きつ)” の例文
暫しは恍然うつとりとして氣を失へる如く、いづこともなくきつ凝視みつめ居しが、星の如き眼のうちにはあふるゝばかりの涙をたゝへ、珠の如き頬にはら/\と振りかゝるをば拭はんともせず
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
きつと御顏を見上げ居たりしが、『久しく御前にとほざかりたれば、餘りの御懷おんなつかししさに病餘の身をも顧みず、先刻遠侍とほざむらひに伺候致せしが、幸にして御拜顏の折を得て、時頼身にとりて恐悦の至りに候』
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)