“黒紬”の読み方と例文
読み方割合
くろつむぎ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
つくねんとして、一人、影法師のように、びょろりとした黒紬くろつむぎの間伸びた被布ひふを着て、白髪しらがの毛入道に、ぐたりとした真綿の帽子。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
車上の客は五十あまり、色赤黒く、ほおひげ少しは白きもまじり、黒紬くろつむぎの羽織に新しからぬ同じ色の中山帽ちゅうやまをいただき蹴込けこみに中形のかばんを載せたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
二人はまだ天が明けない内に、行燈あんどうの光で身仕度をした。甚太夫は菖蒲革しょうぶがわ裁付たっつけ黒紬くろつむぎあわせを重ねて、同じ紬の紋付の羽織の下に細い革のたすきをかけた。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)