一句いつく)” の例文
「おやそうさん、少時しばらく御目おめゝらないうちに、大變たいへん御老おふけなすつたこと」といふ一句いつくであつた。御米およね其折そのをりはじめて叔父をぢ夫婦ふうふ紹介せうかいされた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……げんに、廣島師範ひろしましはん閣下穗科信良かくかほしなしんりやうは——こゝに校長かうちやうたる威嚴ゐげんきずつけずれいしつしない程度ていどで、祝意しゆくいすこ揶揄やゆふくめた一句いつくがある。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つきゆきはなおろいぬんだとては一句いつくつくねこさかなぬすんだとては一杯いつぱいなにかにつけて途方とはうもなくうれしがる事おかめが甘酒あまざけふとおなじ。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
この一句いつく二句にくは、『つきむかしつきにあらぬ。はるむかしはるならぬ』といふのがほんとうなのです。うたでなく普通ふつう文章ぶんしようなら、さうかねばとほりません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
さうすると、おほくめのみことうたも、片歌かたうた音數おんすうして、はやうたはれたものとおもふほかはありません。最初さいしよ一句いつくは、『やまとのたかさじ』の十音じゆうおんから出來できてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
わかひとの、やつがほに、いろさつのぼつて、——國々くに/″\島々しま/″\方々はう/″\が、いづれもおわかりのないとある、たゞ一句いつく不思議ふしぎな、みじかい、鸚鵡あうむこゑまをすのを、わたくしさきまをしてませう……もしや?……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一句いつく二句にく景色けしきは、西行さいぎようにそのつよちからのあることがうかゞはれます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
たゞ一間ひとまよりなかつた、二階にかい四疊半よでふはんで、先生せんせい一句いつくがある。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)