“寒牡丹”の読み方と例文
読み方割合
かんぼたん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、霜除けをかぶった寒牡丹かんぼたんのように、ぶるぶると、歯の根を噛んでいるのは、今夜の見張をいいつけられた加山、波越の二同心だった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
憶起おもひおこす。……先生せんせいは、讀賣新聞よみうりしんぶんに、寒牡丹かんぼたん執筆中しつぴつちうであつた。横寺町よこでらまちうめやなぎのおたくから三町さんちやうばかりへだたつたらう。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
暗い寒い静かな明方あけがたに、誰れも気づかぬとき、床の間の寒牡丹かんぼたんが崩れ散ったような彼女の死の瞬間が想像され、死顔を見るに堪えなくなっていとまを告げた。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)