“たっつけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
膝行袴51.7%
裁付10.3%
裁着10.3%
立付6.9%
立附3.4%
裁布3.4%
裁著3.4%
裁附3.4%
裁附袴3.4%
雪袴3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
紫巾しきん振袖ふりそで艶冶えんやの色子すがたは、黒ずくめの覆面と小袖の膝行袴たっつけにくるまれ、足さえわらじばきの軽々しい身ごしらえです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二人はまだ天が明けない内に、行燈あんどうの光で身仕度をした。甚太夫は菖蒲革しょうぶがわ裁付たっつけ黒紬くろつむぎあわせを重ねて、同じ紬の紋付の羽織の下に細い革のたすきをかけた。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
結城の裁着たっつけのようなものをはいた六十二三の品のいいおばあさんが、障子を細目に開けて顔をだしたが、おやと呟くと、玄関の二畳へ這いだしてきて、丁寧にお辞儀をした。
虹の橋 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そのかみさんは、手拭てぬぐいかぶって、こん立付たっつけみたようなものを穿いていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何よりもまず半蔵は友人を店座敷の方へ通して、ものものしい立附たっつけひもを解かせ、腰のものをとらせた。彼はお民と相談して、香蔵を家に引きとめることにした。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
陣笠じんがさ割羽織に立附たっつけを着用し、帯刀までして、まだ総督を案内したままの服装いでたちも解かずにいる親しい友人を家に迎え入れることは、なんとはなしに半蔵をほほえませた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
浅黄あさぎの石持で柿色の袖なしに裁布たっつけをはいて、腰に七輪のアミをげて、それを叩いたり三味線を引いたりして、種々な音色を聞かせたが
梵雲庵漫録 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
裁著たっつけの腰に革巻かわまきの野太刀の背にふさわしい長やかなのを横たえ、五条大橋の方から風のように疾く駈けてきたが、そこの辻にたたずんで笑いあっている一群ひとむれを見ると近づいてきて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小兼が若衆頭わかしゅあたま裁附たっつけとやらいうものを穿いて、金棒曳かなぼうひきになって、肌を脱いで、襦袢の袖が幾つも重なって、其の美しいこと何ともかんともいえなかった、愚僧わしは其の時ぞっこん惚込んだが
巌流は、浮織うきおりの白絹の小袖に、眼のさめるような、猩々緋しょうじょうひ袖無そでなし羽織をかさね、葡萄色ぶどういろ染革そめがわ裁附袴たっつけ穿いていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一丁ほど裏街道を行ったところで、傘を傾けながらこちらへやって来る一人の雪袴たっつけの女とすれちがった。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)