やか)” の例文
旧字:
……さればこそ、おぬしらにも平常、野には住むとも、を怠るな、身をいましめよ、弱きをたすけよと、やかましく沙汰してあるに……。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、もししいて求めたなら食道楽であったろう。無論食通ではなかったが、始終しじゅうかなりやかましい贅沢ぜいたくをいっていた。かつすこぶる健啖家であった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
殿「富彌、余りやかましく云わんがい、窮屈にさせるとかえって話が出来ん、成程立派じゃなア、昔の勇士のようであるな」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
本当に正すとすると容易なことでない、といってそれだけのやかましいおけいこはお素人の方で好みませんから
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
「ブルメナウ君! 兵員にやかましく言って墓に入れさせんでくれたまえ! 聞け、みんな!」
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
往来で放歌ほうかをすることは、近頃大分だいぶやかましくなったが、ある意味からいうと許してもよさそうなものだ、というのは、淋しい所などを夜遅く一人などで通る時には、黙って行くと
死神 (新字新仮名) / 岡崎雪声(著)
ここいら露助の憲兵がちょいちょい廻って来てやかましいんでね。
恩師の食道楽に感化された乎、天禀てんぴんの食癖であった乎、二葉亭は食通ではなかったが食物くいもの穿議せんぎがかなりやかましかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
早「うん、それはうだね、七日の間は陰服いんぷくと云って田舎などではえらやかましくって、蜻蛉一つ鳥一つ捕ることが出来ねえ訳だから、然ういう事がある」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「今朝ほどから、山淵右近が、そちが無礼のかどを挙げて、やかましゅう訴えて来おる。——したが、他の者のはなしでは、そちの大言にも、一理はあるらしいゆえ、なだめつかわした」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「先生はやかましい?」
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
主従師弟のやかましかった時代だから、両者の関係が漸く疎隔して馬琴の盛名がオサオサ京伝を凌がんとすると京伝側が余り快く思わぬは無理もないが
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
女「はい有難うございますが、余り長く居りますとやかましゅうございますから、又御用がございましたら」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と、うそぶいているか、もっとやかましい親の場合は
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうしてやかましい、茶屋へでも知れた日にゃア大騒ぎだ、それはいけねえ、私共わっちどもあがる処のチョン/\格子なら、あのお多福と見立替みたてがえという事が出来るけれども
が、ざ何処かへ何か食べに行こうとなるとなかなかやかましい事をいった。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
あなた方が泊ったところが、さしてお荷物も無し、お連の男衆は御亭主かお兄様あにいさまか存じませんが、お死去かくれになってあなた一人残り、一人旅はごくやかましゅうございまして、え
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大分でえぶ顔の色が悪いが、詰らねえ心に成ってはいけませんよ、一人のお父さまを見送らねえうち貴方あんたの身体ではえから、たとんなにやかましいたって、お父さまが塩梅あんべえが悪くなって
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)