きつ)” の例文
七椀きつし得ざるにまたただ覚ゆ両腋りょうえき習々清風の生ずるを。蓬莱山ほうらいさんはいずくにかある 玉川子ぎょくせんしこの清風に乗じて帰りなんと欲す(一七)
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
この頃になってようやく叔孫にも、この近臣に対する疑いがいて来た。なんじの言葉は真実か? ときつとして聞き返したのはそのためである。
牛人 (新字新仮名) / 中島敦(著)
そのも、一きやうきつして時計とけいた。はり相違さうゐなく十一其処そこをさして、汽車きしやせつゝあるまゝにセコンドをきざむでる。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ゆゑに前後不覚に渇する者能くこれを買ふべし、その渇のいゆるに及びては、玉漿なりとして喜びきつせしものは、と下水の上澄うはずみに過ぎざるを悟りて、痛恨、痛悔すといへども
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
前刻さつきから、通口かよひぐちかほして、髯旦ひげだんのうめかたが、まツとほり、小兒こども一寸いつすんみづ一升いつしようわりのぞいて、一驚いつきやうきつした三助さんすけ
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きつとして霜柱踏みて思ふこと電光影裡でんくわうえいり如何に生きむぞ
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
自動車じどうしや相乘あひのりして、堂々だう/\と、淺草あさくさ上野うへの銀座ぎんざばす、當今たうこん貴婦人きふじん紳士しんしいへども、これをたら一驚いつきやうきつするであらう。たれ口癖くちぐせことだが、じつ時代じだい推移すゐいである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一驚いつきやうきつしたわたしつくゑまへでハタとかほはせたのは、知合しりあひのそのをとこで……眞青まつさをつてる。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)