“いつく”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イツク
語句割合
50.5%
26.3%
10.5%
一句6.3%
2.1%
一九1.1%
一齣1.1%
射尽1.1%
鍾愛1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私はこの善と悪とに感じる力を人間の心に宿る最も尊きものと認め、そしてこの素質をさながら美しき宝石のごとくにめでいつくしむ。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
死ぬであろう戦場へおもむくのも、じつは命をいつくしむわが命がさせていると、この心のあやしさ、正成もまたきわめておる。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心もあのかおばせのようにいつくしく、われにあだし心おこさせたまわず、世のたのしみをば失いぬれど、幾百年の間いやしき血一滴ひとしずくまぜしことなき家のほまれはすくいぬ
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
……げんに、廣島師範ひろしましはん閣下穗科信良かくかほしなしんりやうは——こゝに校長かうちやうたる威嚴ゐげんきずつけずれいしつしない程度ていどで、祝意しゆくいすこ揶揄やゆふくめた一句いつくがある。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ああいつくしく譽あるテチス、衣の長き曳き、 385
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
そこへ行くと、一九いつく三馬さんばは大したものでげす。あの手合ひの書くものには天然自然の人間が出てゐやす。決して小手先の器用や生噛なまかじりの学問で、でつちあげたものぢやげえせん。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かの女はひとつのものからひとつのものへと大きく動いて行く自然の道程の一齣いつくとして是非ともその墓に詣でなければならないのを感じたのであつた。
百合子 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
「射ろッ。あるかぎりな矢を射尽いつくせ! 一ト矢も手に残しておくことはないぞ」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昔気質むかしかたぎの人で、世の中からは忘れられてしまったように、親譲りの、松の木のおおい、大きな屋形の、住み古した西にしたいに、老妻と一しょに、一人の娘を鍾愛いつくしみながら
曠野 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)