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裁付
七内は、やや
慌て気味だったが、一同の
頭に立つ者として、ずんぐりした体に、
草鞋裁付を着けた
身装を前へ進めた。
二人はまだ天が明けない内に、
行燈の光で身仕度をした。甚太夫は
菖蒲革の
裁付に
黒紬の
袷を重ねて、同じ紬の紋付の羽織の下に細い革の
襷をかけた。
海陸飛脚の往来
櫛歯を
挽くよりも
忙がわしく、江戸の大都繁華の
巷も
俄に
修羅の
衢に変じ、万の武器、調度を持運び、市中古着
商う家には
陣羽織、
小袴、
裁付、
簑笠等をかけならべ