
いこ
)
まぬやうにいたしませう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
だが待てよ、どうせあの娘の一件で、神保のほうから脇坂の殿様へ
強
(
きつ
)
い
掛合
(
かけあ
)
いが行くに相違ねえ。こうしてインチキが
露
(
ば
)
れたからにゃア、おいらも安閑としてはいられねえのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
きつぱり跳ねつけるやうに
強
(
きつ
)
く手をふつたが、それでもこの船がこの儘天国の港に船がかりするのだつたら、老人は皆を
押退
(
おしの
)
けて、誰よりも先に
埠頭
(
はとば
)
の土を踏んだに相違なかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
心得童子
(
こころえのどうじ
)
主人の思う事を
叶
(
かな
)
えて久しく仕えしが、後に
強
(
きつ
)
う怒られて
失
(
う
)
せしとかやとあるは、『近江輿地誌略』に、竜宮から十種の宝を負い出でたる童を
如意
(
にょい
)
と名づけ、竜次郎の祖先だとあると同人で
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
けれども、なによりこの三人には、最初から採証的にも疑義を差し挾む余地はなかったのである。やがて、クリヴォフ夫人は法水の前に立つと、
杖
(
ケーン
)
の先で
卓子
(
テーブル
)
を叩き、命ずるような
強
(
きつ
)
い声音で云った。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
傳「
何卒
(
どうぞ
)
強
(
きつ
)
そうなものを頼んでおくんなせえ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此方
(
こなた
)
は
強
(
きつ
)
う案じておぢやつたのになあ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
處
(
ところ
)
に、
右
(
みぎ
)
の
盲人
(
めくら
)
、カツ/\と
杖
(
つゑ
)
を
鳴
(
な
)
らして、
刎上
(
はねあが
)
つて、
飛
(
と
)
んで
參
(
まゐ
)
り、これは
無體
(
むたい
)
な
事
(
こと
)
をなされる。……
強
(
きつ
)
い
元氣
(
げんき
)
ぢや。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恋い慕うのは人間のする事ではないと、心で
強
(
きつ
)
う制統しても、止まらぬは凡夫の想じゃ。そなたの
噂
(
うわさ
)
を聴くにつけ、面影を見るにつけ、二十年のその間、そなたの事を
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「子供をどうか連れて行っておもらい申したいもんで……。」と、母親も
強
(
きつ
)
いような調子で言った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
たとえ今、この家を包む
剣
(
つるぎ
)
の林の中であっても、開き直って、その
理
(
わけ
)
を問い
究
(
きわ
)
めて見なければならないと、思わず真率な眼を輝かせて、武蔵は
強
(
きつ
)
く
詰問
(
なじ
)
ったのであった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
強
(
きつ
)
い方だったろうことは、連添うた者と若い身そらで争い別れをしたことでも想いやられる。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と妹の勧めてくれるおいしい
裸麦
(
ライむぎ
)
の
麺麭
(
パン
)
や、カルパス、半熟卵、チーズだとか果物、さっきのような
強
(
きつ
)
い
珈琲
(
コーヒー
)
……どんなに生き返ったような気がしたか、遠くの海を
眺
(
なが
)
めながら
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
松公が
河下
(
しも
)
へ投げ込んだんだが、それが、お内儀、不思議なこともあったもんさのう、川を上ってお定婆さんの手に引っかかってたってえから、なんと
強
(
きつ
)
い執念じゃあごわせんか。
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と
強
(
きつ
)
く
首
(
かうべ
)
を
掉
(
ふ
)
つてゐる。知事に訊くと、知事はまたわざと、顔をしかめて
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“強”の解説
漢姓
強(きょう)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
強
常用漢字
小2
部首:⼸
11画
“強”を含む語句
強請
強情
強者
強面
強飯
強盗
強健
手強
強力
強奪
強直
勉強
強敵
強雨
気強
頑強
強張
強気
強烈
心強
...